僕とオオカミどものシェアハウス

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オオカミは1人だけ

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 気がつくと、頭を抱え込まれるようにして静かに撫でられていた。トモの胸に額を押し付けるようにしながら、トモの腕の中で目を覚ます。トモから漂ってくる香り。ドキドキと心臓が鳴り始める。思い切って顔を上げると、遮光カーテンの隙間から漏れてくる朝日の中で、優しく微笑むトモの顔が見えた。

「おはよう。」
 トモのキスが落ちてくる。昨夜はトモと……そういうコトはしなかった。トモが僕の分身を育てて弾けさせた後、また暫く話をしながらいつの間にか寝てしまっていた。

『毎日は流石にまだ早いから。少しずつカズのここを慣れさせる。』
 そう言って僕の後ろを長い指で刺激したトモは相当我慢したはずだ。硬いものが僕のお腹に触れているのが分かった。でも、僕もどうしたら良いかわからずにそのままにしてしまった。

『この場合どうするべき? どうするのが正解なんだろ?』
 僕もトモの分身を舐めて気持ち良くなってもらって…………想像しただけで顔から火が出そうだった。

「起きるか?」
「ん? ふっ? う、うんうん。」
 唇を離したトモが額を合わせて呟く。トモ、お願いだから髪を短くして? 初めて会った時に感じた整った顔。ユウの陰になり、姿を隠してしまった王子様のような微笑み。至近距離で微笑まれると、ドギマギしてしまって挙動不審になるんだ。

「俺は先に降りる。ゆっくり着替えてきて? またここに残っているから隠してくるんだぞ?」
「うん。分かってる。」
 僕の首元を指で撫でられてゾクッと痺れが広がった。昨日も指摘されたキスマーク。僕の身体のあちこちに沢山の鬱血痕が広がっていた。

 昨日は仕事でもないのに、ワイシャツを着込んで首元までボタンを閉める羽目になった。今日は10時にユウとリョウの2人を見送りに行く。やっぱりワイシャツにネクタイ……だよな?

 トモは僕に微笑みかけながら、白いTシャツを壁から外した水色のワイシャツに替え、グレーのスエットをスラックスに履き替えてそのまま、部屋を出て行った。

『白のTシャツ……。』
 昨夜ベッドの中で聞いてみたら、いつも寝る時には白を着るらしい。白が好きなのに自分には似合わないから、と語るトモに僕は「似合うよ!」と咄嗟に言っていた。

『じゃあ、これからは白の上着も試してみるかな?』
 濃厚なキスを与えられて、今度一緒に服を買いに行く約束をさせられてしまった。

『ま、まだ慣れない……。』
 いや、トモとこういう関係になった事に後悔してない。ただ慣れないんだ。こんな甘い雰囲気にはまだ慣れない、ただそれだけ。ズブズブと布団に潜り込みながら、平常心になろうと頑張って数学の教科書の問題を思い浮かべた。それでもなかなか布団から起き上がることはできなかった。


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