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教育実習四週目
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「トモ、トモは小池。あの小池……。」
トモの話は到底信じられない。でも確かに自分の書いた手紙を持っていた。
『カズが佐々木先生に渡したものだろ?』
さっきの言葉が蘇ってきて全身に鳥肌が立った。何故トモが知っている? 学校の先生方の名前は、家では一度も言ったことがないのに!
「そう、小池基治。カズが先週振った奴。ヘタれた俺が次の日に現れずにカズを泣かせてしまった奴。そしてもう一度チャレンジしようと決心した矢先に、会えなくなって悔し涙を流してた奴。」
何故だか涙が流れてきた。トモは小池だ、そう信じる心が芽生えてきた。全然分からないことだらけだけど、これじゃあ納得するしかないじゃないか。
「泣かないで……。」
トモが僕の顔を両手で包み込んでキスをしてきた。何度目かのキス……やっぱり嫌じゃない。トモが小池なのかもしれないと思うたびに鼓動が強くなっていて戸惑った。静かに唇が離れ、目尻にそっと口付けられる。
「カズ、俺たちにはもう時間がない。俺がまた振られたら、俺はリョウと一緒に元の世界に帰る。ユウがここに残ることになる。そういう取り決めをしていた。」
「取り決め?」
木のベンチに跨るようにしてこちらに向き直ったトモの顔を見る。どういうことだろう?
「そう。未来に戻る扉はこの年代ではまだ開いていない。それをこの一か月間で開くようにした。でも本来は5年後に開くはずなんだ。急激な変化は未来に何を齎すか未知数だ。今までの研究でも取り組んだ例がない。取り返しのつかないリスクは侵せない。変化を遂げた未来から元の世界に戻ることは難しい。だから、今回俺かユウが残って、その痕跡を消す必要がある。」
トモの言っていることはさっぱり理解ができなかったけれど、1つだけ疑問が頭に浮かんできた。トモの顔を真っ正面から見る。夕日は沈んで辺りはすっかり暗くなったけれど、近くにあった街灯が暖かな光を放っていた。
「どうして今回、ユウやリョウと3人でくる必要があったの?」
僕の言葉に、トモは優しく微笑んだ。
「友情……かな?」
「友情?」
「今回宇宙開発のスピードを少しだけ早まるように計画され、俺が送り込まれることになった。ユウとリョウはその補助。俺がこの年代に必要になるものを他の職員には秘密裏に作る必要があった。本当は他の奴でも良かったんだ。」
宇宙開発なんてそんなに簡単にできるものなのか? どこか非現実的だとは思ったけれど、トモの説明はどこか納得できるものがあった。
「でも『また振られたら俺が残るよ。』と、俺の気持ちを知っていたユウが声をかけてくれた。ユウは開発部門にも明るい。」
「ユウが?」
「ああ。俺の本来の目的を知る唯一の奴だった。」
そうか、そうなのか。……ここで知り合って間もなく、どこかでユウとトモが真剣な様子で話している声を聞いたことがある。あの時は、4人で話をしている時より近づき難い声色で、声もかけずに部屋に戻った記憶がある。
「それで? カズ、返事をもらえる?」
「えっ?」
いつの間にかトモの腕が伸びてきて身体を引き寄せられた。さっきから感じていた鼓動がまた激しくなり、肋骨を内側からドンドンと叩き始めた。
「10年経ったら考えるって言っただろ? あれは嘘?」
そ、そんな事を言われても……。トモの胸からも激しい鼓動を感じる。安心できる腕の中。でもやはり何を言ったら良いのかは分からなかった。
トモの話は到底信じられない。でも確かに自分の書いた手紙を持っていた。
『カズが佐々木先生に渡したものだろ?』
さっきの言葉が蘇ってきて全身に鳥肌が立った。何故トモが知っている? 学校の先生方の名前は、家では一度も言ったことがないのに!
「そう、小池基治。カズが先週振った奴。ヘタれた俺が次の日に現れずにカズを泣かせてしまった奴。そしてもう一度チャレンジしようと決心した矢先に、会えなくなって悔し涙を流してた奴。」
何故だか涙が流れてきた。トモは小池だ、そう信じる心が芽生えてきた。全然分からないことだらけだけど、これじゃあ納得するしかないじゃないか。
「泣かないで……。」
トモが僕の顔を両手で包み込んでキスをしてきた。何度目かのキス……やっぱり嫌じゃない。トモが小池なのかもしれないと思うたびに鼓動が強くなっていて戸惑った。静かに唇が離れ、目尻にそっと口付けられる。
「カズ、俺たちにはもう時間がない。俺がまた振られたら、俺はリョウと一緒に元の世界に帰る。ユウがここに残ることになる。そういう取り決めをしていた。」
「取り決め?」
木のベンチに跨るようにしてこちらに向き直ったトモの顔を見る。どういうことだろう?
「そう。未来に戻る扉はこの年代ではまだ開いていない。それをこの一か月間で開くようにした。でも本来は5年後に開くはずなんだ。急激な変化は未来に何を齎すか未知数だ。今までの研究でも取り組んだ例がない。取り返しのつかないリスクは侵せない。変化を遂げた未来から元の世界に戻ることは難しい。だから、今回俺かユウが残って、その痕跡を消す必要がある。」
トモの言っていることはさっぱり理解ができなかったけれど、1つだけ疑問が頭に浮かんできた。トモの顔を真っ正面から見る。夕日は沈んで辺りはすっかり暗くなったけれど、近くにあった街灯が暖かな光を放っていた。
「どうして今回、ユウやリョウと3人でくる必要があったの?」
僕の言葉に、トモは優しく微笑んだ。
「友情……かな?」
「友情?」
「今回宇宙開発のスピードを少しだけ早まるように計画され、俺が送り込まれることになった。ユウとリョウはその補助。俺がこの年代に必要になるものを他の職員には秘密裏に作る必要があった。本当は他の奴でも良かったんだ。」
宇宙開発なんてそんなに簡単にできるものなのか? どこか非現実的だとは思ったけれど、トモの説明はどこか納得できるものがあった。
「でも『また振られたら俺が残るよ。』と、俺の気持ちを知っていたユウが声をかけてくれた。ユウは開発部門にも明るい。」
「ユウが?」
「ああ。俺の本来の目的を知る唯一の奴だった。」
そうか、そうなのか。……ここで知り合って間もなく、どこかでユウとトモが真剣な様子で話している声を聞いたことがある。あの時は、4人で話をしている時より近づき難い声色で、声もかけずに部屋に戻った記憶がある。
「それで? カズ、返事をもらえる?」
「えっ?」
いつの間にかトモの腕が伸びてきて身体を引き寄せられた。さっきから感じていた鼓動がまた激しくなり、肋骨を内側からドンドンと叩き始めた。
「10年経ったら考えるって言っただろ? あれは嘘?」
そ、そんな事を言われても……。トモの胸からも激しい鼓動を感じる。安心できる腕の中。でもやはり何を言ったら良いのかは分からなかった。
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