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教育実習四週目
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「それでは行ってきます。」
「今日が最終日!? 頑張ってきて。」
「行ってら!」
洗面所で歯を磨き、もう一度身なりをチェックしてリビングの扉を開けると、ソファからユウとリョウが並んで座り、声をかけてくれた。何だかあの2人、距離が近くなったような気がするのは気のせいだろうか? トモはキッチンで洗い物をしながらこちらにチラッと視線をよこした。
今日は教育実習の最終日。体の調子を崩すこともなく1か月学校に通うことができた。将来の夢に向かって僕自身の凄い自信に繋がったような気がする。みんなに笑いかけて、扉を閉めて玄関へと向かった。
「カズ。」
靴を履こうとした瞬間に、キッチンへの扉から出てきたトモに呼び止められた。振り返ってみてちょっとだけ驚いた。いつも見送ってくれるのはユウなのに。
「はい?」
でも何だか嬉しい。自然に笑顔になったと思う。そのまま目の前にいるトモの顔を見上げた。
「今日一日頑張ってきて? そして帰ってきたら……話がある。」
眼鏡の奥からジッと見つめられたかと思うと、トモの腕が伸びてきてすっぽりと包み込まれた。2日ぶりの抱擁に、自分の顔が熱くなっていくのがわかる。トモの香り、このムスクの香りが僕を安心させ、そして未だに掴めない気持ちでドキドキしてくるんだ。
「は、話って?」
動揺を隠せないまま言葉を繋ぐ。トモが僕の肩に顔を埋めてきた。
「大切な話。」
耳元で囁かれた声でそこから全身に痺れが広がった。な、何か分からないけど、何かを期待している僕がいる。このまま、ずっとこのままでいたいような何か。
「何時に帰る?」
「いつもと同じぐらいでしょうか。た、多分7時過ぎ?」
僕が答えると、そっとトモの顔が離れていった。また眼鏡の奥から視線が絡みつく。これ以上はヤバイと頭の隅で何かが警告してくるけど、この目をいつまでも見ていたいような、そんな気持ちで視線を外せなかった。
「待ってる。」
そう言うと、トモが額にチュッとリップ音を響かせた。それで我に返る。
「き、い、行ってきます!」
自分の動揺が言葉に乗って出てしまったことに赤面しながら、トモから離れ、身を翻して靴を履いた。ドアを開ける時にちらっと振り返ると、穏やかに微笑むトモの姿があった。
「気をつけて。」
トモの言葉に見送られ、後ろ手にドアを閉める。そして大きく息を吐いた。
『は、は、話って何だろ?』
動悸が治らない。教育実習最終日の頭に切り替えるには、少しだけ時間が必要そうな気がした。
「今日が最終日!? 頑張ってきて。」
「行ってら!」
洗面所で歯を磨き、もう一度身なりをチェックしてリビングの扉を開けると、ソファからユウとリョウが並んで座り、声をかけてくれた。何だかあの2人、距離が近くなったような気がするのは気のせいだろうか? トモはキッチンで洗い物をしながらこちらにチラッと視線をよこした。
今日は教育実習の最終日。体の調子を崩すこともなく1か月学校に通うことができた。将来の夢に向かって僕自身の凄い自信に繋がったような気がする。みんなに笑いかけて、扉を閉めて玄関へと向かった。
「カズ。」
靴を履こうとした瞬間に、キッチンへの扉から出てきたトモに呼び止められた。振り返ってみてちょっとだけ驚いた。いつも見送ってくれるのはユウなのに。
「はい?」
でも何だか嬉しい。自然に笑顔になったと思う。そのまま目の前にいるトモの顔を見上げた。
「今日一日頑張ってきて? そして帰ってきたら……話がある。」
眼鏡の奥からジッと見つめられたかと思うと、トモの腕が伸びてきてすっぽりと包み込まれた。2日ぶりの抱擁に、自分の顔が熱くなっていくのがわかる。トモの香り、このムスクの香りが僕を安心させ、そして未だに掴めない気持ちでドキドキしてくるんだ。
「は、話って?」
動揺を隠せないまま言葉を繋ぐ。トモが僕の肩に顔を埋めてきた。
「大切な話。」
耳元で囁かれた声でそこから全身に痺れが広がった。な、何か分からないけど、何かを期待している僕がいる。このまま、ずっとこのままでいたいような何か。
「何時に帰る?」
「いつもと同じぐらいでしょうか。た、多分7時過ぎ?」
僕が答えると、そっとトモの顔が離れていった。また眼鏡の奥から視線が絡みつく。これ以上はヤバイと頭の隅で何かが警告してくるけど、この目をいつまでも見ていたいような、そんな気持ちで視線を外せなかった。
「待ってる。」
そう言うと、トモが額にチュッとリップ音を響かせた。それで我に返る。
「き、い、行ってきます!」
自分の動揺が言葉に乗って出てしまったことに赤面しながら、トモから離れ、身を翻して靴を履いた。ドアを開ける時にちらっと振り返ると、穏やかに微笑むトモの姿があった。
「気をつけて。」
トモの言葉に見送られ、後ろ手にドアを閉める。そして大きく息を吐いた。
『は、は、話って何だろ?』
動悸が治らない。教育実習最終日の頭に切り替えるには、少しだけ時間が必要そうな気がした。
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