僕とオオカミどものシェアハウス

もこ

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教育実習三週目

15

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 家に帰って真っ直ぐに部屋に上がり、1人でトモが準備してくれた夕食を食べた。すぐにやってきてペットボトルのお茶を差し入れてくれたトモには本当に感謝だ。残ったお茶を飲みながら、パソコンを開き、指導案の仕上げをしようとしていた。

『……今日は寝るか。』
 誤字は全て直し終わった。でも、文章の書き替えは上手くいかずに、ずっと同じところを打ったり消したりしていた。スマホで時計を確認すると11時半。小さく流していた洋楽を消してイヤフォンを耳から外す。

『みんな寝たかな?』
 できれば風呂に入ってから寝たいけれど、誰にも声を掛けられなかったと思う。気を使ってくれた? それともまだ誰か、入ってないのかな?

 独りで過ごしていて大分元気が出た。いや、トモの心遣いが僕の心を癒してくれたんだ。もう大丈夫。3人の誰に会っても普通に対応できる。空になった容器とペットボトルを持って、下の様子を確認しようと部屋を出ることにした。

『ん? トモはまだ起きてる?』
 廊下を出るとすぐ左手にある、トモの部屋の扉の下から灯りが漏れている。トモは起きているのかもしれない。しかし、耳を澄ませても物音は一つも聞こえてこなかった。灯りをつけたまま寝てしまったのだろうか? その隣にあるユウの部屋は真っ暗だ。廊下も階段も灯りは消してあって、足元の常備灯だけが弱い光を放っていた。

 静かに階段を降りるとどこも真っ暗。リョウの部屋も灯りは点いていないようだった。キッチンへ入ってシンクに容器を置く。誰かが食器洗いも済ませていてくれた。トモ……だろうな。トモに内心感謝しながら、シャワーを浴びて寝ようと部屋へ着替えを取りに戻った。




「おはようございます。あれ? リョウさんやユウさんは?」
 着替えをして顔を洗い、リビングに入るとソファにトモが1人で座り、テレビを眺めながらコーヒーを飲んでいた。少しだけ寝坊した土曜日。時刻は8時半を過ぎていた。

「ついさっき仕事へ出かけた。」
「トモさんは? 仕事休みですか?」
「ああ。休みを取った。朝飯食べるか?」
 コーヒーをテーブルに置き、立ち上がろうとしたトモを見て慌てた。いつも面倒を見てもらっているばかりだ。夕べだって……。

「あ、大丈夫です。そのまま寛いでいてください。昨日はありがとうございました。」
 自然と笑顔を作ることができた。トモが立ち上がりこちらに歩いてきて、笑って応えてくれた。

「もう大丈夫そうだな。今日の予定は?」
 やっぱりこの身長差が気になる。少し顔を上げなくてはいけない身長差が憎い。僕ももう少し伸びたかった。

「朝食をいただいたら、教育実習の課題を仕上げたいと思います。トモさんは?」
「俺は買い物だな。ちょっと行ってくる。課題頑張って?」

 大量の買い出しに付き合いたいような気もしたけれど、トモは期待してはないように感じて頷いた。
「そうさせて貰います。ありがとうございます。」

 その後トモが準備すると言い張り、朝食の準備を手伝って貰いながら、たわいもない話を気軽にすることができた。


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