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教育実習三週目
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しおりを挟む 今日も家の裏側の河川敷を通って家に帰る。まだ7時を過ぎたばかりなのに、遠くの稜線の縁がオレンジの名残を纏っているだけで、辺りは暗闇に閉ざされていた。アスレチックのところまで来て、滑り台の下に腰を下ろす。裏から見えるシェアハウスは、浴室や廊下、階段の所にある窓の電気も全部点いていて、みんなが帰ってきているような気がした。
『帰りたくない。』
何故か今、3人に会いたくない。新しく乗り込んできた3人と、この3週間近く、ある意味楽しくやってきた。でも、今日は誰とも何も話さずに1人でいたい。
『無理だな。』
きっと今頃、トモが料理を仕上げてる。リョウはとっくに風呂から上がりお腹が空いた、と騒いでいることだろう。ユウは風呂に入っているか食事の支度を手伝っているか……。それとも、ずっと想いを抱いていたリョウに優しい言葉でもかけているのだろうか?
川が優しい音を立てながら流れている。水面に対岸の街灯や家々の灯りが反射していて、まるで星空がそこで瞬いているようだ。こんな所で独りでいて変に思われないかとも思ったけれど、誰も通る者はいない。少し離れた場所にある街灯でうっすらと見える足元の芝生をただ、眺めて過ごしていた。
『小池……。』
がっかりさせたようだった。10年経ったら考えるだって? 我ながら酷い言葉だ。それよりもきっぱりと「好きじゃない、男は好きにはなれない。」と言ってやるべきじゃなかったのか? 変に逃げ道を作ったことで、小池を余計に傷つけたような気がする。
初めてされた告白で動揺が隠せなかった。大人として失格。今までもっと積極的に生きてくるべきだった。好きな子にどんどん告白をして、振られたり付き合ったり……そんな経験を積み重ねてくれば、もっとマシな言い方が思い浮かんだろうに……。
思い浮かぶのは、小池の後ろ姿。何か言ってやりたくても言葉が全然出てこなかった。ただ、体育館での小池の熱い視線と、その後の後ろ姿。頭からずっと映像が離れずに、次々とループしてくるそれを眺めながら座っていた。
ギィー
どのくらい座っていたのか分からないけど、遠くの稜線も闇に閉ざされて見えなくなっていた。後ろで、家裏の扉を開ける音がしたような気がする。家に入る1番の近道だけれど、建て付けが悪くなっていて、閉めるのに一苦労する扉。最近は全く使ってなかった。
「カズ……。」
草を踏む音が聞こえて、低い声が聞こえた。振り返らなくても分かる、トモだ。何故僕がここにいるって分かったんだ? でも、それもどうでも良かった。僕に構わないで。独りにしておいて。
「カズ。」
「……。」
呼びかけられても、何と答えたらいいのか分からなかった。答えたくなかった。
『帰りたくない。』
何故か今、3人に会いたくない。新しく乗り込んできた3人と、この3週間近く、ある意味楽しくやってきた。でも、今日は誰とも何も話さずに1人でいたい。
『無理だな。』
きっと今頃、トモが料理を仕上げてる。リョウはとっくに風呂から上がりお腹が空いた、と騒いでいることだろう。ユウは風呂に入っているか食事の支度を手伝っているか……。それとも、ずっと想いを抱いていたリョウに優しい言葉でもかけているのだろうか?
川が優しい音を立てながら流れている。水面に対岸の街灯や家々の灯りが反射していて、まるで星空がそこで瞬いているようだ。こんな所で独りでいて変に思われないかとも思ったけれど、誰も通る者はいない。少し離れた場所にある街灯でうっすらと見える足元の芝生をただ、眺めて過ごしていた。
『小池……。』
がっかりさせたようだった。10年経ったら考えるだって? 我ながら酷い言葉だ。それよりもきっぱりと「好きじゃない、男は好きにはなれない。」と言ってやるべきじゃなかったのか? 変に逃げ道を作ったことで、小池を余計に傷つけたような気がする。
初めてされた告白で動揺が隠せなかった。大人として失格。今までもっと積極的に生きてくるべきだった。好きな子にどんどん告白をして、振られたり付き合ったり……そんな経験を積み重ねてくれば、もっとマシな言い方が思い浮かんだろうに……。
思い浮かぶのは、小池の後ろ姿。何か言ってやりたくても言葉が全然出てこなかった。ただ、体育館での小池の熱い視線と、その後の後ろ姿。頭からずっと映像が離れずに、次々とループしてくるそれを眺めながら座っていた。
ギィー
どのくらい座っていたのか分からないけど、遠くの稜線も闇に閉ざされて見えなくなっていた。後ろで、家裏の扉を開ける音がしたような気がする。家に入る1番の近道だけれど、建て付けが悪くなっていて、閉めるのに一苦労する扉。最近は全く使ってなかった。
「カズ……。」
草を踏む音が聞こえて、低い声が聞こえた。振り返らなくても分かる、トモだ。何故僕がここにいるって分かったんだ? でも、それもどうでも良かった。僕に構わないで。独りにしておいて。
「カズ。」
「……。」
呼びかけられても、何と答えたらいいのか分からなかった。答えたくなかった。
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