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教育実習三週目
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朝起きて着替えを済ませ、下のキッチンへ降りると、そこには朝食を食べているリョウしかいなかった。甘い香りが漂っている。お腹が空いた。
「おはようございます。ユウさんや……トモさんは?」
「あ? 仕事に行った。僕はいつも通り。」
今までこの家を出るのは僕が1番早かった。7時過ぎのバスに乗るのに7時少し前には家を出る。大抵はユウが玄関まで出てきてくれて「行ってらっしゃい。」と見送ってもらってた。
「お仕事で、何かあったんですか?」
「ん? 知らない。今朝起きたら2人で何かコソコソ喋っていたけど、すぐに行っちゃった。朝メシ食べたら?」
リョウの言葉にハッとする。朝はグズグズしている暇はないんだ。
「顔を洗ってきます。」
鞄と上着、ネクタイをリビングのソファに置いて、顔を洗うために洗面所へ急いだ。
「いただきます。」
分厚いフレンチトーストとベーコンエッグがワンプレートに乗っている。小さなサラダの小鉢も付いて今日も豪華な朝食だ。ワイシャツを腕まくりしていると、斜め前からリョウに話しかけられた。
「ね、夕べ、トモと何かあった?」
フォークを掴んだ手が止まり、思わずリョウの顔を見つめてしまった。何かがあったのか? いや何もなかったぞ? ただ、僕の風呂上がりの姿を見られただけで……。
「ふーーん。やっぱりカズだったんだ。ま、いいけどね。」
「…………。」
顔が熱い。何を尋ねられたのか分からないうちに、1人で納得した様子のリョウを前にして、必死になって胸のバクバクを止めようとしていた。
「り、リョウさん。」
「……何?」
え? 僕話しかけた? 何を、何を訊くんだ?
「リョウさんは……トモさんが好きなんですか?」
心臓の物凄い音を聞きながら、独りでに言葉がとびだしていた。僕は何を聞きたいんだ? その答えを聞いて僕はどうしたいのだろう?
「…………好きだった。ずっと。トモのことを追いかけて今の会社に就職するぐらいには。」
窓の方に視線をずらして、少し遠い目をしながら、リョウが話し出した。
「気持ちに気づいたのはトモが転校してきた高校2年の時。でも、トモには他に誰か好きな人がいるようだった。でもさ、ほら高校って友だちどうしでバカやったりするだろ? 中学からの友だちどうし集まって騒いでいるだけで満足しなっきゃって思ってた。」
僕に顔を向け直して話すリョウは、今までになく真剣な表情だった。僕も聞いてしまった手前、蔑ろにできない。黙って頷いた。
「大学はトモと別になって遊んださ。それこそ忘れようとヤケになったように。でもそれがユウに見つかると、呼び出されて説教。そこにたまにトモがいる時があって、会っちゃうと、やっぱり好きだと思った。」
「そうですか……。」
この胃がズンと重くなる感覚は何だろう? 自分が聞いたくせに聞かなければよかった。この後悔する気持ちは?
「ほら、食べないとバスに遅れるよ。」
リョウの言葉にハッとする。全然手をつけてなかった。食欲がなくなってしまったことを自覚しながら、メープルシロップを手に取ってトーストに垂らした。
「おはようございます。ユウさんや……トモさんは?」
「あ? 仕事に行った。僕はいつも通り。」
今までこの家を出るのは僕が1番早かった。7時過ぎのバスに乗るのに7時少し前には家を出る。大抵はユウが玄関まで出てきてくれて「行ってらっしゃい。」と見送ってもらってた。
「お仕事で、何かあったんですか?」
「ん? 知らない。今朝起きたら2人で何かコソコソ喋っていたけど、すぐに行っちゃった。朝メシ食べたら?」
リョウの言葉にハッとする。朝はグズグズしている暇はないんだ。
「顔を洗ってきます。」
鞄と上着、ネクタイをリビングのソファに置いて、顔を洗うために洗面所へ急いだ。
「いただきます。」
分厚いフレンチトーストとベーコンエッグがワンプレートに乗っている。小さなサラダの小鉢も付いて今日も豪華な朝食だ。ワイシャツを腕まくりしていると、斜め前からリョウに話しかけられた。
「ね、夕べ、トモと何かあった?」
フォークを掴んだ手が止まり、思わずリョウの顔を見つめてしまった。何かがあったのか? いや何もなかったぞ? ただ、僕の風呂上がりの姿を見られただけで……。
「ふーーん。やっぱりカズだったんだ。ま、いいけどね。」
「…………。」
顔が熱い。何を尋ねられたのか分からないうちに、1人で納得した様子のリョウを前にして、必死になって胸のバクバクを止めようとしていた。
「り、リョウさん。」
「……何?」
え? 僕話しかけた? 何を、何を訊くんだ?
「リョウさんは……トモさんが好きなんですか?」
心臓の物凄い音を聞きながら、独りでに言葉がとびだしていた。僕は何を聞きたいんだ? その答えを聞いて僕はどうしたいのだろう?
「…………好きだった。ずっと。トモのことを追いかけて今の会社に就職するぐらいには。」
窓の方に視線をずらして、少し遠い目をしながら、リョウが話し出した。
「気持ちに気づいたのはトモが転校してきた高校2年の時。でも、トモには他に誰か好きな人がいるようだった。でもさ、ほら高校って友だちどうしでバカやったりするだろ? 中学からの友だちどうし集まって騒いでいるだけで満足しなっきゃって思ってた。」
僕に顔を向け直して話すリョウは、今までになく真剣な表情だった。僕も聞いてしまった手前、蔑ろにできない。黙って頷いた。
「大学はトモと別になって遊んださ。それこそ忘れようとヤケになったように。でもそれがユウに見つかると、呼び出されて説教。そこにたまにトモがいる時があって、会っちゃうと、やっぱり好きだと思った。」
「そうですか……。」
この胃がズンと重くなる感覚は何だろう? 自分が聞いたくせに聞かなければよかった。この後悔する気持ちは?
「ほら、食べないとバスに遅れるよ。」
リョウの言葉にハッとする。全然手をつけてなかった。食欲がなくなってしまったことを自覚しながら、メープルシロップを手に取ってトーストに垂らした。
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