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教育実習三週目
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「お、美味いな。」
「わーちゃん、餃子好き?」
教育実習が三週目に入り、最初の給食は2組の子どもたちに囲まれていた。僕の両隣は田口と浅川。こっちの列には女子が並んでいる。そして向かい側には男子。ちょっとした合コンみたいだ。いや、この子たちには言えないけど。
「うん、好きだな。」
おかずの皿に乗っているのは、揚げ餃子ともやしとニラの入ったナムル。それに今日は野菜たっぷりの醤油ラーメンだ。餃子は一つ一つ手作り? いや、市販のものだろう。一人当たり3個。これを200人以上いる生徒の分を全部包むのは大変だ。
「えーー、じゃ私のも食べて。」
「私のも。」
「私のも。」
隣り合う女子たちから一つずつ餃子が回ってきて、僕の皿に合計8個の餃子が山盛りになった。
「あ、俺も欲しい。」
「俺も。」
男子たちが騒ぎ出し、目の前の女子たちから餃子を奪いにかかる。「いいよーー。」「ダメっ。あげない。」ここのテーブルが俄かに騒がしくなってきた。
「これ、本当に僕が食べちゃってもいいのかな?」
隣に座る浅川に聞いてみる。浅川にも慣れてきた。数学には弱くて、ちょっとだけ茶色の長いウェーブがかった髪をして、口紅をしてる疑惑がある子だけど、基本はいい子だ。
「食べて食べて。うちらにはほら、3個は多いし。」
目の前の小池に「一つ食べる?」と差し出しながら、浅川が言ってきた。少し安心して食べ進める。揚げ餃子は結構、外皮が硬いけど中の味がしっかりついていて、醤油なしでも食べられる。一気に4つをお腹に収めて、ラーメンの袋を取り上げた。
「先生は、揚げ餃子と焼き餃子と水餃子ではどれが好きですか?」
斜め前の学級委員長くんに急に話しかけられて顔を上げた途端に、ぽちゃんと麺を受け取った汁が跳ねた。
「うおっ?」
ちょっとだけだと思った汁はトレーの中やテーブルにも飛んでいて、ちょっとだけ焦る。
「わーちゃんダサ。」
「はい、ティッシュ。」
「これも使ってーー。」
さすが女子たち。田口をはじめとして、その隣とそのまた隣からティッシュが集まり、難なく拭き取ることができた。
「ありがと。」
ティッシュをくれた女子たちに残りを返しながら、右隣を見る。浅川、お前今「ダサい」と言ったよな? ん? しかもティッシュは持ってなさそうだ。ま、コイツが持ってたらもっとビックリだけど。
平気な顔でラーメンを啜る浅川に、睨みを効かせていてふと視線に気がつく。小池がこちらをじっと見ている。そうだ。小池に話しかけられたんだって。
「僕は焼き餃子が1番だな。この前、餃子を焼いたんだ。4人で食べるのに、100個は包んだと思うけど、美味しかったな。」
いや、僕が包んだのは30個にもならなかったと思うけど、そこはほら、誇張して言ってみる。
「えーー? わーちゃん家の餃子は手作り?」
「わー先生も料理できるの?」
途端に周りから質問攻めにあって焦る。僕の目の前の加納はやっぱりニヤニヤ笑い。絶対に嘘だろ、と思ってるのが丸わかり。汁のなかの麺をほぐしながら、テーブル全体を見渡した。
「ほら、おしゃべりしないで食べる。給食の時間が終わっちゃうだろ?」
威厳を見せてナムルに箸をつける。ちょっとだけ嘘をついてしまった自分は恥ずかしいけど、ラーメンの汁がかかったナムルは普通に美味しかった。
「わーちゃん、餃子好き?」
教育実習が三週目に入り、最初の給食は2組の子どもたちに囲まれていた。僕の両隣は田口と浅川。こっちの列には女子が並んでいる。そして向かい側には男子。ちょっとした合コンみたいだ。いや、この子たちには言えないけど。
「うん、好きだな。」
おかずの皿に乗っているのは、揚げ餃子ともやしとニラの入ったナムル。それに今日は野菜たっぷりの醤油ラーメンだ。餃子は一つ一つ手作り? いや、市販のものだろう。一人当たり3個。これを200人以上いる生徒の分を全部包むのは大変だ。
「えーー、じゃ私のも食べて。」
「私のも。」
「私のも。」
隣り合う女子たちから一つずつ餃子が回ってきて、僕の皿に合計8個の餃子が山盛りになった。
「あ、俺も欲しい。」
「俺も。」
男子たちが騒ぎ出し、目の前の女子たちから餃子を奪いにかかる。「いいよーー。」「ダメっ。あげない。」ここのテーブルが俄かに騒がしくなってきた。
「これ、本当に僕が食べちゃってもいいのかな?」
隣に座る浅川に聞いてみる。浅川にも慣れてきた。数学には弱くて、ちょっとだけ茶色の長いウェーブがかった髪をして、口紅をしてる疑惑がある子だけど、基本はいい子だ。
「食べて食べて。うちらにはほら、3個は多いし。」
目の前の小池に「一つ食べる?」と差し出しながら、浅川が言ってきた。少し安心して食べ進める。揚げ餃子は結構、外皮が硬いけど中の味がしっかりついていて、醤油なしでも食べられる。一気に4つをお腹に収めて、ラーメンの袋を取り上げた。
「先生は、揚げ餃子と焼き餃子と水餃子ではどれが好きですか?」
斜め前の学級委員長くんに急に話しかけられて顔を上げた途端に、ぽちゃんと麺を受け取った汁が跳ねた。
「うおっ?」
ちょっとだけだと思った汁はトレーの中やテーブルにも飛んでいて、ちょっとだけ焦る。
「わーちゃんダサ。」
「はい、ティッシュ。」
「これも使ってーー。」
さすが女子たち。田口をはじめとして、その隣とそのまた隣からティッシュが集まり、難なく拭き取ることができた。
「ありがと。」
ティッシュをくれた女子たちに残りを返しながら、右隣を見る。浅川、お前今「ダサい」と言ったよな? ん? しかもティッシュは持ってなさそうだ。ま、コイツが持ってたらもっとビックリだけど。
平気な顔でラーメンを啜る浅川に、睨みを効かせていてふと視線に気がつく。小池がこちらをじっと見ている。そうだ。小池に話しかけられたんだって。
「僕は焼き餃子が1番だな。この前、餃子を焼いたんだ。4人で食べるのに、100個は包んだと思うけど、美味しかったな。」
いや、僕が包んだのは30個にもならなかったと思うけど、そこはほら、誇張して言ってみる。
「えーー? わーちゃん家の餃子は手作り?」
「わー先生も料理できるの?」
途端に周りから質問攻めにあって焦る。僕の目の前の加納はやっぱりニヤニヤ笑い。絶対に嘘だろ、と思ってるのが丸わかり。汁のなかの麺をほぐしながら、テーブル全体を見渡した。
「ほら、おしゃべりしないで食べる。給食の時間が終わっちゃうだろ?」
威厳を見せてナムルに箸をつける。ちょっとだけ嘘をついてしまった自分は恥ずかしいけど、ラーメンの汁がかかったナムルは普通に美味しかった。
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