34 / 104
教育実習ニ週目
14
しおりを挟む
「俺には大切に思う奴がいる。」
「えっ!?」
トモには好きな人がいるっていうこと? あ、リョウがトモをずっと想っていて……そして夕べ初めてそれに気づいたとしたら、トモはノーマル?
「どんな方なんですか?」
「純粋で、恥ずかしがり屋でちょっとだけ不器用な。そこがまた愛おしい。」
うわっ! 聞いているこっちが恥ずかしい。何故かジッと見つめられながら聞いたセリフに、自分の顔が熱くなっていくのが分かった。熱烈だな。
「可愛い方なんでしょうね。」
言ってマグに口をつける。程よく温まったお茶の香りが疲れていた心と体をとても癒してくれた。
トモは付き合ってるのかな? どんな女性なんだろ。でもここ2週間のことを振り返ってみても、誰かとデートしている様子はなかった。夜はみんなより早く帰って夕飯の準備をしていたし。……遠距離か?
「ああ。ずっと想い続けていた。」
だから、眼鏡の奥から見つめすぎだって。何となく鼓動が大きくなるのを感じながら、トモの想い人を想像する。もしかしたら、トモの片想いなのかもしれない。でもずっと想い続けてっていうのは。
「いいですね。その人が羨ましい。」
「……そうか? カズは好きな奴は、いるのか?」
話を終了させようとして失敗。こちらに振られるとは思ってもいなかった。ここは正直に言うべき?
「僕、今まで付き合ったという経験がなくて。恥ずかしい話。いいと思う子がいても、いつの間にか違う奴とくっついているんですよね。」
だから年齢イコール彼女いない歴です。無理におちゃらけてトモの顔を見て失敗した事に気づく。まだジッと見られている。ほら、ここは笑顔になるべきだ。思い切って童貞の告白をしたんだぞ?
「……そうか。」
表情を変えぬままに言ってくる言葉にまた顔が熱くなる。マジに取んないで、お願いだから。言っちゃった自分が恥ずかしくなるじゃないか。21だぞ? くそっ。教育実習が終わったら、絶対に彼女作る!
何となくのトモとの告白大会をしながら食事を終えた。食べ終わった食器を片付けている間に、トモは自室で少し休むと上がって行った。食器洗いをしながら、トモとの会話を反芻する。
『ゲイだったのはユウ。リョウに熱烈に恋してた。リョウもトモの事を好きだった。そしてトモは他に好きな子がいる。』
なんだろ。みんながみんな一方通行? でも、好きでもない奴とセッ・スできるわけ? でも、昨夜のリョウの表情は……。ここまで考えて頭を振る。誰が誰に片想いしていようが僕には関係ない。ちょっとだけ刺激が強すぎた昨夜の事は忘れて、学校のことに集中しよう。
今日一日はしっかりと指導案に向き合おうと、頭の中で予定を組み立てながら、食器に付いた泡と昨夜からの動揺を流水で流し続けた。
「えっ!?」
トモには好きな人がいるっていうこと? あ、リョウがトモをずっと想っていて……そして夕べ初めてそれに気づいたとしたら、トモはノーマル?
「どんな方なんですか?」
「純粋で、恥ずかしがり屋でちょっとだけ不器用な。そこがまた愛おしい。」
うわっ! 聞いているこっちが恥ずかしい。何故かジッと見つめられながら聞いたセリフに、自分の顔が熱くなっていくのが分かった。熱烈だな。
「可愛い方なんでしょうね。」
言ってマグに口をつける。程よく温まったお茶の香りが疲れていた心と体をとても癒してくれた。
トモは付き合ってるのかな? どんな女性なんだろ。でもここ2週間のことを振り返ってみても、誰かとデートしている様子はなかった。夜はみんなより早く帰って夕飯の準備をしていたし。……遠距離か?
「ああ。ずっと想い続けていた。」
だから、眼鏡の奥から見つめすぎだって。何となく鼓動が大きくなるのを感じながら、トモの想い人を想像する。もしかしたら、トモの片想いなのかもしれない。でもずっと想い続けてっていうのは。
「いいですね。その人が羨ましい。」
「……そうか? カズは好きな奴は、いるのか?」
話を終了させようとして失敗。こちらに振られるとは思ってもいなかった。ここは正直に言うべき?
「僕、今まで付き合ったという経験がなくて。恥ずかしい話。いいと思う子がいても、いつの間にか違う奴とくっついているんですよね。」
だから年齢イコール彼女いない歴です。無理におちゃらけてトモの顔を見て失敗した事に気づく。まだジッと見られている。ほら、ここは笑顔になるべきだ。思い切って童貞の告白をしたんだぞ?
「……そうか。」
表情を変えぬままに言ってくる言葉にまた顔が熱くなる。マジに取んないで、お願いだから。言っちゃった自分が恥ずかしくなるじゃないか。21だぞ? くそっ。教育実習が終わったら、絶対に彼女作る!
何となくのトモとの告白大会をしながら食事を終えた。食べ終わった食器を片付けている間に、トモは自室で少し休むと上がって行った。食器洗いをしながら、トモとの会話を反芻する。
『ゲイだったのはユウ。リョウに熱烈に恋してた。リョウもトモの事を好きだった。そしてトモは他に好きな子がいる。』
なんだろ。みんながみんな一方通行? でも、好きでもない奴とセッ・スできるわけ? でも、昨夜のリョウの表情は……。ここまで考えて頭を振る。誰が誰に片想いしていようが僕には関係ない。ちょっとだけ刺激が強すぎた昨夜の事は忘れて、学校のことに集中しよう。
今日一日はしっかりと指導案に向き合おうと、頭の中で予定を組み立てながら、食器に付いた泡と昨夜からの動揺を流水で流し続けた。
0
お気に入りに追加
32
あなたにおすすめの小説
切なくて、恋しくて〜zielstrebige Liebe〜
水無瀬 蒼
BL
カフェオーナーである松倉湊斗(まつくらみなと)は高校生の頃から1人の人をずっと思い続けている。その相手は横家大輝(よこやだいき)で、大輝は大学を中退してドイツへサッカー留学をしていた。その後湊斗は一度も会っていないし、連絡もない。それでも、引退を決めたら迎えに来るという言葉を信じてずっと待っている。
そんなある誕生日、お店の常連であるファッションデザイナーの吉澤優馬(よしざわゆうま)に告白されーー
-------------------------------
松倉湊斗(まつくらみなと) 27歳
カフェ・ルーシェのオーナー
横家大輝(よこやだいき) 27歳
サッカー選手
吉澤優馬(よしざわゆうま) 31歳
ファッションデザイナー
-------------------------------
2024.12.21~
虐げられている魔術師少年、悪魔召喚に成功したところ国家転覆にも成功する
あかのゆりこ
BL
主人公のグレン・クランストンは天才魔術師だ。ある日、失われた魔術の復活に成功し、悪魔を召喚する。その悪魔は愛と性の悪魔「ドーヴィ」と名乗り、グレンに契約の代償としてまさかの「口づけ」を提示してきた。
領民を守るため、王家に囚われた姉を救うため、グレンは致し方なく自分の唇(もちろん未使用)を差し出すことになる。
***
王家に虐げられて不遇な立場のトラウマ持ち不幸属性主人公がスパダリ系悪魔に溺愛されて幸せになるコメディの皮を被ったそこそこシリアスなお話です。
・ハピエン
・CP左右固定(リバありません)
・三角関係及び当て馬キャラなし(相手違いありません)
です。
べろちゅーすらないキスだけの健全ピュアピュアなお付き合いをお楽しみください。
***
2024.10.18 第二章開幕にあたり、第一章の2話~3話の間に加筆を行いました。小数点付きの話が追加分ですが、別に読まなくても問題はありません。
後輩に嫌われたと思った先輩と その先輩から突然ブロックされた後輩との、その後の話し…
まゆゆ
BL
澄 真広 (スミ マヒロ) は、高校三年の卒業式の日から。
5年に渡って拗らせた恋を抱えていた。
相手は、後輩の久元 朱 (クモト シュウ) 5年前の卒業式の日、想いを告げるか迷いながら待って居たが、シュウは現れず。振られたと思い込む。
一方で、シュウは、澄が急に自分をブロックしてきた事にショックを受ける。
唯一自分を、励ましてくれた先輩からのブロックを時折思い出しては、辛くなっていた。
それは、澄も同じであの日、来てくれたら今とは違っていたはずで仮に振られたとしても、ここまで拗らせることもなかったと考えていた。
そんな5年後の今、シュウは住み込み先で失敗して追い出された途方に暮れていた。
そこへ社会人となっていた澄と再会する。
果たして5年越しの恋は、動き出すのか?
表紙のイラストは、Daysさんで作らせていただきました。
貢がせて、ハニー!
わこ
BL
隣の部屋のサラリーマンがしょっちゅう貢ぎにやって来る。
隣人のストレートな求愛活動に困惑する男子学生の話。
社会人×大学生の日常系年の差ラブコメ。
※現時点で小説の公開対象範囲は全年齢となっております。しばらくはこのまま指定なしで更新を続ける予定ですが、アルファポリスさんのガイドラインに合わせて今後変更する場合があります。(2020.11.8)
■2024.03.09 2月2日にわざわざサイトの方へ誤変換のお知らせをくださった方、どうもありがとうございました。瀬名さんの名前が僧侶みたいになっていたのに全く気付いていなかったので助かりました!
■2024.03.09 195話/196話のタイトルを変更しました。
■2020.10.25 25話目「帰り道」追加(差し込み)しました。話の流れに変更はありません。
悩める文官のひとりごと
きりか
BL
幼い頃から憧れていた騎士団に入りたくても、小柄でひ弱なリュカ・アルマンは、学校を卒業と同時に、文官として騎士団に入団する。方向音痴なリュカは、マルーン副団長の部屋と間違え、イザーク団長の部屋に入り込む。
そこでは、惚れ薬を口にした団長がいて…。
エチシーンが書けなくて、朝チュンとなりました。
ムーンライト様にも掲載しております。
鈍感モブは俺様主人公に溺愛される?
桃栗
BL
地味なモブがカーストトップに溺愛される、ただそれだけの話。
前作がなかなか進まないので、とりあえずリハビリ的に書きました。
ほんの少しの間お付き合い下さい。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる