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教育実習ニ週目
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目を開けるとカーテンを閉め忘れた窓から、どこかで反射した明るい光が部屋を照らしていた。僕の部屋は北側に面しているけど、日光が直接照らさなくても充分に明るい。
『今、何時だ?』
いつものローチェストにスマホが無い。布団の中に手を滑らせると、膝のあたりに固いものが転がっていた。昨夜は中々眠れなかった。空が明るくなってきた頃まで下から声が聞こえていた。怒鳴り声なんかは聞こえてこなかったけど……。
『下に行きたくないな。』
スマホで時間を確認すると10時半。5時間以上は寝てたに違いない。下に行きたくはないが、尿意には逆らえない。この家のトイレは1か所だけだ。部屋に籠城したくても無理がある。
覚悟を決めて布団を抜け出し、ロフトの梯子を降りる。お気に入りのパジャマに着替えることなく寝てしまった。このジーンズもいい加減に洗濯したい。昨日キッチンに運び損ねたコップを掴んでドアを開け一歩踏み出した時に、廊下に一枚の紙が落ちていることに気づいた。
『昨夜は悪かったね。
今日は朝から3人で仕事に行く。
朝食が作ってあるから食べて。yu』
ユウ……。今この家に誰もいないことをどこかで安堵しながら、昨夜見た光景を思い出す。リョウにしがみついて顔を肩に埋めながら腰を振っていた。肩の筋肉も腕の太さもリョウより断然凄かった。もちろん僕よりも。
頭を振って頭の中の記憶を消し去る。気持ちを切り替えて学校の事を考えよう。まだあと2週間残っているんだ。ユウの書いたメモとコップを持ちながら、階下に降りてキッチンに入った。カウンターに朝食が置いてある。そこにも小さなメモ用紙。
『味噌汁は温めて。』
ユウの筆跡と似ているけど微妙に違う気がする。これはトモだろう。おかずは焼き鮭に大根おろし。若布と胡瓜のサラダ? 酢の物? お腹がグゥっと音を立てた。トイレに行って早速いただこう。
ホカホカのご飯に温めた味噌汁をテーブルに運ぶ。焼き鮭に添えてある大根おろしに醤油を少しだけ垂らして準備オーケー。若布と胡瓜の小皿からラップを外すと、酢の香りが仄かに漂ってきた。
「いただきます。」
椅子に座って両手を合わせ、箸を取る。酢の物は嫌いではない。ま、積極的に食べるわけではないけど。でも温かいご飯と一緒に食べるそれは、疲れた体に染み渡っていくような気がした。
「本当にトモの料理って美味いよなぁ。」
ほうれん草と油揚げの味噌汁も絶品だ。予め焼いたのか油揚げに焼き色が見えてどこか香ばしい。どんどん食べ進めていくうちに、玄関のドアが開いた音が聞こえたような気がして、ふと箸を止めた。
リビングのドアに人影が映って緊張する。静かに歩いてきたのは、まだ僕が寝ていると思ったのかもしれない。あの身長からしてユウかトモだ。音も立てずにドアが開いた。
「…………。」
そこに立っていたのは、少しだけ疲れた顔をしたトモだった。
『今、何時だ?』
いつものローチェストにスマホが無い。布団の中に手を滑らせると、膝のあたりに固いものが転がっていた。昨夜は中々眠れなかった。空が明るくなってきた頃まで下から声が聞こえていた。怒鳴り声なんかは聞こえてこなかったけど……。
『下に行きたくないな。』
スマホで時間を確認すると10時半。5時間以上は寝てたに違いない。下に行きたくはないが、尿意には逆らえない。この家のトイレは1か所だけだ。部屋に籠城したくても無理がある。
覚悟を決めて布団を抜け出し、ロフトの梯子を降りる。お気に入りのパジャマに着替えることなく寝てしまった。このジーンズもいい加減に洗濯したい。昨日キッチンに運び損ねたコップを掴んでドアを開け一歩踏み出した時に、廊下に一枚の紙が落ちていることに気づいた。
『昨夜は悪かったね。
今日は朝から3人で仕事に行く。
朝食が作ってあるから食べて。yu』
ユウ……。今この家に誰もいないことをどこかで安堵しながら、昨夜見た光景を思い出す。リョウにしがみついて顔を肩に埋めながら腰を振っていた。肩の筋肉も腕の太さもリョウより断然凄かった。もちろん僕よりも。
頭を振って頭の中の記憶を消し去る。気持ちを切り替えて学校の事を考えよう。まだあと2週間残っているんだ。ユウの書いたメモとコップを持ちながら、階下に降りてキッチンに入った。カウンターに朝食が置いてある。そこにも小さなメモ用紙。
『味噌汁は温めて。』
ユウの筆跡と似ているけど微妙に違う気がする。これはトモだろう。おかずは焼き鮭に大根おろし。若布と胡瓜のサラダ? 酢の物? お腹がグゥっと音を立てた。トイレに行って早速いただこう。
ホカホカのご飯に温めた味噌汁をテーブルに運ぶ。焼き鮭に添えてある大根おろしに醤油を少しだけ垂らして準備オーケー。若布と胡瓜の小皿からラップを外すと、酢の香りが仄かに漂ってきた。
「いただきます。」
椅子に座って両手を合わせ、箸を取る。酢の物は嫌いではない。ま、積極的に食べるわけではないけど。でも温かいご飯と一緒に食べるそれは、疲れた体に染み渡っていくような気がした。
「本当にトモの料理って美味いよなぁ。」
ほうれん草と油揚げの味噌汁も絶品だ。予め焼いたのか油揚げに焼き色が見えてどこか香ばしい。どんどん食べ進めていくうちに、玄関のドアが開いた音が聞こえたような気がして、ふと箸を止めた。
リビングのドアに人影が映って緊張する。静かに歩いてきたのは、まだ僕が寝ていると思ったのかもしれない。あの身長からしてユウかトモだ。音も立てずにドアが開いた。
「…………。」
そこに立っていたのは、少しだけ疲れた顔をしたトモだった。
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