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教育実習一週目
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「いいかっ、風呂は1人ずつだ! 僕が掃除してるんだから一番風呂! 誰も勝手に入ってくるなよっ!」
餃子が焼き上がり、トモが器用にひっくり返して焼き色を確かめていると、斜め前からリョウが話し出した。外国の昔の有名女優の顔がプリントされた白いTシャツにジーンズ。顔がほんのり赤いけど、肌色は戻っている。
「はいはい。じゃ、順番を決めよう。カズはすぐにお風呂に入りたいタイプ?」
目の前のユウがいきなり話を振ってきた。半分濡れた茶髪を無造作に結んでいてもかなり絵になる。長いバスローブを羽織って、すっかりリラックスしているようだけど、この姿で餃子を食べるギャップが可笑しい。夜景でも眺めながらワイングラスを持ってる方が似合いそう。
「いえ、僕はやる事をやってしまってから、寝る直前に入る方がいいです。」
鮭汁の大きな大根を口に入れてた僕は慌てた。よく噛まないで無理矢理飲み込んで話すと、隣のトモがコップに烏龍茶を注いでくれた。
「じゃ、俺やトモが風呂から上がったら、カズに声をかけるよ。それでいい?」
「はい。大丈夫です。」
柔和な微笑みで見られると、少しだけ緊張する。今日はどうしても持ち帰った教科書を確認したい。平方根の単元に入れば何度か授業を任せられるはず。中学の時にはかなり得意だったけど、記憶が薄れている。今日中には全ての問題を解いて……。
「ほら、食べろ。」
それぞれの取り皿に餃子を少しずつ取り分けていたトモが隣から声をかけてきた。エプロンを外したワイシャツとスラックスの姿は、会社帰りそのままだ。帰ってすぐに料理を始めたに違いない。差し出された皿を見る。……美味しそう。あっという間に平方根が頭から追い出された。
「最後に包んでいたキムチありますか?」
僕の言葉にトモがフッと笑って、ホットプレートの隅から2つ取り皿に乗せてくれた。
「あ、ズルい! 僕も食べたい!」
リョウが声を上げる。キムチ……何個あったかな?
「はいはい、ここにあるよ。」
ユウが目の前に並んでいた餃子から、一つ箸で摘んでリョウの取り皿に乗せた。ホッと一安心して餃子に手をつける。
「うまーーっ!」
思わず素が出てしまった。美味しい! ニラとニンニクの香りがマッチして、少し大きめのキャベツの食感もいい。
「だろ? トモの料理は独学だけど、味が絶妙だ。ま、俺らもそんなに頻繁に食べてたわけじゃないけどね。」
何故かウィンクをしながらこちらを見てきたユウの顔を見て、少しだけ耳が熱くなった。イケメン王子様のウィンクは破壊力があるな。絶対にモテるに違いない。
「あの、これから一緒に過ごしていくにあたって、僕も何かしていきたいのですが。」
「そお?」
食事を作ってもらって、洗ってもらった風呂に入り、僕だけが何もしないではいられない。4人で話し合って、食事を作るのはトモ。玄関から廊下、風呂とトイレの掃除はリョウ。リビングとキッチンの掃除とゴミ出しはユウ。僕は夕食後の食器洗いという事で話が纏まった。
「食器洗いだけでいいんですか?」
何となく気が引ける。もっと何かできればいいのに。
「大丈夫、それだけで充分だよ。あ、でも土日は何か頼むかも。」
「そうしてください。」
ユウの微笑みにホッとする。これからずっと一緒に暮らしていくんだ。一番年下で頼りないかもしれないけど、気軽に話ができる仲になりたい。
それからもう一度焼き始めた餃子を堪能し、今までの料理の失敗談なんかを披露し合いながら、和やかに時間が過ぎて行った。
餃子が焼き上がり、トモが器用にひっくり返して焼き色を確かめていると、斜め前からリョウが話し出した。外国の昔の有名女優の顔がプリントされた白いTシャツにジーンズ。顔がほんのり赤いけど、肌色は戻っている。
「はいはい。じゃ、順番を決めよう。カズはすぐにお風呂に入りたいタイプ?」
目の前のユウがいきなり話を振ってきた。半分濡れた茶髪を無造作に結んでいてもかなり絵になる。長いバスローブを羽織って、すっかりリラックスしているようだけど、この姿で餃子を食べるギャップが可笑しい。夜景でも眺めながらワイングラスを持ってる方が似合いそう。
「いえ、僕はやる事をやってしまってから、寝る直前に入る方がいいです。」
鮭汁の大きな大根を口に入れてた僕は慌てた。よく噛まないで無理矢理飲み込んで話すと、隣のトモがコップに烏龍茶を注いでくれた。
「じゃ、俺やトモが風呂から上がったら、カズに声をかけるよ。それでいい?」
「はい。大丈夫です。」
柔和な微笑みで見られると、少しだけ緊張する。今日はどうしても持ち帰った教科書を確認したい。平方根の単元に入れば何度か授業を任せられるはず。中学の時にはかなり得意だったけど、記憶が薄れている。今日中には全ての問題を解いて……。
「ほら、食べろ。」
それぞれの取り皿に餃子を少しずつ取り分けていたトモが隣から声をかけてきた。エプロンを外したワイシャツとスラックスの姿は、会社帰りそのままだ。帰ってすぐに料理を始めたに違いない。差し出された皿を見る。……美味しそう。あっという間に平方根が頭から追い出された。
「最後に包んでいたキムチありますか?」
僕の言葉にトモがフッと笑って、ホットプレートの隅から2つ取り皿に乗せてくれた。
「あ、ズルい! 僕も食べたい!」
リョウが声を上げる。キムチ……何個あったかな?
「はいはい、ここにあるよ。」
ユウが目の前に並んでいた餃子から、一つ箸で摘んでリョウの取り皿に乗せた。ホッと一安心して餃子に手をつける。
「うまーーっ!」
思わず素が出てしまった。美味しい! ニラとニンニクの香りがマッチして、少し大きめのキャベツの食感もいい。
「だろ? トモの料理は独学だけど、味が絶妙だ。ま、俺らもそんなに頻繁に食べてたわけじゃないけどね。」
何故かウィンクをしながらこちらを見てきたユウの顔を見て、少しだけ耳が熱くなった。イケメン王子様のウィンクは破壊力があるな。絶対にモテるに違いない。
「あの、これから一緒に過ごしていくにあたって、僕も何かしていきたいのですが。」
「そお?」
食事を作ってもらって、洗ってもらった風呂に入り、僕だけが何もしないではいられない。4人で話し合って、食事を作るのはトモ。玄関から廊下、風呂とトイレの掃除はリョウ。リビングとキッチンの掃除とゴミ出しはユウ。僕は夕食後の食器洗いという事で話が纏まった。
「食器洗いだけでいいんですか?」
何となく気が引ける。もっと何かできればいいのに。
「大丈夫、それだけで充分だよ。あ、でも土日は何か頼むかも。」
「そうしてください。」
ユウの微笑みにホッとする。これからずっと一緒に暮らしていくんだ。一番年下で頼りないかもしれないけど、気軽に話ができる仲になりたい。
それからもう一度焼き始めた餃子を堪能し、今までの料理の失敗談なんかを披露し合いながら、和やかに時間が過ぎて行った。
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