僕とオオカミどものシェアハウス

もこ

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教育実習一週目

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「ただいま。って、今日は餃子?」
「ああ。ホットプレート出してくれ。」
 廊下で物音がしたと思ったら、ユウが顔を出した。仕事帰りか、ベージュ色の作業服を着ている。少しだけ長い茶髪の髪を1つにまとめて……何の仕事をしてるんだろう?

「風呂に入っている時間ある?」
「今リョウが浸かってる。飯まであと15分ってとこか。」
「あ、そう。」
 ユウが、リビングの隅に置いてあった大きな段ボールから、これまた箱に入っていたホットプレートを取り出して、キッチンに持ってきてくれた。

「洗うだろ?」
「ああ。」
 せっせと餃子を包む僕をそのままに、トモがホットプレートを受け取った。どうやら新品のようだ。大きなホットプレート。焼きながら食べるのか? 初めての経験だ。

「じゃ、風呂に入ってくる。」
 ユウがそのままキッチンを出て行った。リョウさんがお風呂に入っているのに……一緒に入るんだ。いや、別に男どうしだし。変じゃないけど。

 ホットプレートの天板を洗い終えたトモが、テーブルに設置してまた餃子に戻ってきた。
「あの、トモさん。ユウさんとリョウさんとはどんな知り合いなんですか?」
 昨日は何となくはぐらかされた質問をぶつけてみる。教えてくれるだろうか?

「同い年、会社も同じだ。部署は違うが。」
「なぜ、突然ここに?」
 餃子の皮はあと一袋。残り30個っていうところだ。トモが袋を開けて餃子の皮を重ねた。

「偶然。必要に応じて探していたら、3人分の部屋が空いていた。」
 どんな必要があったんだろう……。けど、それ以上聞くのは何となく気が引けて質問を変えることにした。

「どこかで僕とお会いしたことがありますか?」
 そう。なんとなくなんだけど、リョウの馴れ馴れしい感じもユウの話し方も、どこかで会ったような気がするんだ。

「どうして?」
 トモがこちらをジッと見つめてきた。どうしてって言われても……。
「何となく?」
 そういうと、トモがふっと視線を外して餃子の皮を手に取った。

「ま、そのうちわかる。」
 えっ? 会ったことがあるっていうこと? 黒髪に覆われたトモの横顔を見上げる。大学の友だちにはいなかった。いや、この人たちは明らかに年上だ。就活も教員採用試験1本にしているから全然してなかったし……。

「ほら、手が止まってる。」
 トモに言われて我に返る。3つのヒダをつけながら、横目でトモの指先を見る。長い指を器用に動かして、スッスッスッとヒダを作る。見ていて気持ちがいいぐらいだ。

「トモさん、器用ですね。」
 そう言った途端に、バタバタと音がして上半身裸のリョウが飛び込んできた。

 

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