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教育実習一週目
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「五十嵐君、どうだい? 子どもたちと仲良くなったんじゃないか?」
「はぁ。」
佐々木先生の言葉に曖昧に返事をして、ため息を押し殺す。教育実習2日目の記録を提出して、印をもらう。
今日は3つの学年の数学の授業と、道徳の授業を見学させてもらった。後は校長先生と生徒指導担当の後藤先生の講義。放課後は佐々木先生が顧問をしているバドミントン部の練習に付き合い、心を休めている暇がなかった。
「明日からは少しだけ空き時間があるからね。授業の準備に使うといい。」
「はい。ありがとうございます。」
今日は3年生の教科書を持ち帰って。自分で授業をするならどんなふうに流すかくらいシミュレーションしないと。今教えているのは因数分解。僕が授業をするのは、平方根からと言われてる。勉強しなっきゃ。
「はい、また明日。」
「ありがとうございました。お先に失礼します。」
実習記録にハンコをもらって、鞄にしまう。スーツの上着を片手に立ち上がった。2日目の今日も無事終わり。帰ってお風呂に入って……。
『そうだった。』
家には突然同居することになった3人がいるんだった。今朝はトモが朝食を準備してくれていた。後の2人は起きてきてなかった。トモも「食べろ。」と言ったっきり部屋に行ってしまったし。
ホカホカのご飯と温かい味噌汁。ベーコンエッグもえのきの混ざった海苔の佃煮も美味しかった。今夜も手作りのご飯があるのかな?
『イヤイヤ、何を期待してるんだ?』
学校の廊下を歩きながら、今日は味噌汁を作り、レトルトの親子丼を開けて夕飯にしようと心に決めた。
「先生、一緒に帰ろ?」
「うあっ? お、お前たち、どうした?」
校門を出たところで、ジャージ姿の4人が待ち構えていた。もう6時半だ。子どもが残っていていいはずがない。どの部活も1時間前には終わっているはず。
「わー先生待ってたんだよ。7時まで限定でね。先生、家どこ?」
「ぼ、僕は隣町……。」
「バス?」
「う、うん。」
ここまでバスで通ってる。薄暗くなっている今、こいつらを早く帰らせなければ。
「お前たち、佐々木先生に見つかったら問題になるぞ? 黙っていてやるからもう帰れ。」
よくよく顔を見れば、3年2組の奴らだった。自転車を引いている菊池と加納、歩きの佐藤と三井。
「えーー、じゃバス停まで。公園のとこでしょ?」
「あ? ああ。」
菊池が自転車に跨って漕ぎ始める。他の3人も部活がどうの、自学がどうのとおしゃべりしながら歩き始めた。菊池は暗い印象だったけど、そうでもないのか?
学校から100メートルほどのところにあるバス停までを、なぜか中学生に送られるような形で、話を半分くらい聞き流しながら歩き始めた。
「はぁ。」
佐々木先生の言葉に曖昧に返事をして、ため息を押し殺す。教育実習2日目の記録を提出して、印をもらう。
今日は3つの学年の数学の授業と、道徳の授業を見学させてもらった。後は校長先生と生徒指導担当の後藤先生の講義。放課後は佐々木先生が顧問をしているバドミントン部の練習に付き合い、心を休めている暇がなかった。
「明日からは少しだけ空き時間があるからね。授業の準備に使うといい。」
「はい。ありがとうございます。」
今日は3年生の教科書を持ち帰って。自分で授業をするならどんなふうに流すかくらいシミュレーションしないと。今教えているのは因数分解。僕が授業をするのは、平方根からと言われてる。勉強しなっきゃ。
「はい、また明日。」
「ありがとうございました。お先に失礼します。」
実習記録にハンコをもらって、鞄にしまう。スーツの上着を片手に立ち上がった。2日目の今日も無事終わり。帰ってお風呂に入って……。
『そうだった。』
家には突然同居することになった3人がいるんだった。今朝はトモが朝食を準備してくれていた。後の2人は起きてきてなかった。トモも「食べろ。」と言ったっきり部屋に行ってしまったし。
ホカホカのご飯と温かい味噌汁。ベーコンエッグもえのきの混ざった海苔の佃煮も美味しかった。今夜も手作りのご飯があるのかな?
『イヤイヤ、何を期待してるんだ?』
学校の廊下を歩きながら、今日は味噌汁を作り、レトルトの親子丼を開けて夕飯にしようと心に決めた。
「先生、一緒に帰ろ?」
「うあっ? お、お前たち、どうした?」
校門を出たところで、ジャージ姿の4人が待ち構えていた。もう6時半だ。子どもが残っていていいはずがない。どの部活も1時間前には終わっているはず。
「わー先生待ってたんだよ。7時まで限定でね。先生、家どこ?」
「ぼ、僕は隣町……。」
「バス?」
「う、うん。」
ここまでバスで通ってる。薄暗くなっている今、こいつらを早く帰らせなければ。
「お前たち、佐々木先生に見つかったら問題になるぞ? 黙っていてやるからもう帰れ。」
よくよく顔を見れば、3年2組の奴らだった。自転車を引いている菊池と加納、歩きの佐藤と三井。
「えーー、じゃバス停まで。公園のとこでしょ?」
「あ? ああ。」
菊池が自転車に跨って漕ぎ始める。他の3人も部活がどうの、自学がどうのとおしゃべりしながら歩き始めた。菊池は暗い印象だったけど、そうでもないのか?
学校から100メートルほどのところにあるバス停までを、なぜか中学生に送られるような形で、話を半分くらい聞き流しながら歩き始めた。
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