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3:2度目のキスと……
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「俺、食器洗いする。」
駿也があっという間に作った雑炊を食べた後、俺は食器洗いを引き受けた。駿也は「じゃあ、お願いする。」と俺の頭にキスをして、風呂に入りに行ってしまった。
『最近、多いんだって。』
駿也のキスが……。特に頭、そして唇。俺はその度に、ドキドキしてどうしたらいいか分からなくなるんだ。
丼を洗い終えて、水につけておいた土鍋を洗い始める。ここはIHだ。うちはガスコンロだから、電気でも使える土鍋があるとは知らなかった。簡単に汚れが取れて、洗い流すことができた。
カチャ
『!!』
洗面所の扉が開いた音がした。目を向けると、バスタオルを巻いたままの駿也が、頭を拭きながらリビングの隣にある部屋に歩いていった。
『な、何ドキドキしてるんだ?』
男どうし……裸なんて何度も見たことがある。駿也の裸だって高校の時、水泳の授業で……。
『あれ? やっぱり記憶がないぞ?』
7月にたくさん入ったはずの水泳の授業の記憶には、駿也の姿がなかった。でも……今の姿……。
駿也は着痩せするに違いない。腕も、胸にも筋肉がついてた……羨ましいぐらいの……。
『何だか……。』
洗った土鍋を水切り籠の中に伏せて入れて、手を拭く。そうしている間に、部屋から駿也が出てきた。
「洗い物ありがとう。望、この部屋のベッドで寝て。」
「駿也は?」
咄嗟に聞いていた。駿也はVネックの長袖Tシャツとジーンズを履いていた。これからどこかに行くなんて言わないよな?
「ん? こたつで寝るかな。」
「じゃあ、俺もこたつ。」
即答した。駿也と一緒がいい。駿也が硬い畳の上で寝るのなら俺だって……。
「そっか。じゃあこたつで寝るか。」
それから駿也が寝室から取ってきた毛布でお互いに対面に寝床を拵えて、2人で歯磨きをしに洗面所に行った。
「……で、何でまた腕枕?」
目を開けると、カーテンから朝日が差し込み、朝が来たことを告げていた。俺は目の前の駿也の鎖骨を見ながら考えていた。
歯磨きをした後コタツに対面で足を入れ、「お休み。」と言葉を交わして寝たはずだ。今はこたつが足元に追いやられ、2枚の毛布が重ねられて、駿也と一緒に寝ている。駿也の右手は俺の左脇腹にそっと置かれていた。
「起きた?」
突然パッと目を開けた駿也が、俺の体を引き寄せた。
「おはよ。」
額にチュッとキスをされる。とても嬉しいけど、けど……。何となく物足りなく感じている自分がいた。
「駿也……俺たち向かい合わせで寝てたよな? 何で……?」
「明け方寒くて起きた。……嫌だった?」
「いや、嫌だとかそういうことではなくて……。」
何を言いたいのか自分でも分からない。けど、何だか違う気がするんだ。
「どうした?」
駿也が顔を覗き込んできた。駿也の口元を見た途端に、自分が何を求めていたかが分かった。
「駿也……キスして。昨夜みたいに……。」
一瞬、驚いたような顔をした駿也が俺の頭を引き寄せた。
「全く……。」
駿也があっという間に作った雑炊を食べた後、俺は食器洗いを引き受けた。駿也は「じゃあ、お願いする。」と俺の頭にキスをして、風呂に入りに行ってしまった。
『最近、多いんだって。』
駿也のキスが……。特に頭、そして唇。俺はその度に、ドキドキしてどうしたらいいか分からなくなるんだ。
丼を洗い終えて、水につけておいた土鍋を洗い始める。ここはIHだ。うちはガスコンロだから、電気でも使える土鍋があるとは知らなかった。簡単に汚れが取れて、洗い流すことができた。
カチャ
『!!』
洗面所の扉が開いた音がした。目を向けると、バスタオルを巻いたままの駿也が、頭を拭きながらリビングの隣にある部屋に歩いていった。
『な、何ドキドキしてるんだ?』
男どうし……裸なんて何度も見たことがある。駿也の裸だって高校の時、水泳の授業で……。
『あれ? やっぱり記憶がないぞ?』
7月にたくさん入ったはずの水泳の授業の記憶には、駿也の姿がなかった。でも……今の姿……。
駿也は着痩せするに違いない。腕も、胸にも筋肉がついてた……羨ましいぐらいの……。
『何だか……。』
洗った土鍋を水切り籠の中に伏せて入れて、手を拭く。そうしている間に、部屋から駿也が出てきた。
「洗い物ありがとう。望、この部屋のベッドで寝て。」
「駿也は?」
咄嗟に聞いていた。駿也はVネックの長袖Tシャツとジーンズを履いていた。これからどこかに行くなんて言わないよな?
「ん? こたつで寝るかな。」
「じゃあ、俺もこたつ。」
即答した。駿也と一緒がいい。駿也が硬い畳の上で寝るのなら俺だって……。
「そっか。じゃあこたつで寝るか。」
それから駿也が寝室から取ってきた毛布でお互いに対面に寝床を拵えて、2人で歯磨きをしに洗面所に行った。
「……で、何でまた腕枕?」
目を開けると、カーテンから朝日が差し込み、朝が来たことを告げていた。俺は目の前の駿也の鎖骨を見ながら考えていた。
歯磨きをした後コタツに対面で足を入れ、「お休み。」と言葉を交わして寝たはずだ。今はこたつが足元に追いやられ、2枚の毛布が重ねられて、駿也と一緒に寝ている。駿也の右手は俺の左脇腹にそっと置かれていた。
「起きた?」
突然パッと目を開けた駿也が、俺の体を引き寄せた。
「おはよ。」
額にチュッとキスをされる。とても嬉しいけど、けど……。何となく物足りなく感じている自分がいた。
「駿也……俺たち向かい合わせで寝てたよな? 何で……?」
「明け方寒くて起きた。……嫌だった?」
「いや、嫌だとかそういうことではなくて……。」
何を言いたいのか自分でも分からない。けど、何だか違う気がするんだ。
「どうした?」
駿也が顔を覗き込んできた。駿也の口元を見た途端に、自分が何を求めていたかが分かった。
「駿也……キスして。昨夜みたいに……。」
一瞬、驚いたような顔をした駿也が俺の頭を引き寄せた。
「全く……。」
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