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3:君の住むところ
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ブー
スマホのバイブ音で意識が浮上する。
『ん……いい香り。』
爽やかな香りが呼吸をするたびに、鼻に入ってくる。それに温かい……。俺はこたつに腰まで入って寝ていた。気持ちがいい。このまま、ずっと寝ていたい。
俺は、自分の前にある温かいものにしがみついて頭を押し付けると、もっと寝ようと意識を手放した。
ブー
『ん? スマホ?』
目の前にVネックのTシャツの中から覗く鎖骨が見える……。俺はいつの間にか駿也にしがみついて、グッスリと眠っていた。
『あー、美味かった! ごちそうさまっ!』
そう言ってグンと伸びをしたのは覚えてる。胃に血液が集中し始めていて、欠伸が出ていた。
『望は疲れてそうだな。』
駿也が正面で微笑んでいたことも覚えてる。
『で? な、なんで腕枕なんだ?』
俺は、駿也の鎖骨を見つめながら、ドキドキするのを抑えようとしていた。駿也の左手が俺の頭の下にある。右手は俺の背中に……。駿也自身は2つのクッションを枕にしていた。
「望……好きだ。」
右手が俺の背中を滑り、ギュッと力が入ったかと思うと、いきなり駿也が呟いた。
『駿也の寝言? ……寝言だよな?』
顔がカアっとなる。寝ている駿也は高2の時以来だ。足を痛めて保健室に行って、俺が駿也の荷物を取りに行って……。あの時も『のぞむ』って呼ばれた気がしたんだ。
あの頃より少しだけ長くなった髪。茶色に染め上げられた。田崎さんだったころの髪よりちょっとだけ濃いような気もするけど、サラサラな髪が横に流れるように傾いていて綺麗だ。目を瞑っていてもカッコいい。この駿也が、俺のことを好きだなんて……。
俺はちょっとだけ体を伸ばした。駿也の少しだけ開いた唇……。ちょっとだけ心臓の音が煩い……。
「俺も好き。」
ドキドキしながら少しだけ唇を合わせて駿也に囁きかけた。
ブー
『!』
こたつの上で鳴ったスマホの通知音にビクッと肩が動いた。手を伸ばすと、スマホはテーブルの手前に置いたままだった。
『望? 今どこ?』
「やばっ!」
メールは母さんからだった。慌てて起き上がる。時刻は11時半だった。
『友だちの家で寝てた。今から帰る。』
メールを打っていると、隣で駿也が体を起こした。
「望? 誰から?」
「母さん。やばい……お腹がいっぱいで、気持ち良くなって寝ちゃった。」
友だちと夕飯を食べて帰る旨は、駅で電車を待っている間にメールした。けど、こんなに遅くなるはずじゃなかった。
「送ってく。待ってて、何か飲もう。目を覚まさないと。」
欠伸をしながらフローリングに降りていった駿也を見て、ちょっとだけ突っ込みたくなった。
『腕枕してたの……気づいてないわけ?』
「あ、そうだ。」
キッチンの向こう側で、駿也がカウンターにコップを置いた。
「なに?」
「望、俺の寝込みを襲った?」
大きな冷蔵庫からカルピスウォーターを取り出す。
「……。」
な、何を言いたい? さ、さっきの……バレた?
「とってもいい夢を見たんだけど。」
「ど、どんな?」
カウンターを回って、2つのコップと大きなペットボトルを持った駿也が近づいてきた。
「ん? こんな夢。」
こたつにコップとペットボトルを置くと、右手で顔を持ち上げられた。
チュッ
わざとらしいリップ音を響かせて、唇にキスされた。
『駿也……起きてた?』
……俺は顔が沸騰するのが抑えられなかった。
スマホのバイブ音で意識が浮上する。
『ん……いい香り。』
爽やかな香りが呼吸をするたびに、鼻に入ってくる。それに温かい……。俺はこたつに腰まで入って寝ていた。気持ちがいい。このまま、ずっと寝ていたい。
俺は、自分の前にある温かいものにしがみついて頭を押し付けると、もっと寝ようと意識を手放した。
ブー
『ん? スマホ?』
目の前にVネックのTシャツの中から覗く鎖骨が見える……。俺はいつの間にか駿也にしがみついて、グッスリと眠っていた。
『あー、美味かった! ごちそうさまっ!』
そう言ってグンと伸びをしたのは覚えてる。胃に血液が集中し始めていて、欠伸が出ていた。
『望は疲れてそうだな。』
駿也が正面で微笑んでいたことも覚えてる。
『で? な、なんで腕枕なんだ?』
俺は、駿也の鎖骨を見つめながら、ドキドキするのを抑えようとしていた。駿也の左手が俺の頭の下にある。右手は俺の背中に……。駿也自身は2つのクッションを枕にしていた。
「望……好きだ。」
右手が俺の背中を滑り、ギュッと力が入ったかと思うと、いきなり駿也が呟いた。
『駿也の寝言? ……寝言だよな?』
顔がカアっとなる。寝ている駿也は高2の時以来だ。足を痛めて保健室に行って、俺が駿也の荷物を取りに行って……。あの時も『のぞむ』って呼ばれた気がしたんだ。
あの頃より少しだけ長くなった髪。茶色に染め上げられた。田崎さんだったころの髪よりちょっとだけ濃いような気もするけど、サラサラな髪が横に流れるように傾いていて綺麗だ。目を瞑っていてもカッコいい。この駿也が、俺のことを好きだなんて……。
俺はちょっとだけ体を伸ばした。駿也の少しだけ開いた唇……。ちょっとだけ心臓の音が煩い……。
「俺も好き。」
ドキドキしながら少しだけ唇を合わせて駿也に囁きかけた。
ブー
『!』
こたつの上で鳴ったスマホの通知音にビクッと肩が動いた。手を伸ばすと、スマホはテーブルの手前に置いたままだった。
『望? 今どこ?』
「やばっ!」
メールは母さんからだった。慌てて起き上がる。時刻は11時半だった。
『友だちの家で寝てた。今から帰る。』
メールを打っていると、隣で駿也が体を起こした。
「望? 誰から?」
「母さん。やばい……お腹がいっぱいで、気持ち良くなって寝ちゃった。」
友だちと夕飯を食べて帰る旨は、駅で電車を待っている間にメールした。けど、こんなに遅くなるはずじゃなかった。
「送ってく。待ってて、何か飲もう。目を覚まさないと。」
欠伸をしながらフローリングに降りていった駿也を見て、ちょっとだけ突っ込みたくなった。
『腕枕してたの……気づいてないわけ?』
「あ、そうだ。」
キッチンの向こう側で、駿也がカウンターにコップを置いた。
「なに?」
「望、俺の寝込みを襲った?」
大きな冷蔵庫からカルピスウォーターを取り出す。
「……。」
な、何を言いたい? さ、さっきの……バレた?
「とってもいい夢を見たんだけど。」
「ど、どんな?」
カウンターを回って、2つのコップと大きなペットボトルを持った駿也が近づいてきた。
「ん? こんな夢。」
こたつにコップとペットボトルを置くと、右手で顔を持ち上げられた。
チュッ
わざとらしいリップ音を響かせて、唇にキスされた。
『駿也……起きてた?』
……俺は顔が沸騰するのが抑えられなかった。
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