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2:美久ちゃんの告白?

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最上階までエスカレーターを使い、フロアに降り立った。ここは飲食店が並んでいる。ラーメン屋もあるし、和風のレストランも蕎麦屋もある。どこの店もショーウィンドウにクリスマスの飾りが付けられて、ムード満点だ。目指すレストランは結構奥にあるらしい。店を眺めながら、ゆっくりと歩いて行った。

「ね、腕を組んでもいい?」
「あ? ああ、いいよ。」
何で腕を組みたくなったのかは分からないが、同意するとすぐに俺の右腕に美久ちゃんが手を滑り込ませた。

「隆介くんとこうやって歩いてみたいな……。はあーっ……ごめんね。」
「いや、いいよ。」
改めて考える。高校の一時期、確かに美久ちゃんを意識していたことがあった。けど今は妹がもう1人増えた感じがする。もう沙耶は腕を組んでくるなんてしなくなったけど、中1ぐらいまでは結構俺に甘えてきてた。

レストランの入り口に近づくと、ウェイターが1人いてお客様名簿をチェックしているところだった。外からでも分かる。ここの店は飾りに力を入れている。入り口からすぐ見える場所に大きなツリーが飾りつけてあった。

「お二人様ですか? いらっしゃいませ。どうぞ。席までご案内します。」
どこかでみたことがあるようなウエイターが案内してくれた。後ろから、腕を組んだまま中に入り込む。中もツリーを始めとして所々に飾りが置いてあり、天井からも赤や緑の布が垂れ下がっていてとても豪華だった。

「凄い、可愛い!」
俺の隣で美久ちゃんが声を上げる。ここで食事をするのか……。告白するにはいい雰囲気かも。でも、どうやって隆介を誘うんだ?

「うん、凄いな。俺、初めて来た。……あれっ!?田崎さん?」
目の前に、長いカフェエプロンに身を包んだ田崎さんが立っていた。白いワイシャツに真っ黒なカフェエプロン。高い背がますます高く見える。黒も似合う。

「いらっしゃいませ。」
田崎さんは優しそうな笑顔を見せた。笑った顔を見るのは初めてかも。その笑顔に胸のあたりをギュッと掴まれたような気がした。

『ここでバイトしていたんですか?』
話しかけようとしたが、田崎さんは不意に踵を返すとカウンター裏に入って行ってしまった。
「どうぞ、こちらへ。」
案内をしてくれたウエイターの後について、奥のテーブルに座る。置かれたメニューを手に取った。

「何にする?」
冊子になっているメニューの他に、クリスマス特別のディナーセットが載っている一枚のラミネートされたメニューを受け取る。パスタかピザを選ぶだけのお手軽セット。俺たちは即座にパスタの方のAセットを頼んだ。

『田崎さんは……?』
店内の飾り付けを見るふりをして辺りを見渡す。……田崎さんは見当たらなかった。どこか遠くで、「マスター!」と呼びかける男の人の声が聞こえた。
 




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