23 / 134
2:君の唐揚げ
5
しおりを挟む
「望、知り合い?」
おばちゃん論争を中断して、伸一と雅人が俺と茶髪の男を交互に見ていた。
「うん、知り合い知り合い。昨日B棟に忘れ物しててさ。お昼の時に1号室に取りに入ったら、俺が忘れ物していた席のすぐ近くで唐揚げ食べてたんだ。すごーく美味しそうだった。」
そう……駿也の唐揚げと同じ見た目、同じ香りの……味も同じかな?
「……それで唐揚げ君の弁当見たらさ、俺すっごく食べたくなったんだよね。」
何だか俺の話を茶髪の男も聞いていると思うと、口が止まらない。何喋ってんだ? 俺。
「だから、今日は唐揚げなんだ。」
雅人の言葉に自然と笑顔になる。昨日、君が食べていた唐揚げ。見た目は劣るけど、今1番求めていた味。
「そ。昨日売り切れてたから。いただきます!」
箸を手に取り、早速一つ目に齧り付いた。今日の味付けはいつもと違う……? 何だか駿也の唐揚げの味がする。
「う、美味いっ!美味いよ!これ!!」
箸を掴んだまま茶髪の男をみると、呆れたような眼差しをよこされた。しょうがないだろ。……好きなんだから。
「美味いっ!一つ食べる?」
呆れた顔の茶髪の君に話しかける。一個だけならあげてもいいぞ!?
「いや、いい。」
やっぱり駿也と似た声が、茶髪の君から発せられた。顔や体の作りが似ているからかな? 身長は駿也より若干小さいか? っていうくらいだけど、本当にそっくりだ。茶髪の君は自分のお盆に向き直り、鯖に手をつけ始めた。
鯖の味噌煮、美味いよな。家でも母さんがよく作る。大量のネギと煮込んで作るんだ。俺は甘塩っぱい味噌ダレがついたネギの方が好きだった。学食の鯖の味噌煮には……ネギは無いな。
「雅人は今、何のバイトしてるの?」
伸一の言葉から、雅人のバイトの話になった。雅人は今本屋でアルバイトをしているらしい。
「彼女と一緒って……! お前彼女いたのか!?」
雅人に彼女がいる事を知らなかったらしい伸一が、驚きの声を上げて根掘り葉掘り聞き出した。俺は……知ってる。
「いいなぁ。俺も彼女欲しい…….。」
「望君、お待たせっ!」
伸一が溜息をつくと同時に、美久ちゃんが現れた。
「おうっ!待ってない。伸一たちと先に食べてた。」
唐揚げを摘んで上げて見せる。美久ちゃんは、カレーの乗ったお盆を俺の隣に置いて座った。
「伸一君、また望君と肩組んで歩いてたでしょ?沙織ちゃんに聞いたわ。あの2人怪しくない?って言われちゃった!」
怪しい……って……何だ!? ま、まさか俺と伸一が……? 隣に茶髪の君がいると思うと、何故か手を振って全否定したくなる。俺の肩に腕を回すのは、伸一だけじゃない。雅人だって、良太だって……それに、高校の時にはもっといた……駿也も……。
「何、美久ちゃん妬いた?学部が違うと高校の時の友達にも中々会えないんだぜ?懐かしいじゃん。」
「俺ら、結構頻繁に会ってるよな?」
俺が突っ込むと、伸一が笑い声を上げた。
「ははははっ! そうだった。結構頻繁に学食に来てるわ。」
おばちゃん論争を中断して、伸一と雅人が俺と茶髪の男を交互に見ていた。
「うん、知り合い知り合い。昨日B棟に忘れ物しててさ。お昼の時に1号室に取りに入ったら、俺が忘れ物していた席のすぐ近くで唐揚げ食べてたんだ。すごーく美味しそうだった。」
そう……駿也の唐揚げと同じ見た目、同じ香りの……味も同じかな?
「……それで唐揚げ君の弁当見たらさ、俺すっごく食べたくなったんだよね。」
何だか俺の話を茶髪の男も聞いていると思うと、口が止まらない。何喋ってんだ? 俺。
「だから、今日は唐揚げなんだ。」
雅人の言葉に自然と笑顔になる。昨日、君が食べていた唐揚げ。見た目は劣るけど、今1番求めていた味。
「そ。昨日売り切れてたから。いただきます!」
箸を手に取り、早速一つ目に齧り付いた。今日の味付けはいつもと違う……? 何だか駿也の唐揚げの味がする。
「う、美味いっ!美味いよ!これ!!」
箸を掴んだまま茶髪の男をみると、呆れたような眼差しをよこされた。しょうがないだろ。……好きなんだから。
「美味いっ!一つ食べる?」
呆れた顔の茶髪の君に話しかける。一個だけならあげてもいいぞ!?
「いや、いい。」
やっぱり駿也と似た声が、茶髪の君から発せられた。顔や体の作りが似ているからかな? 身長は駿也より若干小さいか? っていうくらいだけど、本当にそっくりだ。茶髪の君は自分のお盆に向き直り、鯖に手をつけ始めた。
鯖の味噌煮、美味いよな。家でも母さんがよく作る。大量のネギと煮込んで作るんだ。俺は甘塩っぱい味噌ダレがついたネギの方が好きだった。学食の鯖の味噌煮には……ネギは無いな。
「雅人は今、何のバイトしてるの?」
伸一の言葉から、雅人のバイトの話になった。雅人は今本屋でアルバイトをしているらしい。
「彼女と一緒って……! お前彼女いたのか!?」
雅人に彼女がいる事を知らなかったらしい伸一が、驚きの声を上げて根掘り葉掘り聞き出した。俺は……知ってる。
「いいなぁ。俺も彼女欲しい…….。」
「望君、お待たせっ!」
伸一が溜息をつくと同時に、美久ちゃんが現れた。
「おうっ!待ってない。伸一たちと先に食べてた。」
唐揚げを摘んで上げて見せる。美久ちゃんは、カレーの乗ったお盆を俺の隣に置いて座った。
「伸一君、また望君と肩組んで歩いてたでしょ?沙織ちゃんに聞いたわ。あの2人怪しくない?って言われちゃった!」
怪しい……って……何だ!? ま、まさか俺と伸一が……? 隣に茶髪の君がいると思うと、何故か手を振って全否定したくなる。俺の肩に腕を回すのは、伸一だけじゃない。雅人だって、良太だって……それに、高校の時にはもっといた……駿也も……。
「何、美久ちゃん妬いた?学部が違うと高校の時の友達にも中々会えないんだぜ?懐かしいじゃん。」
「俺ら、結構頻繁に会ってるよな?」
俺が突っ込むと、伸一が笑い声を上げた。
「ははははっ! そうだった。結構頻繁に学食に来てるわ。」
0
お気に入りに追加
28
あなたにおすすめの小説
くまさんのマッサージ♡
はやしかわともえ
BL
ほのぼの日常。ちょっとえっちめ。
2024.03.06
閲覧、お気に入りありがとうございます。
m(_ _)m
もう一本書く予定です。時間が掛かりそうなのでお気に入りして頂けると便利かと思います。よろしくお願い致します。
2024.03.10
完結しました!読んで頂きありがとうございます。m(_ _)m
今月25日(3/25)のピクトスクエア様のwebイベントにてこの作品のスピンオフを頒布致します。詳細はまたお知らせ致します。
2024.03.19
https://pictsquare.net/skaojqhx7lcbwqxp8i5ul7eqkorx4foy
イベントページになります。
25日0時より開始です!
※補足
サークルスペースが確定いたしました。
一次創作2: え5
にて出展させていただいてます!
2024.10.28
11/1から開催されるwebイベントにて、新作スピンオフを書いています。改めてお知らせいたします。
2024.11.01
https://pictsquare.net/4g1gw20b5ptpi85w5fmm3rsw729ifyn2
本日22時より、イベントが開催されます。
よろしければ遊びに来てください。
男だけど女性Vtuberを演じていたら現実で、メス堕ちしてしまったお話
ボッチなお地蔵さん
BL
中村るいは、今勢いがあるVTuber事務所が2期生を募集しているというツイートを見てすぐに応募をする。無事、合格して気分が上がっている最中に送られてきた自分が使うアバターのイラストを見ると女性のアバターだった。自分は男なのに…
結局、その女性アバターでVTuberを始めるのだが、女性VTuberを演じていたら現実でも影響が出始めて…!?
本能寺から始める異世界天下布武 ~転生した信長は第六天魔王になって異世界に君臨します~
朝日カヲル
ファンタジー
本能寺で死んだ織田信長は、小姓の蘭丸兄弟達と21世紀の日本に子供として転生してしまった。
そして、いつか戦国の世に戻れることを信じて、役に立ちそうな技術を片っ端から習得する。
火薬や製鉄冶金、農業技術や経済など、幅の広い知識を蓄え10年が過ぎた頃、蘭丸兄弟と同級生の女子高生「細川ガラシャ」と一緒になぜか異世界に転移させられてしまう。
そして、その世界を管理する神を名乗る者から、平和と安定をもたらして欲しいと懇願されてしまった。
その世界では、魔力をほとんど持たない非力な人族が、魔力や体力のある他の種族達から奴隷のような扱いを受けている過酷な世界だったのだ。
魔力を与えられた信長は第六天魔王を名乗り、魔法と科学を融合させた今までに無い強力な魔法を次々に生み出す。
そして、人族を虐げていた他種族の戦士を倒していく。
しかし、信長達がどんなに強くても国家には勝てないと悟り、一緒に異世界に来た蘭丸や細川達を四天王として率い、人族の王国を乗っ取ることにした。
そして、今まで多種族にこびへつらい奴隷根性の染みついていた人族に希望を与え、21世紀の内政チートで国力を増強し軍隊を強化する、そして世界を相手に大戦争を起こし、異世界で天下布武を実現する物語。
そして天下布武を実現した信長は、人族が虐げられていたこの世界の秘密に迫っていく。
登場および関連人物
織田信長・森蘭丸・力丸・坊丸・細川ガラシャ・帰蝶・明智光秀
公爵様、契約通り、跡継ぎを身籠りました!-もう契約は満了ですわよ・・・ね?ちょっと待って、どうして契約が終わらないんでしょうかぁぁ?!-
猫まんじゅう
恋愛
そう、没落寸前の実家を助けて頂く代わりに、跡継ぎを産む事を条件にした契約結婚だったのです。
無事跡継ぎを妊娠したフィリス。夫であるバルモント公爵との契約達成は出産までの約9か月となった。
筈だったのです······が?
◆◇◆
「この結婚は契約結婚だ。貴女の実家の財の工面はする。代わりに、貴女には私の跡継ぎを産んでもらおう」
拝啓、公爵様。財政に悩んでいた私の家を助ける代わりに、跡継ぎを産むという一時的な契約結婚でございましたよね・・・?ええ、跡継ぎは産みました。なぜ、まだ契約が完了しないんでしょうか?
「ちょ、ちょ、ちょっと待ってくださいませええ!この契約!あと・・・、一体あと、何人子供を産めば契約が満了になるのですッ!!?」
溺愛と、悪阻(ツワリ)ルートは二人がお互いに想いを通じ合わせても終わらない?
◆◇◆
安心保障のR15設定。
描写の直接的な表現はありませんが、”匂わせ”も気になる吐き悪阻体質の方はご注意ください。
ゆるゆる設定のコメディ要素あり。
つわりに付随する嘔吐表現などが多く含まれます。
※妊娠に関する内容を含みます。
【2023/07/15/9:00〜07/17/15:00, HOTランキング1位ありがとうございます!】
こちらは小説家になろうでも完結掲載しております(詳細はあとがきにて、)
魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました
タタミ
BL
ブラック企業に務める社畜・佐藤流嘉。
クリスマスも残業確定の非リア人生は、トラックの激突により突然終了する。
死後目覚めると、目の前で見目麗しい天使が微笑んでいた。
「ここは天国ではなく魔界です」
天使に会えたと喜んだのもつかの間、そこは天国などではなく魔法が当たり前にある世界・魔界だと知らされる。そして流嘉は、魔界に君臨する最強の支配者『至上様』に転生していたのだった。
「至上様、私に接吻を」
「あっ。ああ、接吻か……って、接吻!?なんだそれ、まさかキスですか!?」
何が起こっているのかわからないうちに、流嘉の前に現れたのは美しい4人の王子。この4王子にキスをして、結婚相手を選ばなければならないと言われて──!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる