俺が送ったメールは瞬時に既読になる。けど、アイツからの返事は一切ないんだ。……俺はいつまで待っていればいい? 〜明日のその先〜

もこ

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1:茶髪の君

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『駿也、どこの大学に行ったの? (大学に行ったよな?) 俺は欅藝大。』

今度、遊びに来ないか? そう打とうとして指が止まった。今までに返事をよこした事がない。このメールだって……。いつも見ているのに返事がないという事は、駿也は会いたいと思ってない、ということだ。……そう思いながらも送信ボタンを押す。やはり、今回もすぐに既読が付いた。画面を見つめる。もしかしたら……今回は……。

やはり返事はなかった。暫くして、もう一度返信がない事を確認して、画面を閉じた。

『はあーっ。駿也と連絡が取れればな……。』
大学に入学して1ヶ月が過ぎた。週一で活動しているバレーボールのサークルにも入ったし、家の近くのコンビニでバイトも始めた。新しく友だちも増えたし、学校は楽しい。でも、胸に刺さった小さな棘が、たまに存在を主張するかのように、チクチクと痛む事があった。

「おーい、駿也、どこで何をしてるんだよっ!」
ベッドの棚から写真を取り、手の中の駿也に呼びかける。この顔を美久ちゃんは一年近く隆介だと思ってた。隆介とは明らかに違う髪型なのに。駿也の方が髪は長くて、猫っ毛だ。サラサラした髪が風で揺れるのが少しだけ羨ましかった。どんなカットすればあんなに軽く見えるんだ? というぐらい……。

「さ、学校に行くか。」
ゴールデンウィーク明けの今日は、午前中の授業が2つとも休講になり、1時過ぎに学校に着ければいい。けれど、家でダラダラとしていて、母さんに話しかけられるのも億劫だ。母さんは下で掃除をしているらしい。掃除機の音がここまで響いていた。

まだ9時を回ったところだけど、早めに大学へ行って図書館でも覗こう、そう計画をしていた。ベッドの棚にある駿也の写真を引き出しに入れ、スマホと鞄を持って下に降りる。

「母さん、行ってくる。」
「今日はずいぶんゆっくりだったじゃない? 火曜日って1時間目からあるんでしょ?」
キッチンに入った俺に気づき、掃除機のスイッチを止めた母さんに話しかけられた。

「うん。大丈夫。今日もバイト。夕飯は食べに帰るから。」
今日は4時過ぎには授業が終わる。6時のバイト前に一度帰る余裕がある。バイト先のコンビニまでは、徒歩でも5分ぐらい。あっという間に着く。

「そ。行ってらっしゃい。」
母さんの言葉を背中で受け止めながら、キッチンを出て玄関へ向かった。

『今日のお昼は何食べようかな。』
この大学の学食は広くて品数も多い。ラーメンの専門店もあるし、本格的なカフェもある。大学って自由な感じだし、高校とはまた違った雰囲気で毎日刺激的だった。




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