11 / 134
1:茶髪の君
1
しおりを挟む
『駿也、どこの大学に行ったの? (大学に行ったよな?) 俺は欅藝大。』
今度、遊びに来ないか? そう打とうとして指が止まった。今までに返事をよこした事がない。このメールだって……。いつも見ているのに返事がないという事は、駿也は会いたいと思ってない、ということだ。……そう思いながらも送信ボタンを押す。やはり、今回もすぐに既読が付いた。画面を見つめる。もしかしたら……今回は……。
やはり返事はなかった。暫くして、もう一度返信がない事を確認して、画面を閉じた。
『はあーっ。駿也と連絡が取れればな……。』
大学に入学して1ヶ月が過ぎた。週一で活動しているバレーボールのサークルにも入ったし、家の近くのコンビニでバイトも始めた。新しく友だちも増えたし、学校は楽しい。でも、胸に刺さった小さな棘が、たまに存在を主張するかのように、チクチクと痛む事があった。
「おーい、駿也、どこで何をしてるんだよっ!」
ベッドの棚から写真を取り、手の中の駿也に呼びかける。この顔を美久ちゃんは一年近く隆介だと思ってた。隆介とは明らかに違う髪型なのに。駿也の方が髪は長くて、猫っ毛だ。サラサラした髪が風で揺れるのが少しだけ羨ましかった。どんなカットすればあんなに軽く見えるんだ? というぐらい……。
「さ、学校に行くか。」
ゴールデンウィーク明けの今日は、午前中の授業が2つとも休講になり、1時過ぎに学校に着ければいい。けれど、家でダラダラとしていて、母さんに話しかけられるのも億劫だ。母さんは下で掃除をしているらしい。掃除機の音がここまで響いていた。
まだ9時を回ったところだけど、早めに大学へ行って図書館でも覗こう、そう計画をしていた。ベッドの棚にある駿也の写真を引き出しに入れ、スマホと鞄を持って下に降りる。
「母さん、行ってくる。」
「今日はずいぶんゆっくりだったじゃない? 火曜日って1時間目からあるんでしょ?」
キッチンに入った俺に気づき、掃除機のスイッチを止めた母さんに話しかけられた。
「うん。大丈夫。今日もバイト。夕飯は食べに帰るから。」
今日は4時過ぎには授業が終わる。6時のバイト前に一度帰る余裕がある。バイト先のコンビニまでは、徒歩でも5分ぐらい。あっという間に着く。
「そ。行ってらっしゃい。」
母さんの言葉を背中で受け止めながら、キッチンを出て玄関へ向かった。
『今日のお昼は何食べようかな。』
この大学の学食は広くて品数も多い。ラーメンの専門店もあるし、本格的なカフェもある。大学って自由な感じだし、高校とはまた違った雰囲気で毎日刺激的だった。
今度、遊びに来ないか? そう打とうとして指が止まった。今までに返事をよこした事がない。このメールだって……。いつも見ているのに返事がないという事は、駿也は会いたいと思ってない、ということだ。……そう思いながらも送信ボタンを押す。やはり、今回もすぐに既読が付いた。画面を見つめる。もしかしたら……今回は……。
やはり返事はなかった。暫くして、もう一度返信がない事を確認して、画面を閉じた。
『はあーっ。駿也と連絡が取れればな……。』
大学に入学して1ヶ月が過ぎた。週一で活動しているバレーボールのサークルにも入ったし、家の近くのコンビニでバイトも始めた。新しく友だちも増えたし、学校は楽しい。でも、胸に刺さった小さな棘が、たまに存在を主張するかのように、チクチクと痛む事があった。
「おーい、駿也、どこで何をしてるんだよっ!」
ベッドの棚から写真を取り、手の中の駿也に呼びかける。この顔を美久ちゃんは一年近く隆介だと思ってた。隆介とは明らかに違う髪型なのに。駿也の方が髪は長くて、猫っ毛だ。サラサラした髪が風で揺れるのが少しだけ羨ましかった。どんなカットすればあんなに軽く見えるんだ? というぐらい……。
「さ、学校に行くか。」
ゴールデンウィーク明けの今日は、午前中の授業が2つとも休講になり、1時過ぎに学校に着ければいい。けれど、家でダラダラとしていて、母さんに話しかけられるのも億劫だ。母さんは下で掃除をしているらしい。掃除機の音がここまで響いていた。
まだ9時を回ったところだけど、早めに大学へ行って図書館でも覗こう、そう計画をしていた。ベッドの棚にある駿也の写真を引き出しに入れ、スマホと鞄を持って下に降りる。
「母さん、行ってくる。」
「今日はずいぶんゆっくりだったじゃない? 火曜日って1時間目からあるんでしょ?」
キッチンに入った俺に気づき、掃除機のスイッチを止めた母さんに話しかけられた。
「うん。大丈夫。今日もバイト。夕飯は食べに帰るから。」
今日は4時過ぎには授業が終わる。6時のバイト前に一度帰る余裕がある。バイト先のコンビニまでは、徒歩でも5分ぐらい。あっという間に着く。
「そ。行ってらっしゃい。」
母さんの言葉を背中で受け止めながら、キッチンを出て玄関へ向かった。
『今日のお昼は何食べようかな。』
この大学の学食は広くて品数も多い。ラーメンの専門店もあるし、本格的なカフェもある。大学って自由な感じだし、高校とはまた違った雰囲気で毎日刺激的だった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
オッサン課長のくせに、無自覚に色気がありすぎる~ヨレヨレ上司とエリート部下、恋は仕事の延長ですか?
中岡 始
BL
「新しい営業課長は、超敏腕らしい」
そんな噂を聞いて、期待していた橘陽翔(28)。
しかし、本社に異動してきた榊圭吾(42)は――
ヨレヨレのスーツ、だるそうな関西弁、ネクタイはゆるゆる。
(……いやいや、これがウワサの敏腕課長⁉ 絶対ハズレ上司だろ)
ところが、初めての商談でその評価は一変する。
榊は巧みな話術と冷静な判断で、取引先をあっさり落としにかかる。
(仕事できる……! でも、普段がズボラすぎるんだよな)
ネクタイを締め直したり、書類のコーヒー染みを指摘したり――
なぜか陽翔は、榊の世話を焼くようになっていく。
そして気づく。
「この人、仕事中はめちゃくちゃデキるのに……なんでこんなに色気ダダ漏れなんだ?」
煙草をくゆらせる仕草。
ネクタイを緩める無防備な姿。
そのたびに、陽翔の理性は削られていく。
「俺、もう待てないんで……」
ついに陽翔は榊を追い詰めるが――
「……お前、ほんまに俺のこと好きなんか?」
攻めるエリート部下 × 無自覚な色気ダダ漏れのオッサン上司。
じわじわ迫る恋の攻防戦、始まります。
【最新話:主任補佐のくせに、年下部下に見透かされている(気がする)ー関西弁とミルクティーと、春のすこし前に恋が始まった話】
主任補佐として、ちゃんとせなあかん──
そう思っていたのに、君はなぜか、俺の“弱いとこ”ばっかり見抜いてくる。
春のすこし手前、まだ肌寒い季節。
新卒配属された年下部下・瀬戸 悠貴は、無表情で口数も少ないけれど、妙に人の感情に鋭い。
風邪気味で声がかすれた朝、佐倉 奏太は、彼にそっと差し出された「ミルクティー」に言葉を失う。
何も言わないのに、なぜか伝わってしまう。
拒むでも、求めるでもなく、ただそばにいようとするその距離感に──佐倉の心は少しずつ、ほどけていく。
年上なのに、守られるみたいで、悔しいけどうれしい。
これはまだ、恋になる“少し前”の物語。
関西弁とミルクティーに包まれた、ふたりだけの静かな始まり。
(5月14日より連載開始)
【完結】気が付いたらマッチョなblゲーの主人公になっていた件
白井のわ
BL
雄っぱいが大好きな俺は、気が付いたら大好きなblゲーの主人公になっていた。
最初から好感度MAXのマッチョな攻略対象達に迫られて正直心臓がもちそうもない。
いつも俺を第一に考えてくれる幼なじみ、優しいイケオジの先生、憧れの先輩、皆とのイチャイチャハーレムエンドを目指す俺の学園生活が今始まる。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる