未来も過去も ーコウイチー

再会

2

二階にあるカフェは「ミノ・カフェ」。3か月前にオープンしたばかりで、ショッピングモールにありながらチェーン店ではなく、本格的なコーヒーとクロワッサンが食べられると評判の店だった。1か月前まではとても入ろうとは思えないほどの混雑ぶりだったが今は大分落ち着いたようだ。

「いらっしゃいませ。お一人様ですか？」

茶色の長いカフェエプロンに身を包んだ女性の店員に、奥のテーブルに案内された。席に座ってメニューを取る。眺めていたが、なかなか去らない店員に気づいた。

「…何か？」

「あっ！ご注文がお決まりになりましたらお呼びくださいっ！」
店員は、顔を真っ赤にして走り去った。

こういう店に来るとよくある事だ。この後でコーヒーと一緒に電話番号が書かれた紙が来ても、格段驚く事でも無くなった。今まで電話したことなどないが…。

コーヒーの銘柄を決め、目の合った店員を呼ぶため片手を上げた。