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おまけ(ボタン・真人)
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「なぁ、卒業式の後さ、俺、制服のボタンあげたじゃん?あれ、どうした?」
悠の言葉に味噌を入れていた手がピクッと反応した。
「ん?取ってあるよ…。」
平然を装いながら、味噌を溶かし込む。実は、悠に貰ったボタンは、貰ったその日に封筒の中に入れて、机の引き出しにしまったままだった。1度も取り出した事がない。今あるのかどうかも分からない。そもそも封筒に入れた記憶も…あやふやだった。
「あるんだったらさ、これ、一緒にしておきたいんだよね。どこにある?」
悠が宝物箱を持ち上げた。1度見せてもらった宝物箱。野球ボールが入るかな?というぐらいの大きさだが、半分ぐらいが悠の宝物で埋まっていた。
ビールやジュースの王冠、真っ黒でツルツルした石、深緑や青いガラスの欠けら、貝がら…。その中にポツンと制服のボタンが入れられていた。
「2階の机の中…。しまってある。」
「じゃ、取ってきて。俺、これやっとくから。」
後ろからこめかみにちゅっとキスをされて、おたまを奪われた。顔が熱くなる…。未だに「ゆう」が「悠」だと実感がない。
今夜のメニューは豚カツとシャケのアラ汁。味噌を溶いて、ネギを散らせば出来上がり。どちらも悠の大好物だというのは最近分かった。悠は台所に立つことも多くなったし…。大丈夫かな?
俺とお揃いのカフェエプロンを身につけた悠の後ろ姿を見ながら、キッチンを後にした。
『ないな…。』
確か茶色の封筒に入れて封をしてしまったはず…。1番上の引き出しには、ペンやハサミなどの筆記用具の他に、悠から貰った手紙が入れられていた。2番目の引き出しには、箱ティッシュやビニール紐、ガムテやドライバーセットなんかが雑然と入れてある。
『ここでもない。』
1番下の引き出しをあけた。ここには、専門学校に行っていた時のノートや資料、そして…。
『ディ・ドっ!』
白いタオルに包まれたディ・ドが入っていた。知らず知らずのうちに顔が熱くなる…。ここ2カ月の間、使う事が無くなってすっかり忘れていた。もう、「代わり」はいらないから…。…捨てようかな。
『この引き出しに入っているかもしれない。』
デイ・ドとノートをとりだし、ノートや資料の間も覗いてみる。脚のある丸いボタンだからすぐにわかるはず…。
『ない…。』
本格的に焦ってきた。捨てるはずはない。そんなに出し入れする引き出しじゃないし。頻繁に使うとしたら箱ティッシュぐらいだ…。何年もこのままのはず…。あれ?高校卒業と同時に整理した……!?…もしかしてその時に間違って捨てたのか?
1番下の引き出しを空にして呆然としていた時、ふと視界に入ったものがあった。白い物…。引き出しじゃなく、その奥に入っている…紙?…封筒……??
とりあえず取ろうと引き出しの上から腕をのばした。
「何やってんの?」
突然、上から悠の声が聞こえた。
悠の言葉に味噌を入れていた手がピクッと反応した。
「ん?取ってあるよ…。」
平然を装いながら、味噌を溶かし込む。実は、悠に貰ったボタンは、貰ったその日に封筒の中に入れて、机の引き出しにしまったままだった。1度も取り出した事がない。今あるのかどうかも分からない。そもそも封筒に入れた記憶も…あやふやだった。
「あるんだったらさ、これ、一緒にしておきたいんだよね。どこにある?」
悠が宝物箱を持ち上げた。1度見せてもらった宝物箱。野球ボールが入るかな?というぐらいの大きさだが、半分ぐらいが悠の宝物で埋まっていた。
ビールやジュースの王冠、真っ黒でツルツルした石、深緑や青いガラスの欠けら、貝がら…。その中にポツンと制服のボタンが入れられていた。
「2階の机の中…。しまってある。」
「じゃ、取ってきて。俺、これやっとくから。」
後ろからこめかみにちゅっとキスをされて、おたまを奪われた。顔が熱くなる…。未だに「ゆう」が「悠」だと実感がない。
今夜のメニューは豚カツとシャケのアラ汁。味噌を溶いて、ネギを散らせば出来上がり。どちらも悠の大好物だというのは最近分かった。悠は台所に立つことも多くなったし…。大丈夫かな?
俺とお揃いのカフェエプロンを身につけた悠の後ろ姿を見ながら、キッチンを後にした。
『ないな…。』
確か茶色の封筒に入れて封をしてしまったはず…。1番上の引き出しには、ペンやハサミなどの筆記用具の他に、悠から貰った手紙が入れられていた。2番目の引き出しには、箱ティッシュやビニール紐、ガムテやドライバーセットなんかが雑然と入れてある。
『ここでもない。』
1番下の引き出しをあけた。ここには、専門学校に行っていた時のノートや資料、そして…。
『ディ・ドっ!』
白いタオルに包まれたディ・ドが入っていた。知らず知らずのうちに顔が熱くなる…。ここ2カ月の間、使う事が無くなってすっかり忘れていた。もう、「代わり」はいらないから…。…捨てようかな。
『この引き出しに入っているかもしれない。』
デイ・ドとノートをとりだし、ノートや資料の間も覗いてみる。脚のある丸いボタンだからすぐにわかるはず…。
『ない…。』
本格的に焦ってきた。捨てるはずはない。そんなに出し入れする引き出しじゃないし。頻繁に使うとしたら箱ティッシュぐらいだ…。何年もこのままのはず…。あれ?高校卒業と同時に整理した……!?…もしかしてその時に間違って捨てたのか?
1番下の引き出しを空にして呆然としていた時、ふと視界に入ったものがあった。白い物…。引き出しじゃなく、その奥に入っている…紙?…封筒……??
とりあえず取ろうと引き出しの上から腕をのばした。
「何やってんの?」
突然、上から悠の声が聞こえた。
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