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3回目〜5年前〜(悠)
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『きったねー部屋だな。』
5年の時を戻って入った自分の部屋は、脱いだものの衣類がそこら中に落ちていた。…洗濯はやばいと思ったらまとめてやってたんだっけ。今は…2日に一回は洗濯機を回してる。成長したもんだ。
『この様子じゃ、今は付き合ってる奴はいないな。』
基本、部屋に誰か上げる予定があれば、ある程度片付けてたはず。…思い出した。今の時期に浩也に声をかけられたんだ…。大学の2コ先輩。ま、2か月は持たなかったな。でも、色々教えてもらった…。
ベッドの上にダンボールを見つける。宝物箱は…あった。缶はベッドの頭の棚に無造作に置かれていた。ベッドに座って蓋を開ける。
『?………!!!』
『あの、俺、先輩の事好きなんです。付き合ってもらえませんか?』
ガラスのかけらや王冠に混ざっていた1つの小さなボタンを手に取った時、全身が雷に打たれたような衝撃が走った。高校の制服の腕のボタン…。まことの腕から引きちぎったもの…。あの時の声が鮮明に思い出された。まこと…そうだ、まことだ。…綺麗な…瞳…だった…。
『ゆう…じろう…さん…』
4年前に飛んだ時に助けた男…。
『失礼ですが、お客様のお名前を伺っても…?』
1年前に飛んだ時に出会ったカフェの店員…。
『まことだ。…思い出した。俺の2コ下で高校の卒業式の時に…。』
俺はボタンをポケットに入れ、宝物箱をもとに戻すと、急いでアパートを出た。
今日はどうしても確かめたいことがある……!
電車に飛び乗り、これからの計画を立てる。まだ12時を過ぎたとこだが、任務にどのくらい時間がかかるか分からない。できれば、モールに戻る前に高校に寄りたい…。洸一さんが『奥村真人』って言ってた…確かめたい。
1時間ほどで、目的の駅に着いた。電車の中で頭に入れた地図を元に走り出す。
「はあ、はあ、はあ…。あー、きっつっ!」
長距離には自信があるが、さすがに全力疾走し過ぎた。目的地の近くまで来た事は分かっているが、もう一度検索しようと、近くの古い雑貨屋の前のベンチに座った。
『…はぁ~…昼…食べてないな。』
ま、いいか。食欲がない。店の自販機でお茶を買う。座って半分ほど飲み干すと、どっと汗が出てきた。目的地を探すと、ここの裏手を100メートル程進んだところ。道が入り組んでいてわかりづらい。スマホのアプリを立ち上げながら進むことにした。お茶を飲み干して立ち上がる。時間が惜しい。
5分程でたどり着いた家は、広い庭付きの一戸建てだった。お洒落な低い塀がぐるりと土地を囲む。家もまだ新しい。門に近づくと、郵便受けに新聞が挟まっていた。表札は「佐藤」の文字。間違いない。ここだ。インターフォンを鳴らすが誰も出ない。
『留守か?…旅行…?』
よく見ると、郵便受けに2日分の新聞が溜まっていた。
『夕方来てみるか…。』
一旦、そこを離れることに決めた。
5年の時を戻って入った自分の部屋は、脱いだものの衣類がそこら中に落ちていた。…洗濯はやばいと思ったらまとめてやってたんだっけ。今は…2日に一回は洗濯機を回してる。成長したもんだ。
『この様子じゃ、今は付き合ってる奴はいないな。』
基本、部屋に誰か上げる予定があれば、ある程度片付けてたはず。…思い出した。今の時期に浩也に声をかけられたんだ…。大学の2コ先輩。ま、2か月は持たなかったな。でも、色々教えてもらった…。
ベッドの上にダンボールを見つける。宝物箱は…あった。缶はベッドの頭の棚に無造作に置かれていた。ベッドに座って蓋を開ける。
『?………!!!』
『あの、俺、先輩の事好きなんです。付き合ってもらえませんか?』
ガラスのかけらや王冠に混ざっていた1つの小さなボタンを手に取った時、全身が雷に打たれたような衝撃が走った。高校の制服の腕のボタン…。まことの腕から引きちぎったもの…。あの時の声が鮮明に思い出された。まこと…そうだ、まことだ。…綺麗な…瞳…だった…。
『ゆう…じろう…さん…』
4年前に飛んだ時に助けた男…。
『失礼ですが、お客様のお名前を伺っても…?』
1年前に飛んだ時に出会ったカフェの店員…。
『まことだ。…思い出した。俺の2コ下で高校の卒業式の時に…。』
俺はボタンをポケットに入れ、宝物箱をもとに戻すと、急いでアパートを出た。
今日はどうしても確かめたいことがある……!
電車に飛び乗り、これからの計画を立てる。まだ12時を過ぎたとこだが、任務にどのくらい時間がかかるか分からない。できれば、モールに戻る前に高校に寄りたい…。洸一さんが『奥村真人』って言ってた…確かめたい。
1時間ほどで、目的の駅に着いた。電車の中で頭に入れた地図を元に走り出す。
「はあ、はあ、はあ…。あー、きっつっ!」
長距離には自信があるが、さすがに全力疾走し過ぎた。目的地の近くまで来た事は分かっているが、もう一度検索しようと、近くの古い雑貨屋の前のベンチに座った。
『…はぁ~…昼…食べてないな。』
ま、いいか。食欲がない。店の自販機でお茶を買う。座って半分ほど飲み干すと、どっと汗が出てきた。目的地を探すと、ここの裏手を100メートル程進んだところ。道が入り組んでいてわかりづらい。スマホのアプリを立ち上げながら進むことにした。お茶を飲み干して立ち上がる。時間が惜しい。
5分程でたどり着いた家は、広い庭付きの一戸建てだった。お洒落な低い塀がぐるりと土地を囲む。家もまだ新しい。門に近づくと、郵便受けに新聞が挟まっていた。表札は「佐藤」の文字。間違いない。ここだ。インターフォンを鳴らすが誰も出ない。
『留守か?…旅行…?』
よく見ると、郵便受けに2日分の新聞が溜まっていた。
『夕方来てみるか…。』
一旦、そこを離れることに決めた。
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