未来も過去も

「管理人室」

5

部屋に帰ってきた。昨日大汗をかいて気持ち悪くてかなわない。俺はすぐにシャワーを浴びることにした。熱も下がったし、シャワーをさっと浴びるくらい、きっと大丈夫だろう。

脱衣所で服を脱ぎ捨て、洗濯機に放り込もうとした。コウイチの黒のスウェットを抱える。俺には大きすぎるそれ…。いつの間にか匂いを嗅いでいる自分に気付いてハッとした。

『何やってんだ、俺…。』

床にスウェットを置く。誰が見ているわけでもないのに、一人で照れながら浴室に入った。シャワーを出して頭から浴びる。シャンプーをして、体を洗おうとボディソープを手に取った。肩から腕を洗い始めてハッとする。手首近くにうっすらと赤いアザができていた。

『…………。』

そのアザを見ているうちに、昨日のことを思い出す。気がつくと身体がガタガタ震えていた。

『嫌だ、嫌だ、…嫌だっ！』

俺は震える手でシャワーヘッドを持ち、適当に体の泡を流して浴室を飛び出した。タオルで体をさっと拭き、そのままベッドにダイブする。ガタガタ震えながら布団の中で丸くなった。

「過去の部屋」まで戻りたい。…コウイチに会いたい…。しかしそんな女々しい行動をするのは、俺のプライドが許さなかった。

…気がつくと、裸のまま、コウイチに借りたスウェットを抱きしめていた。無意識にここまで持ってきてしまった。迷わず匂いを吸い込む。洗濯してあったはずのそれは、コウイチの匂いがついているわけない。でも、今朝、ベッドで感じたコウイチの温もりを思い出す。そして、コウイチを身近に感じることができて次第に落ち着いてきた。

気持ちが落ち着くと、なんだか他の気持ちがムクムクと沸き起こってきた…。
『やばい。…何だ、これ？』
下半身に手を伸ばす。俺の分身がだんだんと頭をもたげていた。恐る恐る指で輪を作って擦ってみる。

『やばい。…気持ちイイ…』
普段滅多に排出しないそこは、今や痛いほど硬くなりすぐにでも破裂しそうだ。

『俺の方が4つも年上なんだけどな。』

『コウイチっ…！』
コウイチの低音ボイスと、表情を思い出した途端に、俺の手の中で分身が弾けた。

「はあ、はあ、はあ…。」
冷静になるととても恥ずかしい。ティッシュを取り、手を拭ってから布団の奥深くに潜り込む。

『コウイチって、好きな子いるのかな…。』
自分でも女々しいと思いながらも、コウイチのスウェットの匂いを嗅ぎながらそんな思考を止められなかった。

…その晩は、なかなか眠りが訪れなかった。