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巌城という男
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「ちょっと失礼しますよー。」
言葉とともに胸に冷たい聴診器を当てられ目が覚めた。
「おや…起きましたね。では喉を…。」
白衣を纏った初老の男が慣れた手つきで口を開けさせ、その後首筋や目を確認してから手を離した。そして、俺の足元の方に顔を向け誰かに話し始めた。
「お話は先ほど巌城さんから聞きました。ショックと疲労による発熱でしょうね。明日には下がるでしょうが、もし続くようならもう一度病院の方で診せてください。」
「はい。ありがとうございました。」
コウイチの声だ…。コウイチ…どこ?
「では、私はこれで…。」
視線を下に向けると、医者とコウイチが部屋から出て行く所だった。
『コウイチ、…待って。行かないで。』
追いすがるように手を伸ばす。声をかけようとしたが、なかなか声が出ない。また体が震えだした。コウイチにギュッとして欲しい。安心させて欲しい…。
部屋の外から声が聞こえる…。
「わかったから!…今日はもういいだろう!?」
「いいさ。でもお前、1号室には絶対に近づくなよ?犯罪者は出したくない…っと。」
足元の開いたドアから入ってきた巌城さんが、俺が目覚めているのに気付いた。
「小野寺君、酷い目に遭ったね。今日はここに泊まって。コウ…イチくんに面倒見させるから…なっ?」
コウイチの方に視線を移す。
「ああ。安心していい。」
コウイチの声を聞いただけで、震えが少しおさまってきた。
「はい。ありがとうございます。」
やっと出した声は、掠れて震えた。
「後、1週間は病休ね。これ、所長命令。」
1週間も休んで大丈夫なのかな?頭をよぎったのは生田のふくれ顔。しかし、今は何も考えられない。
「はい…。ありがとうございます。」
「もう少し、休みなさい。あ、水分は摂ってね。佐々木さんが病院のジュースたくさん持ってきてくれたから。コウ…イチくん、隣の部屋のテーブルにあるから…。」
「ああ。大丈夫だ。」
「じゃ、私はこれで。」
巌城さんが部屋を出て行く。コウイチも後に続いた。部屋の外で何やら話し込んでいるようだ。俺は首を回して、部屋を確認した。俺は、広いベッドに寝ていた。
『コウイチの部屋だ。…管理人室。』
震えながら、それだけは理解できた。眠ろう…。ずっと寝ていたような気もするが、まだまだ眠い…。
「水、飲めるか?」
いつの間にか戻ってきたコウイチが声をかけてきた。
言葉とともに胸に冷たい聴診器を当てられ目が覚めた。
「おや…起きましたね。では喉を…。」
白衣を纏った初老の男が慣れた手つきで口を開けさせ、その後首筋や目を確認してから手を離した。そして、俺の足元の方に顔を向け誰かに話し始めた。
「お話は先ほど巌城さんから聞きました。ショックと疲労による発熱でしょうね。明日には下がるでしょうが、もし続くようならもう一度病院の方で診せてください。」
「はい。ありがとうございました。」
コウイチの声だ…。コウイチ…どこ?
「では、私はこれで…。」
視線を下に向けると、医者とコウイチが部屋から出て行く所だった。
『コウイチ、…待って。行かないで。』
追いすがるように手を伸ばす。声をかけようとしたが、なかなか声が出ない。また体が震えだした。コウイチにギュッとして欲しい。安心させて欲しい…。
部屋の外から声が聞こえる…。
「わかったから!…今日はもういいだろう!?」
「いいさ。でもお前、1号室には絶対に近づくなよ?犯罪者は出したくない…っと。」
足元の開いたドアから入ってきた巌城さんが、俺が目覚めているのに気付いた。
「小野寺君、酷い目に遭ったね。今日はここに泊まって。コウ…イチくんに面倒見させるから…なっ?」
コウイチの方に視線を移す。
「ああ。安心していい。」
コウイチの声を聞いただけで、震えが少しおさまってきた。
「はい。ありがとうございます。」
やっと出した声は、掠れて震えた。
「後、1週間は病休ね。これ、所長命令。」
1週間も休んで大丈夫なのかな?頭をよぎったのは生田のふくれ顔。しかし、今は何も考えられない。
「はい…。ありがとうございます。」
「もう少し、休みなさい。あ、水分は摂ってね。佐々木さんが病院のジュースたくさん持ってきてくれたから。コウ…イチくん、隣の部屋のテーブルにあるから…。」
「ああ。大丈夫だ。」
「じゃ、私はこれで。」
巌城さんが部屋を出て行く。コウイチも後に続いた。部屋の外で何やら話し込んでいるようだ。俺は首を回して、部屋を確認した。俺は、広いベッドに寝ていた。
『コウイチの部屋だ。…管理人室。』
震えながら、それだけは理解できた。眠ろう…。ずっと寝ていたような気もするが、まだまだ眠い…。
「水、飲めるか?」
いつの間にか戻ってきたコウイチが声をかけてきた。
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