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「過去の部屋」
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エレベーターまでは20メートルもないぐらいだから、あっという間に着いた。田所さんは荷物を下ろして支えながら、当然のように下へ向かうボタンを押した。
「あの、俺はここで。」
休みだと言った以上、下に降りないのは気が引けたが、これ以上田所さんと関わりたくなかった。どこに行くのか訊ねられるのはまずい。外へ出るのだと思われるのはもっとまずい。
「ああ、じゃあ私はこれで。」
何か考えていた田所さんはこちらを向くと、意外にもアッサリと荷物を離して解放してくれた。
「ありがとうございました。」
ホッとしてつい笑顔になって挨拶をした。
田所さんは一瞬ビックリしたような顔をしたが、みるみる耳を赤くして口元を押さえた。
「こちらこそ。今度、一緒にご飯でも食べましょう。」
モゴモゴ手の中で喋ると、ちょうどきたエレベーターに入っていった。
『ご飯でも食べましょ、って何だ?何で赤くなった?』
頭がはてなマークでいっぱいになったが、気を取り直して荷物を持ち上げた。
「っと、と…。」
思ったより重い。田所さんよく肩の上に上げたな。俺にも出来るかな。その方が楽なのかも。思い切り抱え上げ、肩の上に乗せようとしたが、バランスを崩した。
「おおおっ!」
まずい!落としちゃダメだ!荷物を両手でがっしりと掴んだが、バランスを保てず、後ろによろけてしまった。
幸い1、2歩後退したところが壁で、ドスンとぶつかって止まった。そのままズルズルとしゃがみ込む。荷物を落とさなくて良かったあ。この重さは無理だ。どこかに台車ないかな?キョロキョロと辺りを見回していると、「ピン」と音がして目の前の扉が開いた。
「…何をしている?」
低音ボイスで呟きながらエレベーターから出てきたのはコウイチだった。何だかグレーのパーカーの上に黒のミリタリーシャツを重ねて楽な装いだ。明るい色のズボンが足の長さを強調している。これで髪型変えればモテるだろうに。
「あ、お、重くて…。ちょっとバランス崩した。」
何だか恥ずかしくて、ヘラリと笑ってみせた。コウイチは、俺の腹にある荷物を持ち上げ傍に置くと、手を差し伸べて立たせてくれた。
「どこに行くんだ。」
荷物を抱えてこちらを見た。俺は上を指で示した。
「君のとこ。」
「はあ?」
狙い通り、唖然としてくれた。ちょっと嬉しい。
「それ、プレゼント。いつも美味しいご飯食べさせてもらってるから。」
「あの、俺はここで。」
休みだと言った以上、下に降りないのは気が引けたが、これ以上田所さんと関わりたくなかった。どこに行くのか訊ねられるのはまずい。外へ出るのだと思われるのはもっとまずい。
「ああ、じゃあ私はこれで。」
何か考えていた田所さんはこちらを向くと、意外にもアッサリと荷物を離して解放してくれた。
「ありがとうございました。」
ホッとしてつい笑顔になって挨拶をした。
田所さんは一瞬ビックリしたような顔をしたが、みるみる耳を赤くして口元を押さえた。
「こちらこそ。今度、一緒にご飯でも食べましょう。」
モゴモゴ手の中で喋ると、ちょうどきたエレベーターに入っていった。
『ご飯でも食べましょ、って何だ?何で赤くなった?』
頭がはてなマークでいっぱいになったが、気を取り直して荷物を持ち上げた。
「っと、と…。」
思ったより重い。田所さんよく肩の上に上げたな。俺にも出来るかな。その方が楽なのかも。思い切り抱え上げ、肩の上に乗せようとしたが、バランスを崩した。
「おおおっ!」
まずい!落としちゃダメだ!荷物を両手でがっしりと掴んだが、バランスを保てず、後ろによろけてしまった。
幸い1、2歩後退したところが壁で、ドスンとぶつかって止まった。そのままズルズルとしゃがみ込む。荷物を落とさなくて良かったあ。この重さは無理だ。どこかに台車ないかな?キョロキョロと辺りを見回していると、「ピン」と音がして目の前の扉が開いた。
「…何をしている?」
低音ボイスで呟きながらエレベーターから出てきたのはコウイチだった。何だかグレーのパーカーの上に黒のミリタリーシャツを重ねて楽な装いだ。明るい色のズボンが足の長さを強調している。これで髪型変えればモテるだろうに。
「あ、お、重くて…。ちょっとバランス崩した。」
何だか恥ずかしくて、ヘラリと笑ってみせた。コウイチは、俺の腹にある荷物を持ち上げ傍に置くと、手を差し伸べて立たせてくれた。
「どこに行くんだ。」
荷物を抱えてこちらを見た。俺は上を指で示した。
「君のとこ。」
「はあ?」
狙い通り、唖然としてくれた。ちょっと嬉しい。
「それ、プレゼント。いつも美味しいご飯食べさせてもらってるから。」
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