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指輪
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5月27日(木)am11:30
『今日もダメだった。5時半なのに何で起きるかな…。』
洸一の寝ている隙を狙うミッションは、今朝も失敗に終わっていた。
「….という事で、メガネの扱いについてはいいな。可能な限り顔を見るようにするんだ。質問は?」
生田の講義が終わろうとしていたことに気づき、パワーポイントを終了させる。俺は今回はお手伝い。パワーポイントを動かしながら、伊那村と一緒に生田の話を聞いていた。
「いつメガネのスイッチを切ったらいいんですか?俺、毎回泊まりになると聞いたんですけど。」
伊那村が質問する。コイツも自分の任務の事がだんだんわかってきたな。
「ホテルの部屋に入ったらでいいんじゃないか?もう、他人に関わらないわけだし。」
俺が生田に代わって、質問に答えてやる。
「小野寺先輩も泊まりが多かったんでしょ、小野寺先輩は?」
伊那村にまた、聞き返された。
「お、俺は…。」
正直に言うと、巌城家に着いたらすぐにメガネを渡し、帰りに受け取っていただけだから、その間は記録なしで過ごしていた事になる。でも、正直に言うべきか言わざるべきか…。
「その日の任務が終了したら、後はいいだろ。俺も一度、ホテルに泊まった時、『任務終了』と紙に書いてメガネを外したぜ?」
あれ?生田が泊まりっていつだっけ…?
「その後、ホテルから出たりは?」
「ま、…想像に任せる。」
俺が生田の泊まりを思い出そうとしているわきで、会話がどんどん進んでいった。
「そうなんですね!了解です!」
伊那村が俄然元気になった。そうだ、19年前に行ったんだった…2泊で。一泊目は「過去の部屋」。そして2泊目が駅前のホテルだ…。「過去の部屋」に泊まって…どこに寝たんだ?ま、ま、まさかベッド…!?…洸一と…一緒にっ!?
モヤモヤした気分のまま、研修という名の俺たちの講義が終わった。
「なあ、生田が19年前に飛んだ時さ…。」
後片付けが終わって、スクリーンを伊那村が倉庫へ持っていった。小会議室には俺たちだけ。
「ん?何?」
生田が資料を纏めてカバンに入れながら俺の方を見る。意を決して、聞いてみた。
「1日目、『過去の部屋』に泊まったろ?どこで寝たの?」
「ん?…管理人室のベッド。」
さあっと全身の血が下に下がっていった。ベ、ベ、ベッド!?
「あははははっ!ウソウソ。ほら、最初の頃スキャンにカプセル使ってただろ?アレだ、あれ。小野寺、顔真っ青。」
今度は反対に顔がカアっと熱くなってきた。ほっとしたのと、生田にからかわれて恥ずかしいのとで…。
「そ、そっか…。」
でも、ここで怒るわけにはいかない。まだ俺たちのことは、それぞれの家族しか知らないわけだし…。俺は女が恋愛対象だと、ずっと前に生田に話したし…。
洸一と俺とで話し合って、養子縁組の手続きをするのは来年の2月と決めていた。俺たちが初めてお互いの気持ちを確認した日。俺は小野寺から巌城になる。洸(ひろし)さんの息子(次男)になるわけだ。巌城さんも了承済み。手放しで喜んでくれた。
「『管理人室』には一歩も入れてもらえなかった。小野寺はあるんだろ?『何度も。』」
何度も、と強調された気がする…。
「あ、あ、あるわけないだろ!い、一回だけだっ!」
これで辻褄合ってるよな?グルグルと頭を働かせる。
「ま、いいけどな。」
クツクツと笑う生田を見て、また顔が熱くなってきた。
『今日もダメだった。5時半なのに何で起きるかな…。』
洸一の寝ている隙を狙うミッションは、今朝も失敗に終わっていた。
「….という事で、メガネの扱いについてはいいな。可能な限り顔を見るようにするんだ。質問は?」
生田の講義が終わろうとしていたことに気づき、パワーポイントを終了させる。俺は今回はお手伝い。パワーポイントを動かしながら、伊那村と一緒に生田の話を聞いていた。
「いつメガネのスイッチを切ったらいいんですか?俺、毎回泊まりになると聞いたんですけど。」
伊那村が質問する。コイツも自分の任務の事がだんだんわかってきたな。
「ホテルの部屋に入ったらでいいんじゃないか?もう、他人に関わらないわけだし。」
俺が生田に代わって、質問に答えてやる。
「小野寺先輩も泊まりが多かったんでしょ、小野寺先輩は?」
伊那村にまた、聞き返された。
「お、俺は…。」
正直に言うと、巌城家に着いたらすぐにメガネを渡し、帰りに受け取っていただけだから、その間は記録なしで過ごしていた事になる。でも、正直に言うべきか言わざるべきか…。
「その日の任務が終了したら、後はいいだろ。俺も一度、ホテルに泊まった時、『任務終了』と紙に書いてメガネを外したぜ?」
あれ?生田が泊まりっていつだっけ…?
「その後、ホテルから出たりは?」
「ま、…想像に任せる。」
俺が生田の泊まりを思い出そうとしているわきで、会話がどんどん進んでいった。
「そうなんですね!了解です!」
伊那村が俄然元気になった。そうだ、19年前に行ったんだった…2泊で。一泊目は「過去の部屋」。そして2泊目が駅前のホテルだ…。「過去の部屋」に泊まって…どこに寝たんだ?ま、ま、まさかベッド…!?…洸一と…一緒にっ!?
モヤモヤした気分のまま、研修という名の俺たちの講義が終わった。
「なあ、生田が19年前に飛んだ時さ…。」
後片付けが終わって、スクリーンを伊那村が倉庫へ持っていった。小会議室には俺たちだけ。
「ん?何?」
生田が資料を纏めてカバンに入れながら俺の方を見る。意を決して、聞いてみた。
「1日目、『過去の部屋』に泊まったろ?どこで寝たの?」
「ん?…管理人室のベッド。」
さあっと全身の血が下に下がっていった。ベ、ベ、ベッド!?
「あははははっ!ウソウソ。ほら、最初の頃スキャンにカプセル使ってただろ?アレだ、あれ。小野寺、顔真っ青。」
今度は反対に顔がカアっと熱くなってきた。ほっとしたのと、生田にからかわれて恥ずかしいのとで…。
「そ、そっか…。」
でも、ここで怒るわけにはいかない。まだ俺たちのことは、それぞれの家族しか知らないわけだし…。俺は女が恋愛対象だと、ずっと前に生田に話したし…。
洸一と俺とで話し合って、養子縁組の手続きをするのは来年の2月と決めていた。俺たちが初めてお互いの気持ちを確認した日。俺は小野寺から巌城になる。洸(ひろし)さんの息子(次男)になるわけだ。巌城さんも了承済み。手放しで喜んでくれた。
「『管理人室』には一歩も入れてもらえなかった。小野寺はあるんだろ?『何度も。』」
何度も、と強調された気がする…。
「あ、あ、あるわけないだろ!い、一回だけだっ!」
これで辻褄合ってるよな?グルグルと頭を働かせる。
「ま、いいけどな。」
クツクツと笑う生田を見て、また顔が熱くなってきた。
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