未来も過去も ー番外編ー

もこ

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温泉

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「いらっしゃいませ。巌城様、お待ちしておりました。」
荷物を持つと言う中居の親切を断り、自分でバッグとスーツを抱え直して部屋まで歩く。スーツは明日着用する。奏は必要ないと言ったが、けじめをつけたいと話すと、奏も自分のスーツを準備していた。

『洸一のスーツ姿初めて。楽しみ。』
俺も奏の反応が楽しみだ。スーツは3着ほどしか持ってないが、その中でも1番のお気に入りを選んできた。靴は車にある。車までは別にこのままで構わない。

「なんだか凄いな…。」
あたりを見回しながら奏が呟く。結構有名な旅館で重厚な造りをしていた。
「おかげさまでここのお風呂は皆さまに喜んでいただいております。大浴場の露天風呂からは海も眺められますから…。今日お泊まり頂くお部屋にも小さいですが露天風呂が付いていますよ。」

『……』
奏の呟きに中居が反応して、風呂の説明をしてくれた…。奏は顔を輝かせている。大浴場か…行くつもりか?……何となく…奏の裸は……誰にも見せたくない。

部屋も広かった。テーブルを片付けなくとも余裕で布団が4組は敷ける。縁側には小さなテーブルと椅子があって、全体的に調度品に金をかけているのが分かった。露天風呂がある庭も広い。紅葉の季節に来れば見事だろう。今は芽吹いたばかりの新緑が眩しい。

「お風呂行こう!お風呂!」
中居が部屋の説明を終えて、夕飯の時刻を決めて出て行った後、奏がはしゃいだ声を出した。
「ああ。まずは着替えよう。」
まだ4時。夕飯は6時にしてもらった。2人で備えつけてある浴衣に着替え始めた。

服を脱いでボクサー1枚になり、浴衣に手を伸ばした状態で、目が奪われた。奏はいつも豪快に服を脱ぐ。恥ずかしいという気持ちを知らないのか…。そして、俺はいつもその身体から目が離せない。奏はいつものように服を脱ぎ捨て、浴衣を広げると袖を通し始めた。俺の雄は既に反応している…。身体中に夕べ俺が付けた印。その印に引きつけられるように、自然と手を伸ばしていた。

「奏…ついてる…」
「あン…あ…何が?」
首元の鬱血痕を指でなぞり、耳元で囁くと予想通りの反応を示す。後ろから、右手を帯を締めたばかりの浴衣の衿の隙間に滑り込ませ、胸の尖を摘む。
「身体中に…印…」
耳から首筋にキスを落としながら脇腹を撫でると、奏の体がビクビクと震えた。

「あっ…ン…」
「大浴場に行く?…誰にも見せたくない。…奏の身体は俺だけのものだ…。」

そのままそっと奏を抱え込み、畳の上に横たえ、覆い被さって口付けをした。

…俺の説得が功を奏して、大浴場には夜中に行くことに決め、その日、俺たちは部屋に付いている露天風呂を楽しんだ。




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