アイツはいつの間にか俺たちの中にいた。誰一人として気づいていない。俺以外は…。え？嘘だろ？変なのはオレっ？〜未来への追憶〜

休みって…どうして？

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「のぞむっ！おはようっ！」
下駄箱で慌てて走ってきたらしい低音の声に反応して振り返る。…駿也じゃなかった。クラス一背が高い隆介だ。…ん？クラス一…？

「おはよ。ギリギリだな。」
とりあえず上履きをひっかけて挨拶。
「望もだろ？俺、体操着忘れてさ…。」
高速で靴を履き替えた隆介が、俺の肩に手を回す。だからお前ら…。

『…あれっ？…』
隆介はクラス一背が高いんだよな？…駿也より若干低いぞ！？昨日ずっと隣にいたから間違いない。でも俺の記憶は…クラス一って…。

「そうそう、俺も忘れて取りに戻った。」
混乱した頭のまま、会話を成立させようと話を続けた。今日は発育測定があるから体操着を忘れるな、と担任に言われたことを思い出し、今朝は半分来たところでチャリをUターンさせたんだ。

キーンコーンカーンコーン…

「やべっ！」
HR開始のチャイムが鳴り響き、肩に回してた腕を解いて隆介が走り出した。俺も慌てて後に続き、階段を駆け上がった。

「…ふうっ。セーフ！」
一足先に教室の入り口に着いた隆介が大声を上げて中に入った。俺も後に続く。担任は…来てない、セーフだ。

「…あれっ？」
俺の席とその後ろ…駿也の席が空いてる。…休みか？昨日「また明日」って言ったよな？あれっ？言ったのは俺だっけ…熱でも出した？あの頑丈そうな体で？

「日直ー！」
「きりーつ。」
俺が後ろを見ながら、椅子に座った途端に康介先生が入ってきた。慌てて前を向く。挨拶をした後、いつものように出席を取り始めた。

「次っ、佐々川望。」
「はい。」
「佐崎駿也は…休み…っと…。」
「先生。」
思わず手を挙げていた。

「何だ？佐々川。」
「駿也はどうしたんですか？」
「あっ？ああ…家の都合。」
…家の都合ってなんだ？普通、葬式とか法事とかだろ？昨日だって、休むなんて一言も言ってなかったぞ？

続けて出席を取り始めた担任に隠れながら、駿也にメールを送った。
『どうした？今日は休み？』
HR中ずっと画面を見ていたが、なかなか既読がつかなかった。

「俺が来るまでに着替えを済ませとけよ。」
担任の一言に、着替えをしようと歩き出した奴らで一気に騒がしくなった。１時間目は発育測定。男子はロッカーから体操着を取り出し、女子は更衣室に着替えに行った。

「最近俺、伸び悩んでるんだよなー。」
伸一は女子がいないことをいいことに、美佳ちゃんの席で着替え始めた。伸一は１番伸びがいいだろ？名前からいって…。

「俺も。７０は欲しいな…将来的に。」
俺よりも若干背が高い伸一は７０に届いたかもしれない。俺は…多分無理だな。

「どうした？元気ないな。…彼氏がいなくて寂しい？」
着替えを終えた伸一が顔を覗き込んできた。