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竹林の光と友情

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江戸時代のとある小さな村に、一風変わった噂が広がっていた。それは、夜な夜な村の外れにある竹林に、不思議な光が現れるというものだった。村人たちはその光を「天狗の仕業」と恐れ、近づくことを避けていた。しかし、実際にはその光の正体は地球に不時着した宇宙船だったのだ。

宇宙船から降り立ったのは、変装の名人として知られる宇宙人の「クロー」。クローは、地球人の姿に変装することができ、その目的は地球の文化を観察し、宇宙連盟に報告することだった。彼は江戸時代の人々の生活に興味を持ち、変装して村に潜り込んだ。

村には「犬之助」という名の若い侍が住んでいた。犬之助は忠実で勇敢であり、村人たちから非常に信頼されていた。ある晩、犬之助は竹林での不思議な光の噂を聞きつけ、その真相を突き止めようと決意した。

犬之助が竹林に向かうと、そこにはクローがいた。クローは地球人の姿に変装していたが、その挙動が不自然で犬之助に怪しまれてしまった。犬之助はクローを問い詰め、正体を暴こうとしたが、クローは巧妙に話を逸らし続けた。

しかし、犬之助は諦めず、クローの後をつけることにした。クローは竹林の奥深くへと歩いて行き、犬之助もそれに従った。竹林の中は暗く、犬之助は注意深く足元を見ながら進んでいた。すると突然、犬之助は地面に転がっていた棒に足を取られ、転んでしまった。

その音に驚いたクローは振り返り、犬之助が倒れているのを見て「やはり地球人は興味深い」と思わず笑った。犬之助もまた立ち上がり、「この棒のせいで転んでしまった」と笑いながら言った。

クローと犬之助はその後、互いに正体を明かし、友好関係を築くこととなった。犬之助はクローに村の生活を紹介し、クローは宇宙の話を犬之助に語った。二人の友情は村人たちにも伝わり、竹林の光の噂は消えていった。

そして、犬之助が竹林で転んだエピソードは村中に広まり、「犬も歩けば棒に当たる」という言葉が生まれたのだった。
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