雛希くんのパパ活日記

腐野なめこ

文字の大きさ
上 下
3 / 3

〇月×日 満員電車で秘密の遊び

しおりを挟む
 パパ活をするようになってから、痴漢をされることが増えた。
 因果関係は分からない。おじさんと寝ているとおじさんを引き寄せるフェロモンみたいなものがでるのかな。
 それとも、僕自身が無意識に隙を作っているんだろうか。
 いたずらをされたいという願望が、滲み出ているのかも。

     *

 制服を着て、満員電車に乗っていた。
 ぎゅうぎゅうの車内で、ドア横の手すりに寄り掛かるようにして、少し俯きがちに立っていた。
 周りはみんな音楽を聴いていたり、スマホを見ているばかりで、僕に注目している人なんて誰もいない。
 僕は、じっと唇を噛んで耐えていた。
 先ほどからずっと、僕の脚の中心をまさぐっている手のせいで、油断すると声が漏れてしまいそうだから。
 最初、指の背でゆるく撫でるようにしていた手は、徐々に大胆になっていって、僕の膨らみを揉み込むようにしてはっきりと刺激を与えてくる。
 手の主は分かっている。僕の前に立っている三十代後半のサラリーマン風の男。右手で持った鞄で僕の腰のあたりを隠すようにして、左手で僕を弄んでいる。顔は何食わぬ顔で窓の外を見ていた。傍から見れば、満員電車にうんざりしているどこにでもいるサラリーマンにしか見えない。
 カーブに差し掛かって電車が音を立てて揺れた隙に、ついに男の手が僕のスラックスのチャックを下げた。中に忍び込んできた指が、下着の上から性器をつぅっとなぞり上げる。
 ぶるっと身体が震えてうなじがゾクゾクした。
 さりげなく身じろいでその手を逃れようとするが、鞄で押さえられて動けない。
 爪の先でカリカリと引っかかれた刺激で、先端がじわっと濡れる。
 手すりをぎゅっと握りしめて、ちらりと男の顔を見上げた。横目で素早く僕を見た男が、口元にうっすらと笑みを浮かべた。僕は再び顔を伏せ、周りから不自然に見えないように振る舞うことに神経を集中する。
 じわじわと染みが広がっていく下着の上を這い回る指。
 どうか、どうかバレませんようにと祈る。

     *

「こんなにパンツ濡らして、恥ずかしいよヒナくん。ボクよりよっぽど興奮してんじゃん」

 男が喋るたびに、耳のうしろに生温かい息がかかる。おしりには、スラックス越しに男の勃起が押し当てられていた。
 駅構内の、あまり利用客がいないトイレの個室。
 僕は身体を壁に押し付けられて、背後から下半身をまさぐられている。

「ほら、こんなにガチガチにして」

 下着から取り出した僕のペニスを扱きながら、「ヒナくんも楽しんでくれて良かったよ。またしようね、痴漢プレイ」とねっとり囁く。
 男は坂野さんといって、この日の僕のパパだった。
 痴漢プレイをさせてくれる男の子を探していて僕と知り合ったのだ。
 僕は今日、待ち合わせた別の駅のトイレで、坂野さんが用意していたどこかの高校の制服に着替えて、帰宅ラッシュの満員電車に乗った。そして、坂野さんと秘密のプレイを楽しんでいたのだ。
 僕のペニスを忙しなく扱きながら、坂野さんが腰を動かして興奮をすりつけてくる。おしりの奥が疼いて、僕の腰も勝手に揺れる。

「たくさん人がいるところでこっそりおちんちんイタズラされて、感じちゃったんだ? ヒナくんが必死で声ガマンしてる顔見てたら、勃起しそうで大変だったよ。本当に痴漢される時もああなの? それ煽ってるよ」

 坂野さんのもう一方の手がシャツの上を這い、ボタンを外して忍び込んでくる。インナーの上から乳首をコリコリと転がされて、声が漏れそうになった。
 坂野さんが「シーッ」と囁く。

「駄目だよ。誰かに聞かれちゃうかも。このあとホテルでたっぷり可愛がってあげるから、それまで我慢我慢」

 僕は両手で自分の口を押えて必死に声を殺した。坂野さんの手の動きが激しくなって、間もなくして僕は坂野さんの手の中に射精した。

「ボクのもして」

 僕は便座の蓋の上に座り、坂野さんのスラックスの前を寛げて、取り出した勃起を咥える。

「あんまりいやらしい音立てちゃだめだよ」

 坂野さんはとても楽しそうだ。ペニスも限界まで硬くなっている。
 もしこの秘密の遊びが見つかればただでは済まないのに、破滅と背中合わせのような行為を、きっと坂野さんはこれからもやめられないんだろう。
 色んなパパと色んなプレイをしてきて、僕は人の性癖というものの奥深さを少しだけ知った気がする。
 けど今は、そんな難しいことよりも、坂野さんをイかせることだけに集中した。
 早くここを出て、ホテルへ行きたいから。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

壁乳

リリーブルー
BL
俺は後輩に「壁乳」に行こうと誘われた。 (作者の挿絵付きです。)

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

アルバイトで実験台

夏向りん
BL
給料いいバイトあるよ、と教えてもらったバイト先は大人用玩具実験台だった! ローター、オナホ、フェラ、玩具責め、放置、等々の要素有り

ヤンデレBL作品集

みるきぃ
BL
主にヤンデレ攻めを中心としたBL作品集となっています。

大学生はバックヤードで

リリーブルー
BL
大学生がクラブのバックヤードにつれこまれ初体験にあえぐ。

飼われる側って案外良いらしい。

なつ
BL
20XX年。人間と人外は共存することとなった。そう、僕は朝のニュースで見て知った。 なんでも、向こうが地球の平和と引き換えに、僕達の中から選んで1匹につき1人、人間を飼うとかいう巫山戯た法を提案したようだけれど。 「まあ何も変わらない、はず…」 ちょっと視界に映る生き物の種類が増えるだけ。そう思ってた。 ほんとに。ほんとうに。 紫ヶ崎 那津(しがさき なつ)(22) ブラック企業で働く最下層の男。悪くない顔立ちをしているが、不摂生で見る影もない。 変化を嫌い、現状維持を好む。 タルア=ミース(347) 職業不詳の人外、Swis(スウィズ)。お金持ち。 最初は可愛いペットとしか見ていなかったものの…?

【連載再開】絶対支配×快楽耐性ゼロすぎる受けの短編集

あかさたな!
BL
※全話おとな向けな内容です。 こちらの短編集は 絶対支配な攻めが、 快楽耐性ゼロな受けと楽しい一晩を過ごす 1話完結のハッピーエンドなお話の詰め合わせです。 不定期更新ですが、 1話ごと読切なので、サクッと楽しめるように作っていくつもりです。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー 書きかけの長編が止まってますが、 短編集から久々に、肩慣らししていく予定です。 よろしくお願いします!

俺は触手の巣でママをしている!〜卵をいっぱい産んじゃうよ!〜

ミクリ21
BL
触手の巣で、触手達の卵を産卵する青年の話。

処理中です...