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番外編 幼い猫の姫君
ニャン吉とニャン助(1)
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ドタドタドタドタ ドタドタドタドタ
廊下から騒がしい足音が近づいてくる。
ドタドタドタドタ ドタドタドタドタ
音の主はキッチンのドアをバンと開けて、勢いよく登場した。
「いっちばーーん! 今日も僕の勝ち!」
「ず、ずるいよ、ニャン吉。妖術ダッシュを使うなんて」
「へっ、へんだぁ。使えないニャン助が悪いんだよーだ」
「そ、そんなぁ」
二人の顔はそっくりだ。
どちらも可愛らしい丸顔で、くりくりとした丸い目にネコらしく縦の筋が入っている。
黒髪からのぞいているネコミミは、飾りではない。
神経が通っているし、音も聞こえる本物のネコミミだ。
そう。二人は、ニャン太とアカネの子供で、シニオモテヤマネコと人間のハーフなのだ。
「ねぇ、ママ。これで僕の五十勝一敗だよ。もう勝負は決まったものだね」
ニャン吉はメイド服のアカネに抱き着いて、ゴロゴロと喉を鳴らす。
「違うのママ。毎回ね、ニャン吉がね、妖術をつかってズルするからなの」
ニャン助も大好きなママに擦り寄って、甘えてくる。
そんな二人を優しく抱き上げるアカネは、もうすっかりママになっている。
自分のお腹を痛めて産んで、おっぱいを与えて愛情を込めて育てたのだ。今のアカネは母性本能で溢れている。
そんな二人もそろそろ五歳の誕生日を迎える。それまでに、とある重要な事を決めなければならない。
「二人とも、決めるのはパパよ。ママは二人とも応援するしかできないの」
「えぇー。でも、結果は分かり切ってるよね。だって、僕の方が優秀だもん」
「ママ……嫌だよ、僕。僕、変わりたくないの……。このまま大きくなりたいの」
二人の息子を、アカネは再びギュッと抱き締める。
「大丈夫よ、二人とも。どっちも最後は幸せになるわ」
(=^・・^=)(=^・・^=)(=^・・^=)(=^・・^=)
夜。二人のやんちゃ坊主を寝かしつけた後、アカネは寝室へと向かった。
キングサイズのベッドがある、ニャン太との愛の巣だ。
「アカネか。もう二人とも寝たかい?」
すっかり大人の体になったニャン太は、ガウンを纏っていた。
「はい、ご主人様」
「もうパパって呼んでいいのに」
「だって、二人同士の時はあたしのご主人様ですから」
「ふふっ。それもそうだね。こっちにおいで、アカネ。抱いてあげる」
「ありがとうございます。ご主人様」
「あぁん。いいのぉ。気持ちいいの。もっとして、もっと。あぁぁぁん」
アカネの悩ましいあえぎ声が、寝室に響いた。
ーーーー
たっぷり愛を育んだ後、二人は可愛らしい寝息をたてている、ニャン吉とニャン助の元へと向かった。
「二人ともグッスリ眠っているね」
「そうですね。ご主人様、本当にこれでよろしいのですか?」
「いいんだ。これが僕たちの定めだから」
ニャン太は、二人の息子を両手で抱き抱える。
そして、料理店の暖炉から繋がる隠し階段を、グルグルと降りて、石で囲まれた大きな祭壇へと向かった。壁には無数の蝋燭が立て掛けられ、青白い炎が揺らめいている。
後から付いてきたアカネが驚きの声をあげた。
「お屋敷の地下にこんなお部屋が」
「儀式の時しか使わないからね。そこに石のベッドがあるだろう? 二人をそれぞれ寝かせてくれる?」
「はい。ご主人様」
二人は熟睡して起きそうもない。
この日だけ夕食にこっそり混ぜた睡眠薬が効いているのだ。
猫姫様の薬はどれも効果が抜群だから、アカネはいつも感心してしまう。
「じゃあ、始めようか」
「そうですね。ご主人様。あたしたちの娘の幸せのために」
ニャン太は頷き、二人の息子の周りに魔方陣を書くと、何やら複雑な呪文を唱え始めた。
ーーーー
後書き
1. ニャン吉に変わってほしい人
2. ニャン助に変わってほしい人
3. 両方に変わってほしい人
4. その他
どれくらいいるのか、気になります。
*今のところ「3」が有力です。来月あたりから書き始められればなと思っています。
廊下から騒がしい足音が近づいてくる。
ドタドタドタドタ ドタドタドタドタ
音の主はキッチンのドアをバンと開けて、勢いよく登場した。
「いっちばーーん! 今日も僕の勝ち!」
「ず、ずるいよ、ニャン吉。妖術ダッシュを使うなんて」
「へっ、へんだぁ。使えないニャン助が悪いんだよーだ」
「そ、そんなぁ」
二人の顔はそっくりだ。
どちらも可愛らしい丸顔で、くりくりとした丸い目にネコらしく縦の筋が入っている。
黒髪からのぞいているネコミミは、飾りではない。
神経が通っているし、音も聞こえる本物のネコミミだ。
そう。二人は、ニャン太とアカネの子供で、シニオモテヤマネコと人間のハーフなのだ。
「ねぇ、ママ。これで僕の五十勝一敗だよ。もう勝負は決まったものだね」
ニャン吉はメイド服のアカネに抱き着いて、ゴロゴロと喉を鳴らす。
「違うのママ。毎回ね、ニャン吉がね、妖術をつかってズルするからなの」
ニャン助も大好きなママに擦り寄って、甘えてくる。
そんな二人を優しく抱き上げるアカネは、もうすっかりママになっている。
自分のお腹を痛めて産んで、おっぱいを与えて愛情を込めて育てたのだ。今のアカネは母性本能で溢れている。
そんな二人もそろそろ五歳の誕生日を迎える。それまでに、とある重要な事を決めなければならない。
「二人とも、決めるのはパパよ。ママは二人とも応援するしかできないの」
「えぇー。でも、結果は分かり切ってるよね。だって、僕の方が優秀だもん」
「ママ……嫌だよ、僕。僕、変わりたくないの……。このまま大きくなりたいの」
二人の息子を、アカネは再びギュッと抱き締める。
「大丈夫よ、二人とも。どっちも最後は幸せになるわ」
(=^・・^=)(=^・・^=)(=^・・^=)(=^・・^=)
夜。二人のやんちゃ坊主を寝かしつけた後、アカネは寝室へと向かった。
キングサイズのベッドがある、ニャン太との愛の巣だ。
「アカネか。もう二人とも寝たかい?」
すっかり大人の体になったニャン太は、ガウンを纏っていた。
「はい、ご主人様」
「もうパパって呼んでいいのに」
「だって、二人同士の時はあたしのご主人様ですから」
「ふふっ。それもそうだね。こっちにおいで、アカネ。抱いてあげる」
「ありがとうございます。ご主人様」
「あぁん。いいのぉ。気持ちいいの。もっとして、もっと。あぁぁぁん」
アカネの悩ましいあえぎ声が、寝室に響いた。
ーーーー
たっぷり愛を育んだ後、二人は可愛らしい寝息をたてている、ニャン吉とニャン助の元へと向かった。
「二人ともグッスリ眠っているね」
「そうですね。ご主人様、本当にこれでよろしいのですか?」
「いいんだ。これが僕たちの定めだから」
ニャン太は、二人の息子を両手で抱き抱える。
そして、料理店の暖炉から繋がる隠し階段を、グルグルと降りて、石で囲まれた大きな祭壇へと向かった。壁には無数の蝋燭が立て掛けられ、青白い炎が揺らめいている。
後から付いてきたアカネが驚きの声をあげた。
「お屋敷の地下にこんなお部屋が」
「儀式の時しか使わないからね。そこに石のベッドがあるだろう? 二人をそれぞれ寝かせてくれる?」
「はい。ご主人様」
二人は熟睡して起きそうもない。
この日だけ夕食にこっそり混ぜた睡眠薬が効いているのだ。
猫姫様の薬はどれも効果が抜群だから、アカネはいつも感心してしまう。
「じゃあ、始めようか」
「そうですね。ご主人様。あたしたちの娘の幸せのために」
ニャン太は頷き、二人の息子の周りに魔方陣を書くと、何やら複雑な呪文を唱え始めた。
ーーーー
後書き
1. ニャン吉に変わってほしい人
2. ニャン助に変わってほしい人
3. 両方に変わってほしい人
4. その他
どれくらいいるのか、気になります。
*今のところ「3」が有力です。来月あたりから書き始められればなと思っています。
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3番を希望します。
こんな面白い作品を書いてくださってありがとうございます!
頑張ってください!
ごめんなさい完結していましたね
このコメントもどちらも拒否してください
今受け付けているかはわかりませんが、お転婆な子がいいから一番ですかね