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第二章 メス化調教

第二十一話 アカネ

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「いいか。僕のことは、ご主人様って呼ぶんだぞ。分かったか、人間」

 男の子は、腰に腕を当てて、エッヘンと胸を張る。
 口では偉そうにしているが、全く威厳がない。

「ねぇ、ニャン太。せっかくのペットなんだから、名前を考えましょう。そろそろ『人間』じゃ、呼びづらいでしょ」

 どこから現れたのだろう。
 気が付くと、男の子の後ろには背の高い女性が立っていた。
 栗色の髪は、なだらかなウェーブがかかっている。
 頭には、猫耳の被り物をしているようだ。
 鼻が高く、真っ赤な唇が白い顔に映えている。
 大きな目には、やはり中央に縦の筋が入っていた。
 二人は親子なのだろうか。

「なるほど。でも、人間の名前ってよく分からないよ。ニャン子なんてどう?」

「由緒正しき山猫族の名前を、人間ごときにあげるのはもったいないわ」

「そっか。うーーーん。難しいよ」

「そうねぇ。ペットでも一応は女の子なんだから、可愛らしい植物の名前にしましょうか」

「植物? よく分からないよ。そこら辺に生えているアカマツ、カシワ、ネズノキとかでいいの?」

「うーん。あまり名前っぽくないかしら。ママも名前を考えるのは苦手だし、困ったわ。そうだ、『アカマツ、カシワ、ネズノキ』の頭文字を取って、アカネはどう?」

「あっ。それがいい。とってもいい響き。なんとなく人間っぽい。さすがママ。頭いいね」

 男の子はこちらに振り向いて続ける。

「おい、人間のメス。聞いていたか。お前はこれからアカネだ。分かったか?」

 分かったかって。子供が何を騒いでいるのだろう。
 そもそもペットって何の話?

 呆気に取られてボケーっと聞いていると、母親らしき女性にいきなり髪の毛を掴まれた。
 急に何を……。理解する間も与えられない。
 女性はどす黒い笑みを浮かべている。
 おでことおでこが密着する。
 真っ赤なルージュが妖しく動く。

「どこを見てるの? あなたの話をしているんだから、ちゃんと聞きなさい。あなたは今日からアカネ。あたしたちのペットのアカネになったの」

 身震いするほど冷え切った声が体に響く。
 錯覚だろうか。女性の体から重苦しい妖気のようなものが漏れて見える。

 女性は真っすぐな視線で、こちらの目の中を覗き込んでくる。

「アカネはご主人様の言うことを聞けない、とっても悪い娘だから、みっちりしつけが必要ね。いいわ、これからもっともっと堕としてあげる。注文のろいの力で、調教してあげるわ」
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