上 下
17 / 54
第一章 メス堕ち前夜

第十七話 洗脳(1)

しおりを挟む
 目を覚ますと、ふかふかのベッドの上だった。
 ピンク色のベッドの上で、ウサギのぬいぐるみに囲まれていた。
 シーツから仄かにバラの香りが漂ってくる。
 窓からは朝日の木漏れ日が注ぎ込み、目の奥を優しく刺激する。

「うっ、うーーん。よく寝た」

 両手を上に向けて体を伸ばし、重い瞼をギュッと閉じる。
 体が不思議と軽い。
 長年溜まりに溜まった余計なものが、体から取り除かれた感じがする。

 なんだか変な夢を見ていたようだ。
 悪夢のような天国のようなおかしな夢だった。
 

 それにしても、ここはどこだろう。
 どうやってここまで来たんだろう。
 なぜベッドの上で寝ていたんだろう。
 どんなに周りを見ても、よく思い出せない。

 何はともあれ、情報が欲しい。
 今、自分に何が起こっているのか。
 誰にこの部屋に連れてこられたのか。
 それが分からないと、話が始まらない。
 とりあえずまずは、部屋から出ないと。
 
 起き上がって、部屋の扉へと向かっていく。

 ピンク基調の部屋の中はきれいに整頓されており、白い洋服ダンスや、複雑なデコレーションが施された三面鏡が置いてあった。
 どう見ても、大人の女性のお部屋だ。
 男の自分が、一人こんな可愛らしい部屋にいると思うだけで、罪悪感を覚える。

 扉の方を見ると、そこに女の子が立っていた。

(あれ? これ、誰? どうしてだろう。どこか見覚えが……)

 目の前の美少女は、戸惑いながらこちらを見返してくる。
 ピンクのブラとショーツをした、ショートヘアーの女の子だ。

 顔つきはかなり自分に似ているが、違うところもある。
 丸い輪郭、より大きな瞳、長いまつ毛、潤う唇は、自分が理想とする美少女の条件を全て満たしている。
 こんな女の子とデート出来たらなと、妄想してしまうくらいに可愛らしさで満ちている。

 少女はこちらの真似をして、小首をかしげたり、笑みを浮かべてみたり、しかめっ面をしたりしてくる。

 目が覚めて、頭がはっきりしてきて、受け入れがたい事実に気づく。

「この娘……もしかして、ぼく?」

 そう思った瞬間、記憶の断片が頭の中で蘇る。

 そして、思い出す。
 ショーツとブラをしぶしぶ付けたことを。
 胸を弄られて、満たされる快感と共におっぱいが出来てしまったときのことを。
 うねうねと動く触手に全身を犯されて、気持ちよくなってしまったことを。

「あっ……あれは夢じゃなかったの?」

 姿見の中の女の子ぼくは、顔を真っ赤にさせて、へなへなと床に座り込んでしまう。
 
(ねぇ、ママ。人間起きたみたいだよ。顔つきも、体つきもだいぶメスっぽくなってきたね。そろそろ「洗脳」っていうのをやるの?)

(そうよ。よく覚えていて、偉いわ。この人間はまだ自分のことをオスだってしているの。だから、洗脳で、心を修正してあげるの。あるべき形に変えてあげるの。「あたしは女の子」って自ら言えるように、みっちりとね)
しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

僕が美少女になったせいで幼馴染が百合に目覚めた

楠富 つかさ
恋愛
ある朝、目覚めたら女の子になっていた主人公と主人公に恋をしていたが、女の子になって主人公を見て百合に目覚めたヒロインのドタバタした日常。 この作品はハーメルン様でも掲載しています。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

変身シートマスク

廣瀬純一
ファンタジー
変身するシートマスクで女性に変身する男の話

OLサラリーマン

廣瀬純一
ファンタジー
女性社員と体が入れ替わるサラリーマンの話

性転のへきれき

廣瀬純一
ファンタジー
高校生の男女の入れ替わり

令和の俺と昭和の私

廣瀬純一
ファンタジー
令和の男子と昭和の女子の体が入れ替わる話

久しぶりに帰省したら私のことが大好きな従妹と姫はじめしちゃった件

楠富 つかさ
恋愛
久しぶりに帰省したら私のことが大好きな従妹と姫はじめしちゃうし、なんなら恋人にもなるし、果てには彼女のために職場まで変える。まぁ、愛の力って偉大だよね。 ※この物語はフィクションであり実在の地名は登場しますが、人物・団体とは関係ありません。

処理中です...