上 下
4 / 54
第一章 メス堕ち前夜

第四話 ボディーソープ

しおりを挟む
 疲れているせいだろうか。
 体を洗っていると、だんだん頭がボーっとしてくる。

「あれ? オレの肌、こんなにすべすべだったっけ?」

 体の感覚がいつもと違う。
 シャワーで体を洗い流しながら、オレは首をかしげる。

 やはり、何かがおかしい。
 お湯がいつもよりゆったりと、肌を伝って流れていく。
 そんな気がする。

 いや、今はそんなことよりも……。

「体を洗っただけなのに、どうしてこんなに気持ちいいんだよ。訳わかんねぇ」

 もちろん、気持ちいいのは嫌じゃない。
 オレに生じたのは、むしろ新鮮な驚きだ。
 これまで感じたことのない、得体のしれない快感がお腹の奥からじわじわと広がっていく。
 それが何なのかはよく分からない。

 ブルジュワ御用達の高級品だとこんなにも違うのか。
 体を芯まで温める効果まであるのか?
 お金持ちが羨ましい。

 ボディーソープがこんなにすごいんだったら、きっとシャンプーだって。
 オレは大量のシャンプーを手に取り泡立てた後、しっかりと髪を洗っていく。
 どういうわけか、いつも以上に体をきれいにしたい衝動に駆られている。

「こっちもすげぇ」

 少し洗ってみただけでも違いが分かる。
 ゴワゴワだった髪が、泡に触れた部分からしっとりと潤っていくのだ。
 リンスをすると更にサラサラになっていく。
 さっきよりも髪が伸びてきているような気がする。
 人の髪が数分で伸びるなんてありえないから、気のせいのはずだけど。

 シャワーから出ると、脱衣所に大きなタオルが用意されていた。
 柔軟剤たっぷりのふわふわのタオルで体を拭く。
 拭き終わってみてはじめて、先ほどから感じていた違和感の正体に気づく。

「あれ? オレのすね毛、なくなってる……。一体どうして」

 先ほどの違和感は、やはり気のせいではなかった。
 元々あったすね毛が全て抜け落ちている。
 すね毛だけではない。
 全身のムダ毛が抜け落ちてしまっている。
 元々体毛は男にしては薄い方だ。
 けれでも決して無毛だったわけではない。

 あのボディーソープには脱毛剤が含まれていたのだろうか。

「なんか女みたいで頼りないな」

 きっと、女性向けのボディーソープだったのだろう。
 まぁいいさ。
 脱毛なんて男としては全く嬉しくないが、誰かに見られることもないし、気にする必要はないだろう。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

あなたの運命の番になれますか?

BL / 連載中 24h.ポイント:14,740pt お気に入り:548

俺のパソコンに王女様がやってきた

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:71

【羞恥】全身VR高額モニターに応募した巨乳フリーライター桃香

大衆娯楽 / 完結 24h.ポイント:92pt お気に入り:44

【R18】 義理の弟は私を偏愛する

恋愛 / 完結 24h.ポイント:85pt お気に入り:1,528

貴方様に大事なお話があります ~正直に答えてください~     

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:28pt お気に入り:242

先生を誰が先に孕ませるかゲーム

BL / 連載中 24h.ポイント:170pt お気に入り:322

処理中です...