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第一章 メス堕ち前夜
第二話 西洋料理店 山猫軒
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立派なゲートには、RESTAURANT (西洋料理店)WILDCAT HOUSE (山猫軒)という札が掲げられていた。
「こんなところに、なかなかしゃれたレストランが」
いや、さすがにあやしい。
正常な判断力があれば、間違いなくそう考えただろう。
だが、そんな疑いの気持ちは、空腹感に吹き飛ばされる。
何かを腹に詰めていないと、死んでしまいそうだ。
仮にあやしかったとして、何の問題があるのだろうか。
オレは玄関に立ち、あらためて建物を眼中におさめる。
赤レンガでできた平屋建ての建物は、森と調和して悠然と構えている。
正面に立札があり、美麗な金文字でこう書かれていた。
『どうぞご遠慮なくお入りください。二十四時間営業しております』
世の中、気が付かない間に随分と進んだものだ。
レストランが二十四時間とは、気の利いたサービスだ。
オレは喜んで一つ目の扉を開け、先に進んだ。
玄関の先はすぐ廊下になっていて、その先のドアにはまた金文字が書かれていた。
『お若い方は特に歓迎いたします』
高校を出たばかりのオレは、まだ若いと言えるだろう。
ユースホステルなど、若い人向けのサービスは意外と多い。
ここの店長もサービス精神旺盛なのだろう。
特別価格で食べさせてくれるのだろうか。
いずれにせよ、歓迎されて悪い気はしない。
さらに廊下を進んでいくと、また扉にぶちあたった。
寒い北国特有の造りなのだろうか。
どうも変な屋敷だが、贅沢は言っていられない。
レストランがあっただけでも幸運と言うべきだろう。
扉には黒板が設置され、白いチョークでこう書かれていた。
『当店は注文の多い料理店ですから、何卒ご承知ください』
注文が多いということは意外と流行っているのだろうか。
山奥に隠れた名店といったところだろうか。
そんな知る人ぞ知るお店に偶然たどり着けたのは、ラッキーと言えるだろう。
オレは意気揚々と、先へ進む。
扉の向こうには、また扉があった。
『注文が多いですが、どうかご容赦ください』
二度も同じような店案内が続く。
一体どういうことだろう。
いや、きっと注文が多すぎて時間がかかるから、ごめんなさいと断っているのだろう。
ファーストフードが多い現代、スローフードになれていない人向けのメッセージなのだろう。
それにしても、お腹がすいた。
早いところテーブルに、ありつきたいものだな。
「こんなところに、なかなかしゃれたレストランが」
いや、さすがにあやしい。
正常な判断力があれば、間違いなくそう考えただろう。
だが、そんな疑いの気持ちは、空腹感に吹き飛ばされる。
何かを腹に詰めていないと、死んでしまいそうだ。
仮にあやしかったとして、何の問題があるのだろうか。
オレは玄関に立ち、あらためて建物を眼中におさめる。
赤レンガでできた平屋建ての建物は、森と調和して悠然と構えている。
正面に立札があり、美麗な金文字でこう書かれていた。
『どうぞご遠慮なくお入りください。二十四時間営業しております』
世の中、気が付かない間に随分と進んだものだ。
レストランが二十四時間とは、気の利いたサービスだ。
オレは喜んで一つ目の扉を開け、先に進んだ。
玄関の先はすぐ廊下になっていて、その先のドアにはまた金文字が書かれていた。
『お若い方は特に歓迎いたします』
高校を出たばかりのオレは、まだ若いと言えるだろう。
ユースホステルなど、若い人向けのサービスは意外と多い。
ここの店長もサービス精神旺盛なのだろう。
特別価格で食べさせてくれるのだろうか。
いずれにせよ、歓迎されて悪い気はしない。
さらに廊下を進んでいくと、また扉にぶちあたった。
寒い北国特有の造りなのだろうか。
どうも変な屋敷だが、贅沢は言っていられない。
レストランがあっただけでも幸運と言うべきだろう。
扉には黒板が設置され、白いチョークでこう書かれていた。
『当店は注文の多い料理店ですから、何卒ご承知ください』
注文が多いということは意外と流行っているのだろうか。
山奥に隠れた名店といったところだろうか。
そんな知る人ぞ知るお店に偶然たどり着けたのは、ラッキーと言えるだろう。
オレは意気揚々と、先へ進む。
扉の向こうには、また扉があった。
『注文が多いですが、どうかご容赦ください』
二度も同じような店案内が続く。
一体どういうことだろう。
いや、きっと注文が多すぎて時間がかかるから、ごめんなさいと断っているのだろう。
ファーストフードが多い現代、スローフードになれていない人向けのメッセージなのだろう。
それにしても、お腹がすいた。
早いところテーブルに、ありつきたいものだな。
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