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第三章 美少女学園一年目 芽吹き根付く乙女心
【第129話】ビーチバレー(1)
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「あおいちゃんに、いい方法を教えてあげる」
沙羅は栗色で長いストレートヘアを耳にかき上げながら、優しい笑みを浮かべている。
余裕のあるゆっとりとした動きには、可愛らしさと気品が漂っている。
お淑やかな身のこなしは、どこをどうみても可憐で大人びた一人の女性だ。
(女に生まれ変わった先輩として、貴女を導いてあげるわ)
沙羅は心の中で、固く決意した。
BS学園入学以来、あおいの回りには、彼女の女性化に熱心な者が自然と集まってくる。
早紀、明人、アリス、さくらと特進生の上級生たち。
思惑はそれぞれ異なる。
沙羅の場合は少なくとも善意で満ちていた。
(認めてしまえば楽になるわ。女になるって素敵なことよ。限られたほんの一握りの男子しか、ここでは女になれないんだから)
沙羅にとって、あおいは自分と同じ道を歩んでいる妹のような存在だ。
今では、「なんであたし、男の子になりたいなんて思ってたのかしら。女の方がずっといいのに」とすっかり女に目覚めている沙羅も、昔は「オレは男だ。絶対に女になんてならない。男とキスなんてしない。ましてエッチなんて、想像するだけで吐き気がする」とまで言っていたのだ。
(バカなあたし)
過去の愚かな自分、まだ女に染まっていなかった自分を思い出して、沙羅はこう思う。
なんてあたしは未熟だったのだろうと。
もっと早く素直になればよかったのに、と。
こうやってビキニとか可愛らしい格好を毎日できて、雄二君にも全身を隅々まで愛してもらえるのは、あたしが女だから。
彼氏と手をつなぐだけで、胸がキュンキュンしちゃうのは、あたしが一人のメスだから。
男のふりをしていたあの頃の自分に、言ってあげたい。
いいのよ。あなたは女になっていいの。
男を好きになっていいの。男に愛されていいの。
それが、あなたにとって自然なことだから。
あなたにとっての幸せだから。
迷える子羊ちゃんに、教えてあげる。
あなたとあたしは同じだってことを。
女の子になるために生まれてきたってことを。
「いい方法?」
あおいは、体を強張らせている。
(大丈夫。分かっているわ。あなたの本心は女に生まれ変わりたいの。だって、特別授業のときのあおいちゃん。あのおちんちんを美味しそうにしゃぶっていたあのエッチな女の子があなたの本性なんだから)
「緊張しないいい方法よ。それはね……」
沙羅はあおいの目を見て、曇りのない笑顔で続ける。
「何も考えずに今を楽しむことなの。大丈夫よ。怖がらないで」
屈託のない微笑みに緊張が解れたのだろうか。
あおいはゆっくりと目線を上にあげる。
見えてきたのは、慶太たち男子だけでなく、自分と同じような水着姿の少女たちだった。
あおい以上に豊かな胸の美少女たち、特進生の上級生だ。
沙羅の次に寄ってきたのは黄色いワンピースタイプの水着の理沙だ。特別授業で一緒の組だった、あおいよりも小柄で日に焼けた元気娘は、あおいに後ろから抱きついてきた。
「あおいちゃん、もしかして緊張してる? こんなにいいお天気よ。男子が怖かったら、あたしたちも含めてみんなで遊びましょうよ。いいでしょ。せっかくあおいちゃんのカッコいいクラスメートが、いいボールを持っているんだし」
そう言いながら、自分の彼氏や一年男子たちを誘い込む。
慶太もにっこりと頷いた。あおいには敵わないが、周りの特進生も全員目を引く美少女だけに、断る理由は一つもない。
あおいと距離を詰める、最高の口実にもなる。
「先輩、いいんすか? あおいちゃん。ちょうどいい人数だし、一緒にビーチバレーをしようよ」
優花も含めて、あおい以外の全員が賛成と声をあげた。
沙羅は栗色で長いストレートヘアを耳にかき上げながら、優しい笑みを浮かべている。
余裕のあるゆっとりとした動きには、可愛らしさと気品が漂っている。
お淑やかな身のこなしは、どこをどうみても可憐で大人びた一人の女性だ。
(女に生まれ変わった先輩として、貴女を導いてあげるわ)
沙羅は心の中で、固く決意した。
BS学園入学以来、あおいの回りには、彼女の女性化に熱心な者が自然と集まってくる。
早紀、明人、アリス、さくらと特進生の上級生たち。
思惑はそれぞれ異なる。
沙羅の場合は少なくとも善意で満ちていた。
(認めてしまえば楽になるわ。女になるって素敵なことよ。限られたほんの一握りの男子しか、ここでは女になれないんだから)
沙羅にとって、あおいは自分と同じ道を歩んでいる妹のような存在だ。
今では、「なんであたし、男の子になりたいなんて思ってたのかしら。女の方がずっといいのに」とすっかり女に目覚めている沙羅も、昔は「オレは男だ。絶対に女になんてならない。男とキスなんてしない。ましてエッチなんて、想像するだけで吐き気がする」とまで言っていたのだ。
(バカなあたし)
過去の愚かな自分、まだ女に染まっていなかった自分を思い出して、沙羅はこう思う。
なんてあたしは未熟だったのだろうと。
もっと早く素直になればよかったのに、と。
こうやってビキニとか可愛らしい格好を毎日できて、雄二君にも全身を隅々まで愛してもらえるのは、あたしが女だから。
彼氏と手をつなぐだけで、胸がキュンキュンしちゃうのは、あたしが一人のメスだから。
男のふりをしていたあの頃の自分に、言ってあげたい。
いいのよ。あなたは女になっていいの。
男を好きになっていいの。男に愛されていいの。
それが、あなたにとって自然なことだから。
あなたにとっての幸せだから。
迷える子羊ちゃんに、教えてあげる。
あなたとあたしは同じだってことを。
女の子になるために生まれてきたってことを。
「いい方法?」
あおいは、体を強張らせている。
(大丈夫。分かっているわ。あなたの本心は女に生まれ変わりたいの。だって、特別授業のときのあおいちゃん。あのおちんちんを美味しそうにしゃぶっていたあのエッチな女の子があなたの本性なんだから)
「緊張しないいい方法よ。それはね……」
沙羅はあおいの目を見て、曇りのない笑顔で続ける。
「何も考えずに今を楽しむことなの。大丈夫よ。怖がらないで」
屈託のない微笑みに緊張が解れたのだろうか。
あおいはゆっくりと目線を上にあげる。
見えてきたのは、慶太たち男子だけでなく、自分と同じような水着姿の少女たちだった。
あおい以上に豊かな胸の美少女たち、特進生の上級生だ。
沙羅の次に寄ってきたのは黄色いワンピースタイプの水着の理沙だ。特別授業で一緒の組だった、あおいよりも小柄で日に焼けた元気娘は、あおいに後ろから抱きついてきた。
「あおいちゃん、もしかして緊張してる? こんなにいいお天気よ。男子が怖かったら、あたしたちも含めてみんなで遊びましょうよ。いいでしょ。せっかくあおいちゃんのカッコいいクラスメートが、いいボールを持っているんだし」
そう言いながら、自分の彼氏や一年男子たちを誘い込む。
慶太もにっこりと頷いた。あおいには敵わないが、周りの特進生も全員目を引く美少女だけに、断る理由は一つもない。
あおいと距離を詰める、最高の口実にもなる。
「先輩、いいんすか? あおいちゃん。ちょうどいい人数だし、一緒にビーチバレーをしようよ」
優花も含めて、あおい以外の全員が賛成と声をあげた。
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