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第三章 美少女学園一年目 芽吹き根付く乙女心
【第77話】 再教育(77)つばさ
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■つばさサイド(26)
「ど、どうして、つばさちゃんに、おちんちんが、ついているの?」
つばさは瞳と向き合ったまま固まっていた。
何を言っているのだろう。
つばさには、瞳の言っている意味が分からない。
ただならぬ空気に、汗がすっと引いていく。
つばさはただただキョトンとして、自分と同じく裸の瞳を見つめていた。
「おちんちん、ってなぁに?」
口から正直な感想が漏れた。
つばさの性に感する知識は、洗脳で消されてしまっている。
だから、おちんちんの意味を理解できなかったし、それが男性のシンボルであることも、分かるはずがなかったのだ。
「おちんちん?」
まわりの女の子たちは言葉に釣られて、一度つばさの股の間を見た後、恥ずかしそうに目を背けたり、両目を手で覆ったりしている。
自分の体が恥ずかしいものと、認識されている。
どんなに記憶を奪われていようとも、それだけは幼いつばさにも分かった。
この時、つばさは自分が他の女の子と違うことに初めて気がついた。
自分にある股間の突起が、他の女の子たちにないことを。
彼女たちにある真っ直ぐな筋の孔が、自分にはないことを。
つばさは、刺すような厳しい視線にいたたまれなくなり、しゃがんで股間を隠した。
まわりの女子は、ガヤガヤとし始めた。
「つばさちゃんに、おちんちんが? 本物?」
「あたし、弟ので見たことあるから間違いないわ。あれはどう見ても、男の子のおちんちんよ」
「どういうこと? あたしたち、ずっと騙されていたの?」
「男の子なのに、女の子のふりをしていたのね」
「あたし、知ってる。男子のくせに、女子のふりをする人達を、おかまさんって言うのよ」
「嫌だ。気持ち悪い。あたしの裸、見られちゃったの? 男の子に」
女子たちの表情は驚きから、嫌悪感へと変化していく。
これまでは、お友だちだったはずの女の子たちが一歩二歩と離れていく。
少し落ち着いたところで、彼女たちは、つばさを排除しようと動き出した。
一人の女子がついに、大声をあげる。
「出ていきなさいよ。男子は男子と一緒に着替えるべきよ」
他の女子も「そうだそうだ」と口々に追唱する。
せきをきったように、容赦ない罵声が飛んでくる。
「出ていってよ。男子の前で着替えたくないもの」
それらの言葉はどれも刺々しく、つばさの可愛らしさへの嫉妬も含まれていた。
自分たちが敵わない人気者の女の子が、実は男の子だった。その衝撃は凄まじい。
「違うの。これは何かの間違いよ。だってあたしはずっと女の子だったんだもの」
つばさは、必死に言い返す。自分は女の子だとどんなに伝えても、誰も受け入れてくれない。
ついに感情を抑えられなくなり、つばさは泣き出してしまった。
自分が男の子? そんなはずはないし、断じて認められない。
悲しい? 苦しい? 痛い?
どれか分からないけれど、嗚咽が止まらない。
唯一分かるのは、自分が他の女子と違うということのみだ。
騒ぎが聞こえたからだろうか。
つばさが教室の隅で泣きじゃくっていると、背後から保健の先生が近付いてきた。
最近から非常勤で顔を出すようになった速水先生だ。どこかミステリアスな雰囲気で、生徒にも人気がある。
速水先生は、泣き声をあげるつばさに「どうしたの?」と語りかけながら、優しく撫でる。
そして、他の女子達を制してから、つばさを抱き抱えたまま、スタスタと速足で保健室へと消えていった。
「ど、どうして、つばさちゃんに、おちんちんが、ついているの?」
つばさは瞳と向き合ったまま固まっていた。
何を言っているのだろう。
つばさには、瞳の言っている意味が分からない。
ただならぬ空気に、汗がすっと引いていく。
つばさはただただキョトンとして、自分と同じく裸の瞳を見つめていた。
「おちんちん、ってなぁに?」
口から正直な感想が漏れた。
つばさの性に感する知識は、洗脳で消されてしまっている。
だから、おちんちんの意味を理解できなかったし、それが男性のシンボルであることも、分かるはずがなかったのだ。
「おちんちん?」
まわりの女の子たちは言葉に釣られて、一度つばさの股の間を見た後、恥ずかしそうに目を背けたり、両目を手で覆ったりしている。
自分の体が恥ずかしいものと、認識されている。
どんなに記憶を奪われていようとも、それだけは幼いつばさにも分かった。
この時、つばさは自分が他の女の子と違うことに初めて気がついた。
自分にある股間の突起が、他の女の子たちにないことを。
彼女たちにある真っ直ぐな筋の孔が、自分にはないことを。
つばさは、刺すような厳しい視線にいたたまれなくなり、しゃがんで股間を隠した。
まわりの女子は、ガヤガヤとし始めた。
「つばさちゃんに、おちんちんが? 本物?」
「あたし、弟ので見たことあるから間違いないわ。あれはどう見ても、男の子のおちんちんよ」
「どういうこと? あたしたち、ずっと騙されていたの?」
「男の子なのに、女の子のふりをしていたのね」
「あたし、知ってる。男子のくせに、女子のふりをする人達を、おかまさんって言うのよ」
「嫌だ。気持ち悪い。あたしの裸、見られちゃったの? 男の子に」
女子たちの表情は驚きから、嫌悪感へと変化していく。
これまでは、お友だちだったはずの女の子たちが一歩二歩と離れていく。
少し落ち着いたところで、彼女たちは、つばさを排除しようと動き出した。
一人の女子がついに、大声をあげる。
「出ていきなさいよ。男子は男子と一緒に着替えるべきよ」
他の女子も「そうだそうだ」と口々に追唱する。
せきをきったように、容赦ない罵声が飛んでくる。
「出ていってよ。男子の前で着替えたくないもの」
それらの言葉はどれも刺々しく、つばさの可愛らしさへの嫉妬も含まれていた。
自分たちが敵わない人気者の女の子が、実は男の子だった。その衝撃は凄まじい。
「違うの。これは何かの間違いよ。だってあたしはずっと女の子だったんだもの」
つばさは、必死に言い返す。自分は女の子だとどんなに伝えても、誰も受け入れてくれない。
ついに感情を抑えられなくなり、つばさは泣き出してしまった。
自分が男の子? そんなはずはないし、断じて認められない。
悲しい? 苦しい? 痛い?
どれか分からないけれど、嗚咽が止まらない。
唯一分かるのは、自分が他の女子と違うということのみだ。
騒ぎが聞こえたからだろうか。
つばさが教室の隅で泣きじゃくっていると、背後から保健の先生が近付いてきた。
最近から非常勤で顔を出すようになった速水先生だ。どこかミステリアスな雰囲気で、生徒にも人気がある。
速水先生は、泣き声をあげるつばさに「どうしたの?」と語りかけながら、優しく撫でる。
そして、他の女子達を制してから、つばさを抱き抱えたまま、スタスタと速足で保健室へと消えていった。
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