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第一章 開かれる女の子への道(葵編)
【第35話】 誓いの言葉
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『学籍番号1897003 特進生 クリスティーナ ミュラー 性転換治療に同意』
『学籍番号1897027 特進生 末舛 つばさ 性転換治療に同意』
『学籍番号1897001 特進生 橘 あおい 完全性転換治療に……』
早紀はパソコンのモニターを見ながら、最高のデザートが来るのを今か今かと待っていた。
他の特進生は、既に治療同意書に著名した。残るは葵、ただひとりだ。
今頃、アリスに諭されて、こちらに向かっているはずだ。全ては計画通り。
真っ赤な口紅で塗られた口元が暗い部屋で、つややかに光る。
コンコン
研究室のドアをノックする音がした。
早紀は楽しそうに椅子を引いて席を立つ。
「入りなさい」
そこには思った通り、緊張した面持ちで葵が立っていた。ピンクのひだひだが付いたスカートと、白のブラウスという、シンプルだが清楚ないで立ちだ。艶やかなボブの髪に天使の輪が浮かんでいる。
順調に美少女へと生まれ変わりつつある葵を見て、早紀は満足そうに頷いた。
「今まで、逃げてすいませんでした。先生のお力で、ぼ、ぼくを、お、女の子に……してください」
葵は開口一番、震え声で早紀に許しを請う。その言葉はアリスに仕込まれたフレーズに違いなかった。
涙をためた悲しそうな顔も、女の子らしくて可愛らしく、早紀はぞくぞくしてしまう。
「ふふふ。しょうがない娘ね。そんなに女の子になりたいの?」
「は、はい……。女の子にしてください」
葵は自分の心と反する言葉を繰り返す。ここで早紀に許してもらえなければ、唯一の心の拠り所であるアリスとの仲も完全に壊れてしまう。それだけは避けたかった。
「では、あおいちゃん。いいえ、あおい。この誓約書に著名しなさい。そして書いてあることを一字一句、大きな声で読み上げるの」
「こ、これは……」
葵は絶句する。葵はせいぜい女装して学園生活を送る程度のことしか想像していなかった。こんなことを口にしたら本当に男に戻れなくなってしまう。
「どうしたの? 読めないの? じゃあこの話は終りね」
「ま、待ってください。よ、読みますので。いえ、読ませてください」
「ふふっ。分かればいいの。じゃあ、読み上げなさい」
早紀に命令されて、葵は震え声を絞り出した。違う、そうじゃないという気持ちを必死に抑えながら。
「あ、あたし、橘 あおいは、物心がついたころから、ずっと自分の性に、違和感がありました。股間の性器、おちんちんに違和感がありました。こ、こんなのなくなってしまえと、思っていました。女の子のお股に、ずっと憧れていました。
好きになったのも、ずっと男の子だけでした。男の子にキスをされることを想像すると、股間がむずむずしてしまう、いやらしい娘でした。白馬の王子様にお姫様にしてもらうことを、夢見ていました。
男の人に毎日体中を愛されて、抱きしめてもらいたいと、いつも妄想していました。
あたしは、い、いつか、赤ちゃんが欲しいと思っていました。好きな男性の子を身ごもりたいと。
でも、あたしにはまだ、おまんこがありません。せっかく男性とエッチして、子種を出していただいても、赤ちゃんをお腹に作ることができません。
早紀先生のお力で、あたしの、忌々しい、お、おちんちん……ぐすん……おちんちんを、と、取り除いてください。お、おまんこに、してください。あたしが、本当の女として、好きな男性と愛し合えるように、体の隅々まで、女にしてください。あたしの中の男を全て消し去ってください。
あたし、橘 あおいは、早紀先生に、体の全てを女の子にしていただくため、感謝のしるしとして、全ての言うことを聞きます。口答えは致しません。ですから、あたしを本来の、女の子の性になれるように、治療してください。
心の底から、お願いいたします……うっ……ううっ」
あおいは、屈辱に泣き出してしまった。僕の大切なおちんちんを、なくなってしまえだなんて……そんなこと思っていないのに。
肩を震わせる葵を、早紀は抱き寄せた。
「いいわ。あなたの望みをかなえてあげる。美少女専門学園はあなたの夢をかなえる、理想の学校よ。血の一滴に至るまで、本物の女の子にしてあげるわ」
『学籍番号1897001 特進生 橘 あおい 完全性転換治療に……同意』
早紀はパソコンの文章に二文字を加える。
世界初の完全性転換。妊娠までできる正真正銘の女になる悪魔のプロセスが、葵の中に残る男性性を排除しようと牙をむき始めていた。
『学籍番号1897027 特進生 末舛 つばさ 性転換治療に同意』
『学籍番号1897001 特進生 橘 あおい 完全性転換治療に……』
早紀はパソコンのモニターを見ながら、最高のデザートが来るのを今か今かと待っていた。
他の特進生は、既に治療同意書に著名した。残るは葵、ただひとりだ。
今頃、アリスに諭されて、こちらに向かっているはずだ。全ては計画通り。
真っ赤な口紅で塗られた口元が暗い部屋で、つややかに光る。
コンコン
研究室のドアをノックする音がした。
早紀は楽しそうに椅子を引いて席を立つ。
「入りなさい」
そこには思った通り、緊張した面持ちで葵が立っていた。ピンクのひだひだが付いたスカートと、白のブラウスという、シンプルだが清楚ないで立ちだ。艶やかなボブの髪に天使の輪が浮かんでいる。
順調に美少女へと生まれ変わりつつある葵を見て、早紀は満足そうに頷いた。
「今まで、逃げてすいませんでした。先生のお力で、ぼ、ぼくを、お、女の子に……してください」
葵は開口一番、震え声で早紀に許しを請う。その言葉はアリスに仕込まれたフレーズに違いなかった。
涙をためた悲しそうな顔も、女の子らしくて可愛らしく、早紀はぞくぞくしてしまう。
「ふふふ。しょうがない娘ね。そんなに女の子になりたいの?」
「は、はい……。女の子にしてください」
葵は自分の心と反する言葉を繰り返す。ここで早紀に許してもらえなければ、唯一の心の拠り所であるアリスとの仲も完全に壊れてしまう。それだけは避けたかった。
「では、あおいちゃん。いいえ、あおい。この誓約書に著名しなさい。そして書いてあることを一字一句、大きな声で読み上げるの」
「こ、これは……」
葵は絶句する。葵はせいぜい女装して学園生活を送る程度のことしか想像していなかった。こんなことを口にしたら本当に男に戻れなくなってしまう。
「どうしたの? 読めないの? じゃあこの話は終りね」
「ま、待ってください。よ、読みますので。いえ、読ませてください」
「ふふっ。分かればいいの。じゃあ、読み上げなさい」
早紀に命令されて、葵は震え声を絞り出した。違う、そうじゃないという気持ちを必死に抑えながら。
「あ、あたし、橘 あおいは、物心がついたころから、ずっと自分の性に、違和感がありました。股間の性器、おちんちんに違和感がありました。こ、こんなのなくなってしまえと、思っていました。女の子のお股に、ずっと憧れていました。
好きになったのも、ずっと男の子だけでした。男の子にキスをされることを想像すると、股間がむずむずしてしまう、いやらしい娘でした。白馬の王子様にお姫様にしてもらうことを、夢見ていました。
男の人に毎日体中を愛されて、抱きしめてもらいたいと、いつも妄想していました。
あたしは、い、いつか、赤ちゃんが欲しいと思っていました。好きな男性の子を身ごもりたいと。
でも、あたしにはまだ、おまんこがありません。せっかく男性とエッチして、子種を出していただいても、赤ちゃんをお腹に作ることができません。
早紀先生のお力で、あたしの、忌々しい、お、おちんちん……ぐすん……おちんちんを、と、取り除いてください。お、おまんこに、してください。あたしが、本当の女として、好きな男性と愛し合えるように、体の隅々まで、女にしてください。あたしの中の男を全て消し去ってください。
あたし、橘 あおいは、早紀先生に、体の全てを女の子にしていただくため、感謝のしるしとして、全ての言うことを聞きます。口答えは致しません。ですから、あたしを本来の、女の子の性になれるように、治療してください。
心の底から、お願いいたします……うっ……ううっ」
あおいは、屈辱に泣き出してしまった。僕の大切なおちんちんを、なくなってしまえだなんて……そんなこと思っていないのに。
肩を震わせる葵を、早紀は抱き寄せた。
「いいわ。あなたの望みをかなえてあげる。美少女専門学園はあなたの夢をかなえる、理想の学校よ。血の一滴に至るまで、本物の女の子にしてあげるわ」
『学籍番号1897001 特進生 橘 あおい 完全性転換治療に……同意』
早紀はパソコンの文章に二文字を加える。
世界初の完全性転換。妊娠までできる正真正銘の女になる悪魔のプロセスが、葵の中に残る男性性を排除しようと牙をむき始めていた。
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