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第一章 開かれる女の子への道(葵編)
【第3話】 男として過ごす最後の日
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「つ、疲れた……」
葵は大きなリュックを横に置いて、大の字で浜辺に寝そべった。
指定された集合場所から、潜水艦で旅すること三時間。
たどり着いたのが、BS学園があるトランス島だ。
太平洋のどこかに浮かぶこの島は、所在が明らかにされていない。
噂には聞いていたが、ここまで人里離れた場所にあるとは予想外だった。
白い砂のビーチに穏やかな波が打ち寄せる。浅瀬にサンゴ礁がある透き通った海は、太陽の光を穏やかに反射して、水色に輝いていた。
葵は学園関係者から「紫外線が強烈だから必ず塗るように」と言われた日焼け止めをして、外に出る。
大気汚染など一切ない爽やかな風が優しく体を擽る。
胸いっぱいに新鮮な空気を吸うと、心が洗われるかのようだ。
「ここからオレの新しい人生が始まるんだ」
葵は両手ですくい上げた砂が、指の間をすり抜けていくのを見ながら決意する。
リゾート地のような最高の環境に心が躍る。
学園紹介で写真は見たことがあったが、ここまできれいな場所とは思わなかった。
「いつかオレも彼女を作ってビーチで……」
頭の中にデート風景が浮かんでくる。
ここで夕日を見ながら手を繋いで歩いたら、ムードもきっと最高だな。
幸せだ。信じられないほど幸せだ。
こんな幸せでいいんだろうかと葵は思う。
変なことが起こる前兆でなければいいんだけど。
「そういえば、今日先導で付き添いに来てくれた上級生の女の子だけど、すっごく可愛かったな」
そう言って、さっきまで一緒にいた美少女のことを思い出す。
アリスちゃんだっけ。日本人とロシア人のハーフだとか。
胸は小さめだけど、何よりも顔が可愛いかった。
ハーフ特有の奥行きのある顔立ちは、どこかのモデルのようだ。
葵がこれまで会ってきた中で、一番かもしれない。
「初対面で言うのも変ですけど、アリスさん美人でオレ緊張しちゃいました」
葵のセリフに、アリスは微笑んでこう返した。
「ありがとう。でもこの島にはあたしなんかよりも可愛い娘が沢山いるのよ」
葵にはアリスよりも美しい女の子が沢山いるなんて、信じられなかったし、冗談にしか聞こえなかった。
―――――
葵は相変わらず、大の字になって浜辺で横になっている。
雲一つない真っ青な空を、カモメが自由に泳ぐ姿がとてものどかだ。
「なんだか眠くなってきたな」
飲み物に睡眠薬が入れられていたことを知らない葵は、急に襲ってきた睡魔に戸惑いながらも、やがて可愛らしく、くーくーと小さな寝息を立て始めた。
これが男として迎える最後の日と言うことも知らずに。
葵が完全に寝たことを合図に、多数の黒服たち近づいてくる。
強力な睡眠薬なので、一度寝てしまえばちょっとやそっとでは起きない。
二度と手に入らないほどの最高の美少年だから、黒服たちも割れ物を扱うかのように、慎重に葵に触れる。
黒服に抱き抱えられた葵に、近づいてくる一人の女性。
それは、彼の到着をずっと心待ちにしていた早紀だった。
「ふふふ。実物は写真以上に可愛いわ」
そう言って、早紀は葵の腕にピンク色の液体を注射する。
針は細いので、決して痕は残らない。
これは、早紀が今年新たに調合した女性ホルモンだ。
葵の遺伝情報のデータに合わせて作った特注品だ。
「この注射をしないと、あおいちゃんは男の子になっちゃうの。むさ苦しい男の子に。そんなのイヤでしょ。心配しなくても大丈夫よ。お姉さんが、あおいちゃんを飛びっきりの美少女にしてあげるんだから。エッチでいい香りのする最高の女の子にね、ふふふ」
その恐ろしいメッセージは、眠っている葵には届いていない。
女性ホルモン。
それはまだ二次性徴の来ていない葵にとって、男性機能への深刻なダメージを与える悪魔の薬だ。
本来は男らしく変化するはずだった葵の体は、この注射により、女性になるべく動き始めてしまった。
これを毎日打たれることで、葵の体は確実に女になっていく。
抱き心地のいい、柔らかな女性の体に変わっていく。
抱く側の性から抱かれる側の性へ、組み敷く側の性から組み敷かれる側の性へ、射精したいオスから、射精されたいメスへ。
葵の性は、強引にねじ曲がられていくのだ。彼女の意に反して、女にされていくのだ。
相変わらず幸せそうに寝ている彼女は、まだそのことを知らない。
その表情はどこまでも可愛らしい。
こうして葵の強制女性化は開始されたのだった。
葵は大きなリュックを横に置いて、大の字で浜辺に寝そべった。
指定された集合場所から、潜水艦で旅すること三時間。
たどり着いたのが、BS学園があるトランス島だ。
太平洋のどこかに浮かぶこの島は、所在が明らかにされていない。
噂には聞いていたが、ここまで人里離れた場所にあるとは予想外だった。
白い砂のビーチに穏やかな波が打ち寄せる。浅瀬にサンゴ礁がある透き通った海は、太陽の光を穏やかに反射して、水色に輝いていた。
葵は学園関係者から「紫外線が強烈だから必ず塗るように」と言われた日焼け止めをして、外に出る。
大気汚染など一切ない爽やかな風が優しく体を擽る。
胸いっぱいに新鮮な空気を吸うと、心が洗われるかのようだ。
「ここからオレの新しい人生が始まるんだ」
葵は両手ですくい上げた砂が、指の間をすり抜けていくのを見ながら決意する。
リゾート地のような最高の環境に心が躍る。
学園紹介で写真は見たことがあったが、ここまできれいな場所とは思わなかった。
「いつかオレも彼女を作ってビーチで……」
頭の中にデート風景が浮かんでくる。
ここで夕日を見ながら手を繋いで歩いたら、ムードもきっと最高だな。
幸せだ。信じられないほど幸せだ。
こんな幸せでいいんだろうかと葵は思う。
変なことが起こる前兆でなければいいんだけど。
「そういえば、今日先導で付き添いに来てくれた上級生の女の子だけど、すっごく可愛かったな」
そう言って、さっきまで一緒にいた美少女のことを思い出す。
アリスちゃんだっけ。日本人とロシア人のハーフだとか。
胸は小さめだけど、何よりも顔が可愛いかった。
ハーフ特有の奥行きのある顔立ちは、どこかのモデルのようだ。
葵がこれまで会ってきた中で、一番かもしれない。
「初対面で言うのも変ですけど、アリスさん美人でオレ緊張しちゃいました」
葵のセリフに、アリスは微笑んでこう返した。
「ありがとう。でもこの島にはあたしなんかよりも可愛い娘が沢山いるのよ」
葵にはアリスよりも美しい女の子が沢山いるなんて、信じられなかったし、冗談にしか聞こえなかった。
―――――
葵は相変わらず、大の字になって浜辺で横になっている。
雲一つない真っ青な空を、カモメが自由に泳ぐ姿がとてものどかだ。
「なんだか眠くなってきたな」
飲み物に睡眠薬が入れられていたことを知らない葵は、急に襲ってきた睡魔に戸惑いながらも、やがて可愛らしく、くーくーと小さな寝息を立て始めた。
これが男として迎える最後の日と言うことも知らずに。
葵が完全に寝たことを合図に、多数の黒服たち近づいてくる。
強力な睡眠薬なので、一度寝てしまえばちょっとやそっとでは起きない。
二度と手に入らないほどの最高の美少年だから、黒服たちも割れ物を扱うかのように、慎重に葵に触れる。
黒服に抱き抱えられた葵に、近づいてくる一人の女性。
それは、彼の到着をずっと心待ちにしていた早紀だった。
「ふふふ。実物は写真以上に可愛いわ」
そう言って、早紀は葵の腕にピンク色の液体を注射する。
針は細いので、決して痕は残らない。
これは、早紀が今年新たに調合した女性ホルモンだ。
葵の遺伝情報のデータに合わせて作った特注品だ。
「この注射をしないと、あおいちゃんは男の子になっちゃうの。むさ苦しい男の子に。そんなのイヤでしょ。心配しなくても大丈夫よ。お姉さんが、あおいちゃんを飛びっきりの美少女にしてあげるんだから。エッチでいい香りのする最高の女の子にね、ふふふ」
その恐ろしいメッセージは、眠っている葵には届いていない。
女性ホルモン。
それはまだ二次性徴の来ていない葵にとって、男性機能への深刻なダメージを与える悪魔の薬だ。
本来は男らしく変化するはずだった葵の体は、この注射により、女性になるべく動き始めてしまった。
これを毎日打たれることで、葵の体は確実に女になっていく。
抱き心地のいい、柔らかな女性の体に変わっていく。
抱く側の性から抱かれる側の性へ、組み敷く側の性から組み敷かれる側の性へ、射精したいオスから、射精されたいメスへ。
葵の性は、強引にねじ曲がられていくのだ。彼女の意に反して、女にされていくのだ。
相変わらず幸せそうに寝ている彼女は、まだそのことを知らない。
その表情はどこまでも可愛らしい。
こうして葵の強制女性化は開始されたのだった。
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