華散るその時まで

１９

翌日、ベッドにエドの姿はなかった。代わりにメモ用紙がサイドテーブルの上に置かれていた。

『おはよう、ラルフ。君の名前を呼べて嬉しいよ。身体は大丈夫だろうか？出来るだけ負担をかけないようにしたつもりだったけれど、もし辛いようなら休んでて良いからね。それから、突然で申し訳ないが暫く仕事で帰れなくなりそうなんだ。食材は買い置きしておいたのがあるから大丈夫だとは思うけど、もし入り用なものがあったらこの番号に連絡すると良い。君の事は話してあるから、よくしてくれるだろう。あ、あと、戸締まりはしっかりね。     エドワード』

「………お前は母親かっ」

思わずツッコんでしまい、腰の痛みに悶絶する。いや、痛いというより重い？とにかくそんな感じで、今までに体験した事のない感覚だ。
しかもちゃっかり服まで着せてある。身体にべたつきもない。挙句の果てに昨夜のエドの声まで思い出してしまって。

「～～～～寝る！オレは寝るぞ！」

ここがまだエドのベッドだとか、そんな事知ったこっちゃない。運ばなかったエドが悪いんだ。

それからオレは夕方まで眠った。

そして、手紙の通り、エドが帰って来ない日々が続いた。