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しおりを挟む「ねえ、きみ千秋くんと仲良いんでしょ?協力してくれない?」
そう言って、その人は可愛らしく小首を傾げた。
「協力って…」
「わたし、千秋くんの事が好きなの」
『千秋』
その音が発せられた瞬間、心臓がまるでザワザワとした気持ち悪いものに舐められたような気がした。
「今年は受験だし、文化祭が終わったらもうそんな余裕はないでしょ?だから…ね?」
「分かるでしょう?」と、その眼は言っていた。
協力などと遠回しに言っているが、要するに邪魔をするなという事なのだろう。
「…分かりました」
「ほんと?ありがとう!」
長いウェーブ掛かった髪に、仄(ほの)かに香る甘い女の子らしい匂い。俺と同じくらいの背丈だけれど、柔らかそうな華奢な体付き。
当たり前だけど、何もかもが俺とは違う生き物。
「あのね、早速お願いがあるんだけど…」
何故だか気持ち悪くて、吐きそうな気分だった。
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