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しおりを挟む「で?昨日はなんで逃げたんだよ」
とは言ったものの、当然俺には人の相談にのるという高等テクニックなんてものは無い。
ストレート一択だ。
「そ、れは…藤乃が…」
「藤乃って天草先輩の事だよな?あの人と何かあったのか」
「………」
「おい」
「…笑わんか」
「…こいつは笑ったのかよ」
「………」
「なら、俺が笑う訳ねえだろ」
そう答えると、砂酉は膝に顔を埋めたまま話し始めた。
「…藤乃とは、地元に居った頃よう遊んどった。家も近かった」
顔見知りだとは聞いていたが、どうやら幼馴染だったらしい。
「…けど、藤乃が先に中学に上がってもてからあんまり会えんくなってきて、」
「………」
「藤乃には藤乃の日常があるて分かってたし、偶にすれ違うだけで良かった。そんなもんぐらいでオレと藤乃の仲は変わらんて、思てた」
でも、と続けた砂酉の声は僅かに震えていた。
「…見てもうたねん。藤乃が、キスしとるとこ…」
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