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砂酉が逃走を図った翌日の朝、祭月から今日は休むという旨の連絡が入った。
放課後家に来て欲しいという言葉も添えて。
特に何も思う事なく「分かった」と返事をして、いざ放課後に訪ねてきてみれば
そこにはお山座りでどんよりとした砂酉の姿があった。一瞬地縛霊かと思ったぞ。
手招きして祭月を呼ぶ。説明を求む。
「昨日帰ってきたらマンションの下にイッちゃんがいてね。で、そのまま泊まったの」
なるほど。砂酉がいなかったのも、そういう事だったのか。
…でも、何で俺は呼ばれたんだ?
自慢じゃないが、俺は人の相談に乗れる程人生経験豊富じゃねえぞ。
と、いう思いを視線に込める。
「昨日のうちに大体の事情は聞いたんだけどね。ちょっと、俺一人の手には余るっていうか」
困ったように頬をかきながら砂酉を見る祭月の視線を追う。
「何て言ったら良いのかな。んー…取り敢えずイッちゃんから直接事情聞いて貰える?話はそれからって事で」
「お願いっ」と手を合わせられ、思わず眉を寄せた。
いやだって祭月の手にも余るんだぞ?
そんな案件を俺がどうこう出来ると思うか?無理だろ。無理ゲーだろ。
…とは言え、砂酉がどうして昨日脱走を図ったのか、その理由は気になる所ではある。
「…………聞くだけ、だからな」
「うん!ありがとう」
斯くして、心の中の天使と悪魔の勝敗は
後者に軍配が上がったのだった。
放課後家に来て欲しいという言葉も添えて。
特に何も思う事なく「分かった」と返事をして、いざ放課後に訪ねてきてみれば
そこにはお山座りでどんよりとした砂酉の姿があった。一瞬地縛霊かと思ったぞ。
手招きして祭月を呼ぶ。説明を求む。
「昨日帰ってきたらマンションの下にイッちゃんがいてね。で、そのまま泊まったの」
なるほど。砂酉がいなかったのも、そういう事だったのか。
…でも、何で俺は呼ばれたんだ?
自慢じゃないが、俺は人の相談に乗れる程人生経験豊富じゃねえぞ。
と、いう思いを視線に込める。
「昨日のうちに大体の事情は聞いたんだけどね。ちょっと、俺一人の手には余るっていうか」
困ったように頬をかきながら砂酉を見る祭月の視線を追う。
「何て言ったら良いのかな。んー…取り敢えずイッちゃんから直接事情聞いて貰える?話はそれからって事で」
「お願いっ」と手を合わせられ、思わず眉を寄せた。
いやだって祭月の手にも余るんだぞ?
そんな案件を俺がどうこう出来ると思うか?無理だろ。無理ゲーだろ。
…とは言え、砂酉がどうして昨日脱走を図ったのか、その理由は気になる所ではある。
「…………聞くだけ、だからな」
「うん!ありがとう」
斯くして、心の中の天使と悪魔の勝敗は
後者に軍配が上がったのだった。
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