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そして漸く始まった試験勉強会。
砂酉は本人が言っていた通り余裕な顔で文系科目が苦手だと言う祭月を担当し
いつも通り俺が真琴の勉強を見る。
…と、最初はこういう構図だったのだが
隣りから聞こえてくる真琴の悪戦苦闘する呻き声にとうとう痺れを切らしたのか
担当を交代する事となったのだった。
「あはは、イッちゃん燃えてるねー」
リビングで砂酉のスパルタ指導の下、ひーひー言っている真琴をダイニングからマグカップを傾かせながら悠々と眺める。
ちなみに、普段寝てばかりいるくせに祭月は割と呑み込みが早く
一足先にひと段落ついた俺達は、お茶でも飲もうかという祭月の提案にダイニングへと移動したのだ。
「次なに飲む~?」
ふんふんと楽しげに鼻歌を歌いながら紅茶パックが入っている箱の中をあさる祭月。
「随分たくさん有るな」
「イッちゃんに貰ったんだー」
「砂酉が?」
「うん。外国のとか珍しいのとか色々ね」
「…へぇ」
「うーん迷うなぁ。…あ、そうだ。那月君はどれ飲んでみたい?」
「俺?」
聞かれ、覗き込むもそもそもどれがどういう種類のものなのか分からない。
「……お前が好きなのは?」
悩んだ末、祭月の好みに任せる事にした。
「え…?」
「? なに驚いてんだよ。お前ん家なんだし自分の好きな奴淹れれば良いんじゃねぇの?」
「…あ、そか。そうだよね。えっとね俺が好きなのは、」
慌てたようにパッと顔を逸らされ、首を傾げる。
俺、何か変な事言ったか…?
「あった。これこれ!」
「…レディー、グレイ?」
筆記体の英語を何とか読むと、祭月は大きく頷いた。
「アールグレイも好きだけど、俺はこっちの方が好きなんだー」
「ふーん…」
しげしげと青い柄のそれを眺めていると、祭月がじっと見つめている事に気が付く。
それに「何だよ」と返せば、祭月はふっと表情を和らげて「何でもないよ」と笑った。
砂酉は本人が言っていた通り余裕な顔で文系科目が苦手だと言う祭月を担当し
いつも通り俺が真琴の勉強を見る。
…と、最初はこういう構図だったのだが
隣りから聞こえてくる真琴の悪戦苦闘する呻き声にとうとう痺れを切らしたのか
担当を交代する事となったのだった。
「あはは、イッちゃん燃えてるねー」
リビングで砂酉のスパルタ指導の下、ひーひー言っている真琴をダイニングからマグカップを傾かせながら悠々と眺める。
ちなみに、普段寝てばかりいるくせに祭月は割と呑み込みが早く
一足先にひと段落ついた俺達は、お茶でも飲もうかという祭月の提案にダイニングへと移動したのだ。
「次なに飲む~?」
ふんふんと楽しげに鼻歌を歌いながら紅茶パックが入っている箱の中をあさる祭月。
「随分たくさん有るな」
「イッちゃんに貰ったんだー」
「砂酉が?」
「うん。外国のとか珍しいのとか色々ね」
「…へぇ」
「うーん迷うなぁ。…あ、そうだ。那月君はどれ飲んでみたい?」
「俺?」
聞かれ、覗き込むもそもそもどれがどういう種類のものなのか分からない。
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「…あ、そか。そうだよね。えっとね俺が好きなのは、」
慌てたようにパッと顔を逸らされ、首を傾げる。
俺、何か変な事言ったか…?
「あった。これこれ!」
「…レディー、グレイ?」
筆記体の英語を何とか読むと、祭月は大きく頷いた。
「アールグレイも好きだけど、俺はこっちの方が好きなんだー」
「ふーん…」
しげしげと青い柄のそれを眺めていると、祭月がじっと見つめている事に気が付く。
それに「何だよ」と返せば、祭月はふっと表情を和らげて「何でもないよ」と笑った。
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