Estrella

碧月 晶

文字の大きさ
上 下
157 / 179

7-14

しおりを挟む

「…………………え?」
「何だよその顔は」
「いや…え?思惑通りて…」
「…真琴が言うにはな」
「鳥頭(とりあたま)?」

 

…おい。それは真琴の事か?三歩歩けば忘れる鳥脳イコール馬鹿と掛けてんのか?

 

だが否定はしない。

 

「真琴いわく、一緒に喋って飯食って過ごせばもうそれは『友達』らしい。昔、そう言われた」
「………」
「あいつは馬鹿で脳天気だからな。お前が何か言ったところで何にも堪えてないどころか嫌み言われてたとしても気付いてねえよ」


実際、中学で初めて会った時もそうだったしな。


「だから、あいつにとってはお前ももう既にそういう認識されてんだよ。あいつがあだ名とか名前で呼ぶ時は特に『親しい』友達認定してるって事だからな」
「…………なあ、鳥頭の」
「名前が聞きたいなら直接自分で聞きに行け」


快く教えてくれるだろうよ。


「……………お前は?」
「………砂酉、頭良いんだろ。だったら何で俺がわざわざこんな話したのかテメエで考えろ」

 

溜め息を吐いて、わざとらしい程にそっぽを向く。

 

くっそ恥ずくて、まるで小学生みたいなやり取りをしているこの雰囲気に
そうでもしないと耐えられそうになかった。

 

だって、『友達になろう』なんて
その当時の自分もきっと一度も言った事なんか無かっただろうに、この年でどうして言えると思う?

 

「…ふ、お前、素直やないなぁ」
「ほっとけ。お前にだけは言われなくねえよ」
「ははっ、せやな」

 

チラリと横目で見た砂酉の顔が、祭月の前でだけ見せていた笑顔で
傍で成り行きを見守っていた祭月も微笑ましそうに「良かったね」と笑っていた。

 

心臓の辺りがジワリとして、少しだけむず痒かったのを
よく覚えている。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

壁乳

リリーブルー
BL
俺は後輩に「壁乳」に行こうと誘われた。 (作者の挿絵付きです。)

灰かぶりの少年

うどん
BL
大きなお屋敷に仕える一人の少年。 とても美しい美貌の持ち主だが忌み嫌われ毎日被虐的な扱いをされるのであった・・・。

アルバイトで実験台

夏向りん
BL
給料いいバイトあるよ、と教えてもらったバイト先は大人用玩具実験台だった! ローター、オナホ、フェラ、玩具責め、放置、等々の要素有り

ある少年の体調不良について

雨水林檎
BL
皆に好かれるいつもにこやかな少年新島陽(にいじまはる)と幼馴染で親友の薬師寺優巳(やくしじまさみ)。高校に入学してしばらく陽は風邪をひいたことをきっかけにひどく体調を崩して行く……。 BLもしくはブロマンス小説。 体調不良描写があります。

R指定

ヤミイ
BL
ハードです。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

貢がせて、ハニー!

わこ
BL
隣の部屋のサラリーマンがしょっちゅう貢ぎにやって来る。 隣人のストレートな求愛活動に困惑する男子学生の話。 社会人×大学生の日常系年の差ラブコメ。 ※現時点で小説の公開対象範囲は全年齢となっております。しばらくはこのまま指定なしで更新を続ける予定ですが、アルファポリスさんのガイドラインに合わせて今後変更する場合があります。(2020.11.8) ■2024.03.09 2月2日にわざわざサイトの方へ誤変換のお知らせをくださった方、どうもありがとうございました。瀬名さんの名前が僧侶みたいになっていたのに全く気付いていなかったので助かりました! ■2024.03.09 195話/196話のタイトルを変更しました。 ■2020.10.25 25話目「帰り道」追加(差し込み)しました。話の流れに変更はありません。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...