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しおりを挟む「…………………え?」
「何だよその顔は」
「いや…え?思惑通りて…」
「…真琴が言うにはな」
「鳥頭(とりあたま)?」
…おい。それは真琴の事か?三歩歩けば忘れる鳥脳イコール馬鹿と掛けてんのか?
だが否定はしない。
「真琴いわく、一緒に喋って飯食って過ごせばもうそれは『友達』らしい。昔、そう言われた」
「………」
「あいつは馬鹿で脳天気だからな。お前が何か言ったところで何にも堪えてないどころか嫌み言われてたとしても気付いてねえよ」
実際、中学で初めて会った時もそうだったしな。
「だから、あいつにとってはお前ももう既にそういう認識されてんだよ。あいつがあだ名とか名前で呼ぶ時は特に『親しい』友達認定してるって事だからな」
「…………なあ、鳥頭の」
「名前が聞きたいなら直接自分で聞きに行け」
快く教えてくれるだろうよ。
「……………お前は?」
「………砂酉、頭良いんだろ。だったら何で俺がわざわざこんな話したのかテメエで考えろ」
溜め息を吐いて、わざとらしい程にそっぽを向く。
くっそ恥ずくて、まるで小学生みたいなやり取りをしているこの雰囲気に
そうでもしないと耐えられそうになかった。
だって、『友達になろう』なんて
その当時の自分もきっと一度も言った事なんか無かっただろうに、この年でどうして言えると思う?
「…ふ、お前、素直やないなぁ」
「ほっとけ。お前にだけは言われなくねえよ」
「ははっ、せやな」
チラリと横目で見た砂酉の顔が、祭月の前でだけ見せていた笑顔で
傍で成り行きを見守っていた祭月も微笑ましそうに「良かったね」と笑っていた。
心臓の辺りがジワリとして、少しだけむず痒かったのを
よく覚えている。
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