150 / 179
7-8
しおりを挟む「や…うん、大丈夫だよ、うん」
「? 祭月?」
両手を顔の前で振って大丈夫と繰り返す。
だが、一向に顔を上げようとしない様子にもしかして知らず知らずのうちに
強く押し付けてしまっていたのだろうかと心配になり、覗き込むと…
「お前、顔赤いぞ」
「へ!?」
「悪い、そんなに力強かったか?」
「え、違う違う!寧ろ優しかったし!これは、その…ちょっとびっくりしただけだから。ほんとに大丈夫だから、気にしないで」
? そう、か…?
もう顔色も戻ってるし、本人も大丈夫だと言ってるので俺はそれ以上触れるのは止め、未だ電話の向こうの相手と話している砂酉へと目を向けた。
祭月もつられるように視線をそちらに向ける。
そんなに訝しげな顔をしていたのだろうか。祭月が小さく笑った。
「ああ、黒子さんっていうのはイッちゃん家の使用人さんだよ」
使用人て…金持ちか。いや金持ちか。
「何も本当に黒子みたいな格好してる訳じゃないからそこは安心して良いよ。本名は黒田さんって言って、黒子っていうのはあだ名みたいのものだから」
「あだ名?」
「うん。いつも真っ黒なスーツ着ててね、陰ながらいつもイッちゃんを見守ってるボディーガードもやってるし、身の回りのお世話とかほとんど黒田さんがしてくれてるんだって」
「だから黒子?」
「うーん…まぁ半分はそれが理由でもあるんだけど」
「半分?」
「あ、電話終わったみたいだよ」
促され、振り返ると砂酉がこちらに向かってきているところだった。
0
お気に入りに追加
20
あなたにおすすめの小説

寮生活のイジメ【社会人版】
ポコたん
BL
田舎から出てきた真面目な社会人が先輩社員に性的イジメされそのあと仕返しをする創作BL小説
【この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。】
全四話
毎週日曜日の正午に一話ずつ公開


鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる