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しおりを挟む「凄いね!那月君、上手くてびっくりした」
大きな抱き枕のようなぬいぐるみとカピバラの人形を抱き抱(かか)え、興奮したようにはしゃぐ祭月。
その隣には袋いっぱいに詰まったお菓子やマスコットのキーホルダーを(祭月の説明いわくホクホクと)見ている砂酉。
…うん、柄にもなくちょっと若干少しばかり熱が入ってしまった事は認める。
「ね、凄かったよね那月君」
「まあ…そうやな、褒めたらん事もないな」
上から目線だな、おい。
一個も取れなかったくせに。
「ゲームセンターって初めて入ったけど結構楽しいんだね」
「初めて?」
「うん。ゲームセンターだけじゃないよ。今日はすっごい楽しかった。きっと那月君のおかげだね。ありがとう」
「別にこれくらい…大袈裟だろ」
「イッちゃんも取って貰えて良かったね」
「…まあ、せやな」
「俺より下手だったのはびっくりしたけど」
「お前も人の事言えんやろが」
「いらいいらい!イッひゃんいらいー!」
ぐにぃと頬を引っ張る砂酉の手を祭月がペチペチとタップする。
…俺から言わせればどっちも大差なかったけどな。
あ、でも
確かにクレーンゲームみたいな技術がいる奴はどっちも下手くそだったけど
リズムゲーム系はどっちも異様に上手かったな。そういえば。
「うわーんイッちゃんがいじめるー」
よろよろと泣きついてきた祭月を受け止めながら、砂酉に向かって口を開く。
「日も暮れてきたし、そろそろ帰るか」
「せやな。あー…でもこの荷物やと電車はきついな。…黒子呼ぶか」
そう言うや否や、砂酉はどこかへと電話を掛け始めた。
…黒子?黒子って誰だ?てゆうか黒子ってあの?
「あのー…那月君」
「何だよ」
やけに近くから声が聞こえるなとは思ったが、気にせずそのまま少し離れた所で電話をしている砂酉の後ろ姿を見続ける。
つうか、手触り良いなこれ。あと何かしっくりくる。
「いやあの何って程じゃないんだけど…」
「あ?」
歯切れの悪い祭月の声に漸く俺は視線を戻した。
そして、
「!」
そこでやっと、自分が祭月の顔を自身の胸に埋めるように抱き寄せ、しかも無意識に頭を撫でていた事に気が付いた。
「~~~~わ、悪いっ」
やっべ…ほとんど無意識だった
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