Estrella

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「ぶははっ！　それで二人して朝からシャドーボクシングしてたの？」

 

俺を指差しながら無遠慮にゲラゲラと笑っている真琴を一睨み。

 

「俺が来なかったらずっとやってたんじゃない？てゆか、も一個の方から入れば良かったじゃん」

「あそこまでいったらそれも何か癪だろ」

 

むすっとして答えると、一瞬虚を突かれたような顔をして真琴はまた腹を抱えた。

 

「ちょ、おま、止めろって、まじで止まんないから！」

 

何がそんなにおかしいのか。

その重心が後ろに傾いたイス、蹴り飛ばしてやろうか。

 

「おはよー…」
「あ。おはよー虹ちゃん」
「んー…なに笑ってたの…？」

 

珍しく遅刻せずに(いやギリギリだが)やってきた祭月は、今日も(良く言えば)眠そうだ。

机に突っ伏しながら、覇気のない声が零される。

どうやら真琴の馬鹿でかい笑い声は廊下にまで届いていたらしい。

 

「瑠がボクシングに目覚めたって話」
「んな訳あるか」
「んー…そっかぁ」
「おい、納得すんな。違うからな」
「……グゥ…」

 

聞いてねえし。

 

まだ授業も始まってもいないのに

朝っぱらから何でこんなに疲れなきゃならないのか。

 





俺は、本日二度目となる溜め息をそれはもう、なっがーく、吐き出した。