Estrella

碧月 晶

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「虹、コイツほんっ……まに大丈夫なんか?」
「…どーいう事だよ」
「うっさい黙っとけ。お前には聞いてへん」


…あ?


「イッちゃん、口悪いよ。言ったでしょ?俺から那月君に告白したの。だから大丈夫だよ。…ね?」
「…………………………まぁ、虹がええならオレは構へんけど」


そう言いつつも、俺に向けるその瞳には
まだ疑いの色が宿っている。


…言っとくが、人相の悪さを指しているならお前もそう俺と変わらねえからな?



「あ、ごめん。ちょっと出てくるね」


着信に震えるスマホを片手に祭月は退出していった。


「……………」
「……………」


途端、落ちる沈黙。


…ま、当然こうなるわな。


いやだって仕方ないだろ?
この状況で何食わぬ顔して且つフレンドリーに話し掛けられる厚顔無恥なスキルなど俺は持ち合わせていない。

つーか有ったら俺は学校という疑似社会空間で苦労などしなかっただろう。


「………お前、名前は」


少しばかり思い出しかけた苦い思い出を脳内から追い出していると、相手が先にそう切り出してきた。

だが、その表情からは決して仲宜しくしようという意思は見つけられない。


「てめぇの名前も言えねえ奴にお前呼ばわりされたかねーよ。まず自分から名乗んのが筋ってもんだろうが」


そんな相手を前に、何故こちらも友好的に対処しようと思えるだろうか。


「は、何ヤクザみたいな事言いよんねん」


実際家がそうだからな。


「オレがわっざわざ聞いたっとんねん。さっさと言えやカス」
「あ゙?てめぇこそ何様のつもりだボケ」




……はっきり言おう




コイツとは反りが合わない。



あっちもそうしみじみと実感している事間違いなしだ。
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