133 / 179
5-10
しおりを挟む「虹、コイツほんっ……まに大丈夫なんか?」
「…どーいう事だよ」
「うっさい黙っとけ。お前には聞いてへん」
…あ?
「イッちゃん、口悪いよ。言ったでしょ?俺から那月君に告白したの。だから大丈夫だよ。…ね?」
「…………………………まぁ、虹がええならオレは構へんけど」
そう言いつつも、俺に向けるその瞳には
まだ疑いの色が宿っている。
…言っとくが、人相の悪さを指しているならお前もそう俺と変わらねえからな?
「あ、ごめん。ちょっと出てくるね」
着信に震えるスマホを片手に祭月は退出していった。
「……………」
「……………」
途端、落ちる沈黙。
…ま、当然こうなるわな。
いやだって仕方ないだろ?
この状況で何食わぬ顔して且つフレンドリーに話し掛けられる厚顔無恥なスキルなど俺は持ち合わせていない。
つーか有ったら俺は学校という疑似社会空間で苦労などしなかっただろう。
「………お前、名前は」
少しばかり思い出しかけた苦い思い出を脳内から追い出していると、相手が先にそう切り出してきた。
だが、その表情からは決して仲宜しくしようという意思は見つけられない。
「てめぇの名前も言えねえ奴にお前呼ばわりされたかねーよ。まず自分から名乗んのが筋ってもんだろうが」
そんな相手を前に、何故こちらも友好的に対処しようと思えるだろうか。
「は、何ヤクザみたいな事言いよんねん」
実際家がそうだからな。
「オレがわっざわざ聞いたっとんねん。さっさと言えやカス」
「あ゙?てめぇこそ何様のつもりだボケ」
……はっきり言おう
コイツとは反りが合わない。
あっちもそうしみじみと実感している事間違いなしだ。
0
お気に入りに追加
20
あなたにおすすめの小説

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ある少年の体調不良について
雨水林檎
BL
皆に好かれるいつもにこやかな少年新島陽(にいじまはる)と幼馴染で親友の薬師寺優巳(やくしじまさみ)。高校に入学してしばらく陽は風邪をひいたことをきっかけにひどく体調を崩して行く……。
BLもしくはブロマンス小説。
体調不良描写があります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる