Estrella

碧月 晶

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祭月まつらぎこう


ずっと気になっていた、初めて知る薄茶色のソイツの名前。



「へー、意外。俺てっきり横文字な名前だと思ってた」
「よく言われるよー。けど残念、生まれも育ちも純日本産だよ」
「日本産て!じゃあ、ハーフとか?」
「いやー、うーん…まあ、クォーターかなぁ?でもだからって別に英語がペラペラな訳じゃないよ?寧ろ苦手」
「え、でもお前…」


言い掛けて、ハッと口を噤んだ。


危ねぇ
あの時すげぇ良い発音で歌ってただろとか言うところだった。

俺が見ていた事は祭月は知らないのだから余計な事は言わないようにしなければ。


「どうかした?」
「いや、何でもねぇ」
「そう?」
「なぁなぁ、祭月ー」
「ん、何?」


そう答えた俺に祭月は特に気にした様子もなく、真琴と話し始めた。


「何か瑠と知り合いっぽいけど、いつ会ったの?」
「んー、つい最近?かな。ね、那月君」
「あー…、うん、まぁ」
「え、何それすっげえ気になんだけど」
「あの時の那月君てば強引で、俺の手掴んで、その後ベッドに…キャー!」
「はっ、まさか瑠…!」


わざとらしい三文芝居に一瞬呆れそうになったが、内容が内容だけに一応訂正はいれておく。


「んな訳あるか。紛(まぎ)らわしい言い方してじゃねぇ。真琴もだ」
「あはははは~、冗談冗談ー」
「そうそう、本気にすんなよー」
「「ねー?」」
「……………………」


やべえ…怒りを通り越して、もう怒る気さえ湧かねぇ…

ていうか何でいきなり出会い頭で意気投合してんの。


「で、本当のところはどうなの?」
「ふふふー、それは二人だけの秘密だよ」
「えー…りゅーうー、どーなんだよー」
「………そーなんじゃねぇの」


もういい
何かもう説明すんのも面倒

色々割愛されてるけど、概(おおむ)ねその通りだし


「ふーん?じゃあ何で今まで登校して来なかったのさ?」


その瞬間、俺達を遠巻きに眺めて、今まで騒めいていた教室がシンと静まり返った。


「何でって……非王道がやってみたかったからかな?」
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