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2-14 side『きらきら星』くん
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瑠が病室から出て行ってから、10分後。
ベッドの上で眠る者がもぞりと動いた。
被っている掛け布団を引き上げ、もぞもぞと温もりの中へ潜っていく。
けれど、微(かす)かに浮上した意識の中で
鼻腔に入ってくる匂いがいつもと違う事に気付き、少年は漸くその眼を開けた。
「んぅ…」
眠い。
目覚めた彼が一番に思った事。
目を開けても眠いのは依然変わらないらしく、コシコシと擦る。
ちょっとだけ焦点が合ってきた眼をキョロキョロとさせると、彼は首を傾げた。
「…白い…」
ゆっくりと布団から身体を起こし
「…これって所謂アレかな…定番の『ここはどこ~私は誰~?』…みたいな?………なんてね。一回言ってみたかったんだよねぇ。…ふふっ」
誰も見ていない病室で一人、寝言めいた台詞を一人ごちながらクスクスと肩を震わせる。
「ま、どう見たって病院…やね。このどこ見ても真っ白で清潔第一!ってこの感じは。…あれ?」
ふと彼の目に留まったのは自分の左腕の内側に貼られているガーゼ。
それをペロッとめくると、その下には小さな小さな痕が。
頭に触れると包帯らしき物が巻かれている事にも気が付いた。
ついでに、身体がぶつけた後のように痛い事にも。
「あー…、そういえば…」
何となく、今置かれている自分の状況が分かったという顔をすると
「……………眠い、もっかい寝よう…後は起きてから考え…る……」
そう呟いて、彼はまたベッドに横になったのだった。
ベッドの上で眠る者がもぞりと動いた。
被っている掛け布団を引き上げ、もぞもぞと温もりの中へ潜っていく。
けれど、微(かす)かに浮上した意識の中で
鼻腔に入ってくる匂いがいつもと違う事に気付き、少年は漸くその眼を開けた。
「んぅ…」
眠い。
目覚めた彼が一番に思った事。
目を開けても眠いのは依然変わらないらしく、コシコシと擦る。
ちょっとだけ焦点が合ってきた眼をキョロキョロとさせると、彼は首を傾げた。
「…白い…」
ゆっくりと布団から身体を起こし
「…これって所謂アレかな…定番の『ここはどこ~私は誰~?』…みたいな?………なんてね。一回言ってみたかったんだよねぇ。…ふふっ」
誰も見ていない病室で一人、寝言めいた台詞を一人ごちながらクスクスと肩を震わせる。
「ま、どう見たって病院…やね。このどこ見ても真っ白で清潔第一!ってこの感じは。…あれ?」
ふと彼の目に留まったのは自分の左腕の内側に貼られているガーゼ。
それをペロッとめくると、その下には小さな小さな痕が。
頭に触れると包帯らしき物が巻かれている事にも気が付いた。
ついでに、身体がぶつけた後のように痛い事にも。
「あー…、そういえば…」
何となく、今置かれている自分の状況が分かったという顔をすると
「……………眠い、もっかい寝よう…後は起きてから考え…る……」
そう呟いて、彼はまたベッドに横になったのだった。
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