炎のように

444.物と者

「やっぱりこの叔父が怪しいな」

ヴァンの呟きを皮切りに、皆が頷きを返す。

「？」

何がやっぱりなのか一人分からないでいる俺に、ヴァンはゆっくりと口を開いた。

「実はな、ここのところ各国で闇市場が活発になってるんだ」
「闇市場が？」
「ああ。そこで秘密裏に手に入れたのが…」

イグニートさんの視線を受け、傍に控えていたアズライトさんの懐から、２つ、何かが取り出され、テーブルの上に置かれる。

一つは、銃。もう一つは、麻の小袋に入った何かの植物の花弁だった。

「銃と…こっちは何ですか？」
「調べた結果、ドーピング作用のある劇薬だと分かった」
「劇薬…！？」

思わず、出そうとしていた手を引っ込める。

「何でそんなものが闇市に？」

しかも、その闇市が活発な事と叔父が関係しているというのは一体どういう事なのだろう。

「出所を探っているが、今のところ確かな証拠は掴めていない。だが、おおよその検討はついている」
「まさか…」
「そう、君の叔父だ。若しくはフォンセの影に隠れている誰か、だ」